人間関係

人間関係

他人の言葉で傷つけられた。仕事やめたい。なぜ人はこんなに無神経なことを言うのですか?

仕事やめたいと思う理由1位は?小学生も人間関係で悩んでいる

こんにちは。仏教講師の山本真紀です。

人間関係で悩んでいる人は、たくさんいます。すべての人といってもいいかもしれません。昔も今も、国が違っても、年齢を問わず、何が苦しいかというと、やはり人間関係ではないでしょうか。
ある人事部門の管理職の人から「会社をやめていくときは、給料や他にやりたいことがあるなどいろいろ理由を言いますが、実際は人間関係がきっかけになっていることがほとんどです」という話を聞いたことがあります。
仕事をやめたい、やめようと決意するのは、よほどのことでしょう。

大人だけではありません。幼稚園のような幼い子供や、小学生でも、人間関係で苦しんでいます。特に幼い頃は、嫌なものは、はっきりと「いやっ!」「あんた嫌い!」と言いますので、幼い心を傷つけられた経験のある人もあるのではないでしょうか。

幼稚園の行事の時、「隣の人と手をつないでください」と先生から案内があった時に、「せんせー、わたし、この子と手をつなぎたくなーい」と、思いっきり拒否されたなんてことがあったという話も聞いたことがあります。

ある小学生へのアンケートで、
「一番幸せを感じることはなんですか」
の質問に、
「思いっきり眠ること」
が大半だったそうです。また、
「一番苦しいと感じることはなんですか」
「・・・人間関係」
だったそうです。

「サラリーマンか!」

と言いたくなりますよね。

他人の言葉で傷ついた。仕事やめたい……

そこで今日は、人間関係に疲れる私たちの

他人の言葉で傷つけられて、やる気をなくしています。
どうして人はこんなにも無神経なことを言うのでしょうか。

という悩みに、お答えしたいと思います。

これが職場の上司であれば、パワハラというのでしょうか。
執拗にひどいことを言う人もあります。
それによってやる気をなくして、仕事をやめたいという人も、少なくないのではないかと思います。

頑張っていても結果が出ないときがあります。そんな時に、

「おまえは何をやってもだめだな」
「会社のお荷物だ」
「そんなことも知らんのか」
「おまえにはもう居場所はない」

などと、ひどいことを言われて、実際に仕事を辞めた人も聞いたことがあります。

仕事で一番つらいのが人間関係です。
皆さんも、他人の言葉で傷つけられた経験があると思います。
また、自分がよかれと思って言ったのに、ものすごい誤解を受けて、無視されるようになったこともあると思います。

ならば、誰ともしゃべらなければ、傷つくことも、傷つけられることもない。今日からは、口無し人間でいこう、なんて思っても、無理なこと。無口と言っても、口が無いわけではありませんので。

そこで仏教では、私たちの「口の行い」をくわしく教えられていますので、まずそのことをお話ししましょう。

なぜ人はこんなにも無神経なことを言うの?仏教からの学び

仏教では、「口に四悪を好む」と説かれ、人間は口で4とおりの悪をつくっていると教えられます。
「綺語(きご)」「両舌(りょうぜつ)」「悪口(あっこう)」「妄語(もうご)」の4つです。その中の「両舌」と「悪口」を詳しくみてみましょう。

口の行い(両舌)二枚舌

両舌(りょうぜつ)といわれるものがあります。
二枚舌ともいわれて、仲の良い2人の間をさいて、仲悪くするようなことを言うことです。
皆さんの周りにもいませんか?人の間に入り込んでくる人!

たとえば、AさんとBさんがとても仲がいいのが気に入らなくて、Cさんが2人の仲をねたみ、
「ねえねえ、Aさん。Aさんのこと、Bさんが陰では『あなたみたいな人、嫌い』って言ってたわよ。『表面上は合わせてるけど、本当は、あなたといると疲れる』って」

また、Bさんのところへ行って、
「ねえねえ、Bさん。Aさんがね、あなたの悪口を私に言っていたわよ」

と2人がお互いに不信を持つように仕向ける。
すると、2人は互いに意識して、仲悪くなってしまう。
それを見て、ほくそ笑むという人がCさん。
そんなCさんのような人は要注意です。
Cさんの思いを言ってくるわけですから。

「あなたのことをこう言っていた、ああ言っていた」と言う人は、本当に注意したほうがよいです。それによって惑わされるだけです。
10中8,9は、Cさんの思いを言っているだけですから。

