こんにちは。仏教講師の高松です。
今日は転職しようか迷っていた30代男性Hさんとのやりとりを紹介したいと思います。
私たちは人生のほとんどの時間を仕事に費やす
私は仏教講座や人生相談の他に、カフェ勉強会といって、喫茶店で少人数でグループ学習のような形式で話をすることがあります。
「1対1だと緊張するけど、数人ならば安心して参加もでき、大人数と違って言いたいことも言えるからうれしい」と喜ばれています。
私自身は1対1で深く語り合うのが好きなのですが、そんな中、30代男性のHさんはよく講座にも来られている方で、この時はいつも以上に自分のことを話してこられました。
高松「どうしてですか?」
H「はい、うーん、今の仕事が自分にあっていないような気がしているんです。
このままやっていければ、生活は普通にしていけると思います。だからその点はいいのですが、ただ充実感がないんですよねえ。同じことの繰り返しというか。やっていること意味あるのかなあ。実際に自分がいなくても会社回るし。自分でなくてもいいんですよねえ」
このようなことを考えている若い世代はかなりあると思います。しかし、考えてもその答えを出してくれる人もなく、そのまま見ないことにして会社の歯車となって人生を終える人のほうが多いのが現実でしょう。
みんな同じサイクルをこなしながら、命を削っている
高松「Hさん、人生は『命の切り売り』をしているようなものと言われます。みんな1日24時間の命を持っています。『命』とは『時間』のことです。7時間睡眠の人は、睡眠に7時間、命を使っています。仕事を8時間している人は8時間、仕事に命を使っているということです」
H「確かにそうですねえ」
高松「『命』を何に使うかで自分の人生が構成されていくわけです。そういうふうに考えると、1日1日どんな時間の使い方をするか真面目に考えずにおれませんね」
自分に合う仕事、合わない仕事は結局、自分で決めている
高松「若い人がよく、転職しようと思う理由で多いのが、『今の仕事は自分に合わない』というものです。
しかし、どんな好きなことでも仕事にすれば、つらいことや嫌なことは少なからずあるものです。自分では合わないなと思っていても、周りから大変な評価を受けている人もあれば、自分の天職と思っていても、はたから見れば、向いてないから辞めたほうがいいのではないか、と思われることもあります。結局みんな自分の感覚や価値観で言っているだけで、間違いのない根拠はありません。そう思いません?」
H「うーん、確かに」
あなたはどこを目指していますか?
高松「仕事がやる気になるか、ならないかは、結局はその人のモチベーションが保てるかどうかです。では、どうしたらモチベーションが保てるでしょうか。それは、自分のゴールはどこを目指しているのかを明確にすることです」
H「自分が目指しているところですか。うーん、自分は成功したいです」
高松「Hさん、成功したいだけでは成功できません。具体的にどのようになったのが成功と考えるか、そこを明確にすることがとっても大切なんですよ。
そこを目指すことで、今、何をすればよいか分かります。そこが分からないと、今のこの時間、無駄に過ごすことになります。そこを考えるのに時間を使うことは大事なことですよ。最後がよければ、すべての苦労、すべての過程は報われることになりますからね」
H「すべての苦労が報われるって言えるんですか?」
高松「言えますよ」
「人間万事、塞翁(さいおう)が馬」のもう1つの視点
高松「Hさん、『人間万事、塞翁(さいおう)が馬』の話、ご存じですか?」
H「はい、知ってます。あれですよね、馬が逃げて、帰ってきて、馬連れて来て……って話ですよね」
高松「まあ、そんな感じですね。中国の塞(さい)という国の翁(おきな)、おじいさんのことですね。このおじいさんが馬を飼っていたんですね。馬は大変な財産です。ところがある時、その馬が逃げ出してしまうんですね。これはショックですよね。まあ、昨日までいたからいいや、って思えます?」
H「それは無理ですね」
高松「そうですよね。逆に馬を飼っていたからこんな苦しみを味わうことになった訳ですから、馬を飼っていたことが苦しみのタネになっています。ところが、しばらくしたら、なんとその馬が帰って来たんですよ。しかももう1頭連れてきたんですね。これどうですか?」
H「これは大変うれしいです」
高松「そうですよね。大変うれしいですよね。だけとちょっと前には逃げ出して苦しんでいたんですよ。その苦しみはどうなりましたか?」
H「逃げなければ、この馬は来なかった訳ですから、むしろ、逃げてくれてよかったと思えます」
高松「そうですよね。逃げたことまで喜べますよね。ところが、その連れてきた馬に息子が乗馬したところ、暴れ馬で振り落とされて、息子が歩けなくなってしまったんです。馬が2頭になったこと、喜べますか?」
H「いえ、喜べません。悲しすぎます」
高松「そうですよね、悲しいですよね。この馬さえ来なければ、息子がこんな大怪我することはなかったのにと思いますよね。今までの出来事、今までの過程すべてが苦しみのタネになってしまいますよね」
H「はい、どんなに過去に喜んだという事実があっても、まったく喜べませんね」
高松「そうです。ところが、しばらくして戦争が起きて、若者はみんな徴兵されたのですが、息子は歩けなくなっていたため、戦争に行かなくてよかったんです。その戦争でかなり若い人が戦死したのですが、息子さんは命が助かりました。どうですか?」
H「落馬して良かったってなります」
高松「はい。話はここで終わっています。この話は本来、人生、何がよいか悪いか分からないということを表した話ですが、私が言いたいことは、そういうことではないんです」
首をかしげるHさんに、私は話を続けました。
高松「この話は命が助かったというところで話が終わっています。このハッピーエンドだと今までの過程はすべて必要な過程だったということで、すべて喜びのタネになります。
逆に落馬で話が終わっていたら、バッドエンドで、今までの過程はすべて苦しむための過程だったということになりませんか?」
H「おお、確かにそうなりますね」
高松「ですから、私たちの人生も、最後がよいか悪いかで、今までの頑張りが報わるかどうかが決まる、ということなんです。ですから今、一生懸命している仕事も、生きていく過程のことで、人生のゴールを知らなければ、喜びのタネになるか、苦しみのタネになるか、分からないから常に不安はなくならない。その不安がどこからくるか、自分自身が分からないから、一番時間を使っている、一番命を使っている仕事のせいかなと思ってしまうんですね」
H「なるほどねえ」
人生のゴールを知ることが仕事のモチベーションにつながる
高松「私たちにとっていちばん大切なのは、人生の目的、人生のゴールを知ることなんですね。それが分かれば、おのずと仕事をどうすればいいかが見えてきます。目的地が分かったうえで、今の仕事を続けたほうがいいか、独立したほうがいいかを決めたらよいですよ」
H「いやあ、よく分かりました。そこまで人生の目的が大切とは思っていませんでした。仏教は深いですね。葬式、法事のイメージとかなり違います」
高松「お釈迦様は生きている人に本当の幸せになれる道を明らかにされた方です。ですから幸せになりたい人はみんな聞いたほうがいいですよ」
モヤモヤしていた心が大変スッキリされたHさんは、独立することを止めて、今の仕事を続けることを決意されました。人生の目的を意識して仕事に取り組むHさんの変わりようは、他の社員から見ても一目瞭然で、今まで任されたことのない、会社にとって大切なプロジェクトを任され、仕事、プライベートともに充実した日々を過ごされています。
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