生と死

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人生100年時代、延びた命で何をする?

こんにちは、齋藤勇磨です。

「さっと書き込める」「直感的に使える」など、紙の手帳には、様々なメリットがあります。

スマホのカレンダー機能を、手帳代わりに使う方も増えてきましたが、紙の手帳を選ぶ人は多いようです。

ベストセラーのビジネス書『メモの魔力』の編集を担当した竹村俊助さんも、デジタルよりも紙の手帳を愛用している、といいます。

その理由は、「時間に対する『手触り感』を体感」できるから。

どこまでも続くネットのカレンダーは、まるでいつまでも生きていられるかのように錯覚させます。

しかし、紙の手帳は、使っていくと、残りのページがどんどん減っていく。

時間が過ぎ去っていく感覚を実感できるので、ダラダラした時間を過ごせなくなる。

「紙の手帳を使うことで、自分の時間、つまり自分の人生に意識的になれる」と言うのです。

複数の案件を抱え、いつも〆切に追われる竹村さんは、新たに手帳をプロデュースしました。

キャッチコピーは、〈〆切を制するものは、人生を制する〉でした。

人生100年になったといえど

今や「人生100年時代」と、あちこちで耳にするようになりました。

戦争直後は、男女とも平均寿命は50歳ほどでしたので、著しく延びたといえるでしょう。

この「人生100年時代」というキーワードが、日本で広まるきっかけになった書籍が『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略』です。

ロンドン・ビジネススクールの教授を務めるアンドリュー・スコットさんとリンダ・グラットンさんの共著で、2016年10月に刊行されてベストセラーとなりました。

これまで、多くの人は人生で、3つのステージを生きてきた、と著者は言います。

20代くらいまでに教育を受け、その後65歳くらいで定年するまで働き、あとは引退し、短い余生を楽しむ、というものです。

寿命が延びれば、余生も20年、30年と長くなります。

また、人工知能の発展などによって機械の生産性が高まり、人間は、退屈な仕事から解放されて、生きるために働く必要がなくなるだろう、との予測もあります。

しかし、考えてみると、どんなに長生きしても、やがて必ず死なねばなりません。

人生には、〆切があるのです。

どれだけ自由な時間が増えても、有限であることに変わりはありません。

肝心なのは、その時間を何に使うのか、です。

限りある時間の使い方

『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン著)には「普通の人の人生は4000週間しかない」と述べています。

運が良ければ90歳まで生きて「4700週(実際には4680週)」になることを考えても、「人生は有限である」ということがわかります。

しかも、古代ローマの哲学者セネカは、

「われわれに与えられたこの時間はあまりの速さで過ぎてゆくため、ようやく生きようかと思った頃には、人生が終わってしまうのが常である」
『人生の短さについて』

とも述べています。

時間を有効に使おうと考える人向けに、世の中にはタイムマネジメントの指南書があふれています。

日々の雑務を効率化するための「ライフハック」を紹介するウェブサイトもうんざりするほどあります。

しかし、それに成功したところで、ストレスは減らないのです。

以前よりもっと忙しく、もっと不安で、もっと空虚な気分になるだけなのはなぜでしょうか。

効率化の罠

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールは、現代社会の生活をベルトコンベアに例えています。

「より生産的に」行動すると、ベルトの速度がどんどん上がる、というわけです。

しかし、どんなに大量の仕事をこなしても、どんなに成功しても、自分は本当にやるべきことをやっていないのではないか、という、人生そのものの疑問は消えません。

このベルトコンベアは、やがて私たちを、死という確実な未来へと押し流していくからです。

どうしようもない力で、どんどんと死へと近づいているのに、自分はいったい何のために生きているのか?

この問いに向き合うことが、まずは重要なのですが、目の前の仕事をせっせとこなしているかぎり、そんな状況を疑問に思わなくてもよいわけです。

生活の効率化に躍起になっているかぎり、人生が突きつけてくるもっと大きな課題から目を背けていられる。

そんな、「効率化の罠」に私たちは陥っているのではないでしょうか。

人生の〆切がきたら

いつまでも生きていられるのではありません。

真に賢明な人は、死という人生の〆切を考えずにおれなくなります。

どんな人にも「人生最後の日」は必ず訪れます。しかも、早ければ、今日かもしれません。

では、死ねば、私はどうなるのか。死後は、有るのか無いのか。有れば、どんな世界なのか。100パーセントの行き先なのに、サッパリ分からない……。

「来世が、わたしにはたいへんな謎なんです! だれ一人、ほんとうにだれ一人、これに答えてくれないのです!」(『カラマーゾフの兄弟』ドストエフスキー)

その不安は、目を背けたり、何かで誤魔化したりしても、消えるものではありません。

未来が真っ暗がりのまま、今を思いっきり明るく楽しく生きようとしても無理でしょう。

この「死後に暗い心」があるために、人生には常に不安が付きまとうのです。

この心を仏教で無明の闇と言い、これが人生を苦に染める根元だと教えられます。

“有限”かつ、”残り時間が不明”な人生、命ある間に、為さねばならぬことは何か。

これ一つ果たせば、「生きてよし、死んでよし」と喜べる世界はあるのか。

それこそ「人生の目的」といえるものです。

詳しく知りたい方は、ぜひ、こちらの記事をごらんください。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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