口の行い(悪口)わるくち

次に悪口(あっこう)です。
中傷であり、悪口(わるぐち)のことです。

私たちは、人のうわさ話とか、悪口が好きですよね。悪口言っているときのあの元気なこと。
大きな声で、周りの迷惑考えず、
「ねえ、ちょっと聞いた?お隣のご主人ねえ、会社で大きな損失を出したそうよ。大変よねえ。奥さんが家できちんとしてないからでないの。あの奥さん、だらしないわよねえ。ゴミ出しでも期日守らないし、玄関の手入れもしていないし、あれじゃあ、ご主人もかわいそうよね」
「ほんとほんと、あの奥さん、ブランドものばかり身に着けて、さも『私、持ってます』なんて威張っているでしょう。派手よねー」
「家事もできないで、お金遣い荒いんじゃあ、ご主人も大変よねえ。そうそう、子供もね、この間、学校で悪さして、呼び出されたそうよ」
・・・・
など、どんどん話が膨らんでいって延々と続きます。
3度のごはん食べるよりも人の悪口が好き、という人さえいます。

悪口ばかり言っている人は、その友達も今度は自分が言われているのではないかと、不審を持ち、その人から離れていくものです。
仏教で悪口は、悪いことであると教えられていますから。
自分も損をしますし、その悪口を聞いた人は、悪口言っている人を嫌いになります。

恐ろしいもので、陰で悪口言っていても、それが本人に伝わるんですね。
皆さんは、自分の悪口言っている人、好きになれますか?
嫌いになりますよね。

だから「みんなから嫌われたかったら悪口を言ったらいい。好かれたかったら、褒めればいい」と言われます。

同じ口から発するのでも、たねまきが全く違いますから、悪口言っている人は、信用も失いますし、みんなから嫌われます。

口は禍の門~語殺とは?

「口は禍(わざわい)の門」と言われますが、言葉で人を殺すと書いて「語殺(ごさつ)」というものがあると仏教では教えられます。
こんな話があります。

あるところに120歳になる老婆がいました。
世の無常は年齢に関係なく、子供や孫やひ孫が、老婆よりも先に亡くなってしまった。
すると、子供や親せきに
「婆さんと変わっておればよかったのにな」
と言われたそうです。
言われた老婆は
「わしはそのたびに殺されたんじゃ」
と言ったといいます。

「あんたと変わっておればよかっったのにな」
とは、自分が殺されたような気持ちになりますよね。

自覚のないところで他人を傷つけている

私も、こんな経験があるんです。

昔、ある女優が亡くなった時に、学校でクラスの友達と
「あの女優さん綺麗だったのにね、残念だね」
と話していると、ある男の子が、私に向かって
「おまえと変わっとればよかったのにな」
って言ったんですね。

もう、私は、殺されたように思いましたよね。

「なんで私が、その女優と何の関係があるの?」
「え、何で私がそんなことをあなたに言われなければならないのよ?」

かなり傷つき、今でも覚えています。
心の傷は消えないのです。
言ったほうは自覚が無くても、言われたほうは死ぬまで忘れられないものです。
私たちは、どれだけの人を傷つけ、殺してきたかわかりません。

人のふり見てわがふり直せ

今日の悩み相談の内容は、

他人の言葉で傷つけられて、やる気を無くしています。
どうして人はこんなにも無神経なことを言うのでしょうか。

仏教では、人間は、口でいろいろなことを言って、人を傷つけたりするものだ、と教えられているのです。それは、悪だと教えられています。

ただ、自分も自覚がないところで言っているのです。できるだけ自分は言わないように努力していくことが大事だと教えられています。

他人から言われて傷ついたことは、自分は人には言わないように気をつけようと努力することが大事だと言われています。

「人のふり見てわがふり直せ」と言われますよね。
無神経なことを言う人を反面教師として、あきらかにみて、自分は、言わないように心がけていけば、必ず、その努力は報われると思います。

また、傷つけられても、それに対して復讐しようとか、反撃すると余計、悪いたねまきをすることになりますから、それはやめたほうがよいです。
以前「倍返し」なんて言葉がはやりましたが、ドラマだからこそで、実際には難しいですし、してもその結果を受けるのは自分ですから。

「そういうひどいことを言うのが人間なんだ」と仏教を聞けばよく分かりますので、自分は言わないように努力していくことが大事だと思います。

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善いたねまき「優しい笑顔で優しい言葉」

口でつくる行いには、「悪いたねまき」もあれば「善いたねまき」もあります。

あなたが、いつも優しい笑顔と優しい言葉で人に接すれば、周りの人を幸せにすることができるでしょう。これを「和顔愛語」と仏教で教えられます。

「ありがとう」は、誰に言っても喜ばれる言葉です。
特に奥さんがご主人に一番言ってもらってうれしい言葉です。

子供が親から言われてうれしいのは「おまえならできる」。

同じ口の行いでも、そうした優しく温かい言葉で、人を喜ばせることができたらいいですね。

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この記事を書いた人

仏教講師:山本 真紀

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