人間関係

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ブッダに学ぶアンガーマネジメント これで分かる「怒り」のデメリットすべてと、対処法

こんにちは。仏教カウンセラーのまよです。

多くの人が悩む「怒り」の心について綴っております。

「イライラして言ってはならないことを言ってしまった…」
「部下が言うことを聞かずにイライラして、つい怒鳴ってしまう」
「あの人のあの言葉にムカムカして、ご飯がおいしくない」
「怒りのスイッチが入ると、なかなかおさまらない」

あなたには、こんなことありませんか?

最近、怒りの心と上手く付き合うためのアンガーマネジメントに関する本、研修、勉強会などたくさんあります。

私の周囲にも怒りの心に悩まされている人は多いです。

「アンガー」とは「怒り」のこと。
「マネジメント」とは「上手く付き合う」ということです。

どうしたら怒りの心と上手く付き合うことができるのでしょう。

前回は、怒りに悩む男性(Tさん)の事例を通して「怒りの本質」を知ることの大切さについて書きました。

今回は、怒りの本質をより深く知るために、「怒りの問題点(デメリット)」の全貌について書きたいと思います。

この怒りのデメリットを知るだけでも、あなたの怒りの心との向き合い方が変わり、ムカッとしたときにもブレーキがかかるようになりえます。

きっと「今までなんて無駄なエネルギーを使っていたのか」と気づき、「今日から怒るのはやめておこう」と強く誓わずにいられなくなると思います。

そして、その分のエネルギーを大切な人とのコミュニケーションや目標への前進に注ぐことができるようになり、日々の充実感につながるでしょう。

怒りが与える周囲への悪影響

いつも怒っている人は、近寄りがたい印象を受けます。

また、怒りの感情は、自分も、周りの人も傷つけてしまいます。

怒った後は、いつも自己嫌悪に陥り、何とも言えない味気ない気持ちに襲われます。「あぁ…なんであんなこと言ってしまったのだろう」と後悔しても、後の祭りです。

怒りには、こんな問題点があります。

  • 攻撃性がある
  • 強度が高い
  • 人間関係が崩れる
  • 地位を失う
  • 財産を失う

など。

①攻撃性がある

「攻撃性がある」とは、怒ったときに、物を投げたり、相手を罵倒したりと、攻撃的になってしまうということです。

暴力をふるったり、酷い状態になると殺人に至ってしまうこともあります。恐ろしいですね。

②強度が高い

「強度が高い」とは、怒ったときの表情、発する言葉は、周囲の人に強い印象を与えるということです。もちろん、良い印象ではなく、悪い印象です。

あの人のあの怒った顔が忘れられない。一度、印象づいてしまうと、なかなかそれは払拭できないものです。

③人間関係が崩れ、地位・財産を失う

一時の怒りで、それまで築き上げてきた信頼関係が一瞬で崩れ、その人とはもうそれっきりになってしまった、それ以降、関係がどこかぎくしゃくしている、その人との心の壁を感じるようになったなど、怒りが原因で人間関係に亀裂が入ってしまったことは、心当たりのある人も少なくないと思います。

