生と死

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グリーフケア | 死別の悲しみを乗り越えるプロセスと、本当の供養

【目次】

  1. グリーフケア1 死別は“コントロール不可能”な出来事
  2. グリーフケア2 死別への反応 ~悲しみの3パターン~
  3. グリーフケア3 死別の悲しみを引きずっている場合
  4. グリーフケア4 大切な人が喜ぶ「本当の供養」とは

グリーフケア1 死別は“コントロール不可能”な出来事

こんにちは、心理カウンセラーの月見草です。

今回は、「死別の悲しみを受け入れ、乗り越えるプロセス」(グリーフケア)についてお伝えします。

死別。それは人生において最も強く感情を揺さぶられる出来事。
死別。それは楽しかった思い出ほど悲しくしてしまう転換点。
死別。それはどんなに悔やんでも二度と戻れない厳粛な事実。
死別。それは私の人生の一部が欠けてしまうこと。

私は、昨年・今年と相次いで大切な身内を亡くしました。喪失感に打ちひしがれ、一緒に過ごした日々が走馬灯のように思い出されては、涙がとめどなく流れます。

一体どうしたら大切な人を供養できるのか。喪失感は底なしのように思われ、だんだんと平穏な日常に戻ってきたと思っても、ふとした瞬間に、また悲しみに襲われる…。そんなときに知ったのが「グリーフケア」でした。

死というのは、どんな人にとっても“コントロール不可能”な出来事です。だけれども、避けて通ることはできません。そんな死別の悲しみを、みんなはどうやって乗り越えているのか。

死別の悲しみから立ち直れるようにする手助けのことを「グリーフケア」と言われます。悲しみのプロセスとタイプ別のパターンを知り、あなたの悲しみの回復に役立てていただけたらと思います。

また、死別の悲しみを乗り越えることに深い関係がある「どうすれば故人を供養することができるのか」についてもお伝えします。

グリーフケア2 死別への反応 ~悲しみの3パターン~

死別の悲しみに直面したとき、大きく3パターンの反応に分かれます。

  1. 感情が麻痺して、何の気力も湧かない。いつまでも涙が止まらない。
  2. 葬儀や手続きに忙しく対処して、とにかく動き回る。
  3. 死別の実感がなく、いつもと変わらない感じ。

いずれも、人間として自然な反応です。どれが良い悪いではありません。

葬儀などで、親族が集まり、故人を偲んでいるとき「あの人はどうして少しも悲しまないのか」と思うことがあるかもしれません。でも、悲しんでいないのではないのです。特別な例外を除いて、死別を悲しいと思わない人はいません。

あるいは、他人と比較して「自分はどうしていつまでも泣き続けてしまうんだろう」と思ってしまうかもしれませんが、死別の悲しみに対処する方法が3パターンあるので、人によって悲しみの処理の仕方が異なるだけです。「泣き続けてめそめそしてダメだ」と思う必要はありません。

グリーフケアについて知っていただき、あなたが悲しみから回復できるよう、3パターンの「悲しみを乗り越えるプロセス」「今できること」を説明します。

1.感情が麻痺して、何の気力も湧かない。いつまでも涙が止まらない。

たいていは1か月、2か月と経つうちに、涙が出る頻度が減り、気力も徐々に戻ってきます。

死別の悲しみと真正面から向き合おうとしているからこそ、脳が「これ以上は負荷がかかりすぎる」と判断して、何の気力も湧かなくなります。

本能的に、コントロール不可能=生命の危険と判断して、強制シャットダウンしている状態です。

もし喪失感が長引くようなら、強制シャットダウンを何度も繰り返しているようなもので、体に良くありません。

「危険は過ぎ去ったことであり、今はもう安全」と脳が判断できるよう、少しずつ行動しましょう。悲しみの気持ちを受け止めるためにも、強制シャットダウンの回数を減らしましょう。

このタイプの「今できること」は…
 片付ける・掃除する

結果が目に見える行動をとることが大切です。「これだけできた」という達成感を得られる行動をすると、だんだんと身体が軽くなっていきます。

喪失感を引きずるのは、「固執」しているからです。固まってしまっているのを少しずつほぐしていく必要があります。

最初は大変ですが、一度動き始めてしまえばラクになってきます。ストレッチなども効果的です。単純ですが、有効なグリーフケアです。ほんの小さな一歩でもいいので、前に進みましょう。

2.葬儀や手続きに忙しく対処して、とにかく動き回る。

行動に専念することは一つの適応方法です。ただ、周囲からは「そんなに辛そうじゃない」と思われやすく、頼りにされ、負荷がかかりがちです。

過剰に行動していると、喪失の悲しみと向き合うこともなく過ごしてしまいます。「臭いものにフタをする」ような状態になり、いずれ感情が暴走します。

脳は、言葉にして発散できないと判断すると、身体症状に出します。あなたは「どうして頭が痛いんだろう」「眠りが浅くなった」など、いわゆる不定愁訴という形で出ていませんか。