さらに、怒りによって暴言を吐き、立場まで追われたという人(政治家や社長など)の話は、昨今のニュースなどでもよく耳にしますね。

人間関係も崩れ、地位も失えば、おのずと財産も失うことにもなるのは、想像できると思います。

その他にもいろんな悪い影響はありますが、代表的なものをあげました。

怒られた感情はずっと変わらない?関係を修復不可能にする「怒り」

怒りに関するもので、「パワーハラスメント(パワハラ)」という言葉があります。

「立場を利用して嫌がらせをすること」であり、一般的に流通している言葉となりました。

上司と部下、夫と妻、親と子、先生と生徒など、いろんな場面で言われていることです。

例えば、上司が部下を口汚く罵る、本人の人格まで攻撃する、机を叩いて威圧的な態度をとるなど。

また、夫が妻に「誰のおかげで生活できていると思っているんだ」と言ったり、家事のできていないところをチクチクと指摘したりするなど。

そんなこと言われたら、そんな態度をとられたら、もう怖くて近づけない、あまり関わりたくない、となってしまいます。

実際に『CanCan.jp』のアンケートによると

「上司に怒られた後、業務状況は変わったか?」の問いに対して部下は

・仕事のモチベーションが低下した
・相手を避けるようになった
・精神的に不安定になった

と答えたそうです。

しかも、「上司に怒られた感情は、どれくらい継続するか?」を部下に聞くと、

1位「1年以上」
2位「2~3日」
3位「2か月~1年程度」

となったそうです。かなり長いですね。

一方、上司は「部下を怒った感情はどれくらい継続するのか?」の問いに

1位「数分程度」
2位「ほんの一瞬」
3位「数十分程度」

とほぼ秒殺ならぬ、分殺で終わるそうです。

これでは、双方の関係には、大きな溝ができてしまいますよね。

案の定、「上司に怒られた後、人間関係は回復しましたか?」の問いに部下は

「全く戻ってない(悪化したまま)」46.9%
「だいぶよくなったが、まだ昔の人間関係には戻っていない」30%
「元に戻った」7.6%

約半数が悪化したままの状態だそう。修復してきても元には戻れないという人もあるのだとか。

(参考)「怒る上司」は数分で忘れるが「怒られた部下」は1年忘れない。パワハラか指導か!?その境界線 | CanCam.jp

このような関係の悪果を招くパワハラとなる言動のほとんどは、怒りの心が元になっています。

まさに怒りによって「人間関係が崩れる」ということです。

そして、それまで築き上げてきた地位や財産、信頼も、一度の怒りで一瞬にして焼き尽くしてしまう。それほど恐ろしい心が怒りなのです。

怒りが与える自分への意外な悪影響

怒りは、周囲だけでなく、自分へも悪い影響を与えます。

主に下記の2つがあげられます。

  • 体に悪い
  • 知能指数が低下する

「え~? 怒りと体調、怒りと知能指数、どんな関係があるの?」と思われるかもしれませんが、実は大いに関係があるのです。

①体に悪い

怒ることは、精神面にも大きなダメージを与えるだけでなく、健康面にもダメージを与えることが、最近の研究で明らかになってきています。

米国立老化研究所の研究では「競争心が強く攻撃的な性格の人は、心臓発作や脳卒中のリスクが高い」という結果を出しています。

大阪府立健康科学センターの研究では「怒りを内にためやすい人は高血圧症リスクが高くなる」という疫学研究結果が報告されているそうです。

怒りについては、心理学、脳科学、医学など、様々な研究機関が研究を進めており、こんなデータも出ています。

怒りっぽい性格のひとは

・週に1回以上、体調不良になるリスクが3.42倍になる
・年に1回以上、胃痛になるリスクが1.93倍になる
・人よりも疲れが取れにくくなるリスクが1.66倍になる
・人よりも扁桃腺が腫れやすくなるリスクが2.45倍になる
(参考)マイヘルシー

なんとも恐ろしい「怒り」の心…。

そういえば、怒りの心に悩んでおられる私の知人(Tさん)も、いつも体調が悪そうにしておられました。

詳しくおたずねしてみると、

「特に大きな病気というわけではないけれど体調が悪い、体がだるい、喉が痛い、風邪を引いたと思ったら、病院に行き薬をもらってくる。扁桃腺も腫れやすく、体調に影響があったので、数年前に手術をして扁桃腺を取ってしまった。気がつけば家には病院から処方された薬だらけで、おかげで薬にずいぶん詳しくなってしまいました(苦笑)」

と言っておられました。

失礼ながら、Tさんの身に起きていることは、まさに上記のデータを立証しているかのようで、驚いてしまいました。

②知能指数が低下する

怒りには知能指数を低下させてしまうという問題点があります。

怒りは視野や判断力を狭め、賢い決断をする能力を著しく損なわせてしまいます。

昨今、ブームになっているアドラー心理学では、このように言われています。

子供は「感情」でしか大人を支配できない。
大人になってからも感情を使って人を動かそうとするのは幼稚である。
(アルフレッド・アドラー)

「幼稚であるから怒る」とも言えますが、実際に「怒ると幼稚になる」とも言えるのです。

思い出してみてください。

怒っている人が使っている言葉、態度、行動は、幼稚なものが多いです。

怒りのピーク時になると、ボキャブラリーが少なく、見ていられない幼稚な喧嘩になります。

怒っている時に使う言葉は、どんな言葉があるでしょうか。

ツイッターに「#怒ったとき使う言葉」という投稿がありました。

そこには

・むかつく
・ヤバい
・まったくもう!
・チッ(舌打ち)
・はぁ?
・あり得ない
・もう嫌だ
・この野郎
・ばーか ばーか お前の母ちゃん出べそ

などなどが綴られていました。並べてみると、どれも子供っぽい表現ばかりです。

こんな言葉を大の大人が使っていたらどうでしょう。冷静に考えたら、何とも恥ずかしい、お粗末な状態だなと思います。

少し前に話題になったある女性議員の「このハゲ~」「ち~が~うだろ~」という暴言もありましたね。

怒ったときには、知能指数が下がっているので、幼稚な言葉しか出てこないのです。

怒りは普通では考えられないような行動も引き起こす

また、怒ったときには、判断能力が鈍っているので、普通では考えられないような行動をとってしまいます。

かつて、腹を立てて、自分の家に放火して、奥さんと子供を焼き殺してしまったという事件もありました。

私にもあった反抗期時代のことですが、親に言われたちょっとした言葉にイラっとして「うるさい!もういい!」と暴言を吐き、自分の部屋のドアをバタン!と勢いよく閉め、部屋の中にある手にとれる物をとにかく投げつけた私…。

いろんな物が壊れて、散らかった自分の部屋を見て、深く後悔したことを覚えています。

今では、なんて愚かだったのか、親にも申し訳ないことをしてしまった、と反省し、恥ずかしい思い出の一つになっています。

「怒」という字の成り立ちが示す、怒りの実態

怒りという字は「心」の上に「奴」と書きます。

これは、「心」というまな板の上に、憎らしい怒りの対象の相手「奴」を乗せて「この野郎~」と切り刻むような恐ろしい心だから、と言われています。

また、「奴」という字は「奴隷」の「奴」ですね。怒りの心で、相手を自分の思い通りに動かそうとする、自分の奴隷にするような心だから、とも言われています。

お釈迦様は怒りの心を「赤鬼」に例えられました。

「赤」は火の色です。火は、一瞬にしていろんなものを焼き尽くしてしまいます。

怒りの心も一瞬にして、私の大切なもの、汗水流して積み上げてきたもの、失いたくないものを焼き尽くしてしまう恐ろしい心なのです。

そして、それは「鬼」のように冷たい、情け容赦のない、無慈悲な恐ろしい心なのだよ、と教えられています。

「鬼」という字は元々は、「遠仁(おに)」と書いたそうです。

「仁」とは「慈悲」のこと。

「あの人は慈悲深い人」と言われるように、「慈悲」とは「優しい心」のことですね。

その優しい心から遠く離れた心だから「遠仁」と書いたそうです。

その優しさとはかけ離れた、鬼のように恐ろしい心が「怒り」の心なのです。

この心とどう上手く付き合っていけばよいのでしょう。

怒りのデメリットを知ることで得られる「抑止力」

今回は、怒りがいかに恐ろしい問題点をはらんでいるか、ということをまず知ることが大切なので、そこに焦点を当ててお話ししてきました。

怒りが恐ろしいものだと分かると、それが抑止力となって、後悔につながるような言動を避けることができるでしょう。

前回の記事で紹介した怒りっぽいことに悩んでおられるTさんは、「部下がなかなか言うことを聞かない」と職場での人間関係にも悩んでおられました。

しかし、怒りの周囲に与える悪影響をいろいろとお話ししたところ、

「いままでは、『仕事だから、自分は上司だから』と、部下に対して、ただ怒りにまかせた言動をとっていましたが、それでは人間関係に悪い影響を与えているだけで、仕事がうまくいくはずもなかったのだと分かりました。教えてもらって、以前よりも冷静になれることが増えました」と言っておられました。

このように、怒りの実態を知るだけでも効果はあるのですね。

また、怒りは使いようによっては変化を起こすための原動力にもなりえます。デメリットを十分知っていただいたうえで、今後、プラスの力へ変換する方法もご紹介していきます。

さらにブッダの知恵では、

・怒りのメカニズム
・怒りとの向き合い方

について詳しく教えられています。それを知れば、末永く上手く怒りの心と付き合っていくことができます。

次回は、そもそもなぜ怒りの心が起きるのかという「怒りのメカニズム」をお話しします。

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この記事を書いた人

仏教カウンセラー:ま よ

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