さらに悪化すると、あるとき突然「燃え尽きた」ように寝込んでしまうこともあります。やみくもに行動して忘れようとするのではなく、グリーフケアが必要です。

このタイプの「今できること」は…
 20分間、「感情」をノートに書く

できれば20分間、難しければ10分間でもかまいません。ノートに感情を書き出しましょう。

避けつづけている悲しみの感情は、すぐには言葉にならないと思います。だからこそ身体症状に出てしまうのです。

人間は「話す」ことで頭の中から「離す」、そして「放す」=自由になることができます。

あなたが悲しみを人に話すことはしないタイプでも、ノートに書くことで「話す」のと同じような効果が得られます。時間をとって、悲しみを書き出してみましょう。言葉にして表現するのは、有効なグリーフケアの方法です。

3.死別の実感がなく、いつもと変わらない感じ。

日常生活に支障なく過ごせているということは、固執しすぎもせず、過剰に行動しすぎもせず、ほどよいバランスで現実を受け止められています。

ただ、ストレス度は、「1年間に起きた出来事」のトータルで測定されます。

例えば半年後、いつもなら問題なく乗り越えられる出来事なのに、気力が出なくなってしまった、というように、忘れた頃に心身に不調が出ることもあります。

このタイプの「今できること」は…
他のストレスのかかる出来事(ライフイベント)の後、一年間は無理をしない

ライフイベント・ストレスチェック表の一部を掲載します。

この一年間の合計点が、260点以上:要注意の段階/300点以上:病気を引き起こす可能性があるとされています。
(※あくまで目安の点数です。また全てを掲載していないため、合計点にならなくても高ストレスの場合があります。)

配偶者の死(83点)
親族の死(73点)
自分の病気や怪我、多忙による心身の過労(62点)
仕事上のミス(61点)
友人の死(59点)
上司のとのトラブル(51点)
夫婦げんか(48点)
引っ越し(47点)
仕事に打ち込む(43点)

全てのイベントを掲載しているページは【こちら】
(NHKスペシャル シリーズキラーストレス)

グリーフケア3 死別の悲しみを引きずっている場合

あなたがもし死別の悲しみを引きずっているなら、もしかしたらPTSD(心的外傷後ストレス障害)になっているかもしれません。「トラウマ」となって心に残り続け、気づかないうちにフラッシュバックを繰り返しているかもしれません。

トラウマになる場合の多くは、自責感情が伴います。「もっと、何かできることがあったのでは」「私のせいで、幸せに息を引き取れなかったのでは」という後悔を繰り返してはいないでしょうか。

しかしそれは、もう変えられないことなのです。生きている人でさえ、過去と他人は変えることができません。

死別した人のことを悔やむのは、コントロール不可能なことを考え続けてしまっていることになります。大切な人を喪失した悲しみは、グリーフケアで癒していきましょう。

まず少しずつ、コントロール可能なことへシフトしていきましょう。

食欲がなくても、栄養のあるものを食べる。美味しいものを食べる。それは亡くなった人に対して失礼ではありません。むしろ自分が元気になることが、相手も喜ぶことなのです。

美味しいものを「おいしい」と感じるようになれば、脳も「危険はもう去った」と認識して、悲しみから回復しやすくなります。

同じような理由で、一人でいたくなっても、誰かと接する機会をできるだけ多くしましょう。

一人でひきこもると、脳は「危険な状況が続いている」と思い込みやすく、どんどん悲しみが増してしまいます。

誰かと笑い合うこと。それは亡くなった人に対して失礼ではありません。繰り返しになりますが、むしろ自分が元気になることが、相手も喜ぶことなのです。

グリーフケア4 大切な人が喜ぶ「本当の供養」とは

グリーフケアの今すぐできる方法をお伝えしましたが、大切な人の死、悲しみを乗り越えること、本当の供養…など、「死別」に関するあらゆる乗り越え方を教えられているのは、仏教です。例えば「本当の供養」とは何か。「あなたの大切な人が、一番喜ぶことをする」ことだと仏教では教えられます。

何をすれば、あなたの大切な人は喜んでくれるでしょうか。それは「あなた自身が本当の幸せになること」なのだと仏教では教えられます。幸せといっても色々あります。故人の供養となる「本当の幸せ」とはどんなものか。15通のメルマガを読めば、すっきり分かります。

また、供養について、もっと詳しく知りたい方は、こちらの『死別の悲しみを乗り越える7つの方法』の小冊子をお読みください。

この記事を書いた人

ライター:月見 草

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