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元企業戦士、定年後の人生、本物の幸せを求めて

こんにちは、おさじまです。私の父親もいよいよ退職し、第二の人生をどうしようかと考えているようです。そういえば今は団塊世代の人が大量に退職する時代。多くの人が定年後どう舵を切るか、その情報を求めています。

うまくいく人もあれば、裏目に出る人もある。その違いってどこにあるのでしょう?  ビジネス一辺倒だったある企業戦士が、定年後ちょっとしたきっかけで大きく人生の舵を切り直し、自分でも驚くほど素晴らしい人生を歩むようになったことを耳にしました。今日は、その貴重な情報をシェアいたしましょう。  

第二の人生、趣味と遊びでおしまい? それでいいの?

ダイエーが流通業界を席巻した昭和40年代、トイレットペーパーやティッシュの仕入れで頭角を現し、のちに全国の製紙業界を動かす「紙サマ」と呼ばれた男――松山徹さん、68歳。  
企業戦士も定年過ぎて人生が一転、今は第二の人生を満喫する日々という。  

「おかげさまで毎日が幸せです。だから私と同じく、ただ走り続けてきたような団塊世代の人に言いたいんです。第二の人生、趣味と遊びでおしまいですか?と」

常に走っていないと不安で、仕事にのめり込んでいた日々

昭和45年、関西学院大学を卒業後、ダイエーに入社。価格破壊、流通革命を掲げ、小売・流通業界に殴り込みをかけてきたダイエーには、エネルギッシュで野武士のような社員がゴロゴロしていたという。  

当時のダイエーは毎年100店舗拡張が目標で、店長クラスの養成が急務となっていた。松山さんは幹部養成のモデルケースとして、入社半年で主任、翌年にはスーパーバイザーとして8店舗を任された。  
「毎日がすごいスピードで動いていました。新店舗が次々オープンし、中内社長直々に視察に来ますから、準備が遅れたでは済まされない。開店前はいつも徹夜でした」  

残業月100時間超、有給どころか公休もなし。昼も夜もない生活と責任の重圧で、昭和47年、十二指腸潰瘍で入院。胃の3分の2を切除した。  

「病院へ見舞いに来てくれた兄に、『会社に行かないと遅れる、取り残される』とうわ言を言ってたらしいんです」と苦笑する。  

やがてダイエーは東証一部に上場され、三越を抜き小売業売上高日本一を達成。破竹の快進撃に、仕事が楽しくて仕方なかった。今では普通の、ティシュ5個パック、トイレットペーパー12ロールは松山さんのアイデアで、これで売り上げが劇的に伸びた。  

また、薬品と化粧品売場を融合したへルス&ビューティー部門を立ち上げ、その斬新なアイデアはビジネス誌でも特集された。  

「東京や九州の企業との合併、アメリカ型大型店舗の出店と、常にダイエー拡大路線の最前線にいました。『よい品をどんどん安く、より豊かな社会』を目指し、24時間年中無休の精神で世界中を飛び回っていました」  

だが11年に及ぶ単身赴任、父親の死に目にも会えない忙しさ。気がつけば家族との間に埋めがたいミゾができていた。わが家とはいえ心通わす会話は絶え、大邸宅に孤独だけがあった。  

「常に走っていないと不安で、余計、仕事にのめり込むようになっていました」  

 しかし……  

会社のために体を壊すほど頑張ってきたのに、なんで俺が?

中内社長が目標とした「物質的な豊かさ」を国民が実現すると、ダイエーは次の目標を見つけられなかった。 経営陣も過去の遺産を食いつぶすだけで、新しいコンセプトを打ち出せず、ダイエーは次第に存在価値を失い、時代の大きな流れに飲み込まれていく。   

平成16年、突然「一律の定年を設ける」という社内通達が松山さんに突きつけられた。役職者は一従業員として残るか、去るかの選択を迫られた。事実上のリストラである。  

「会社のために体を壊すほど頑張ってきた。家庭も犠牲にし、休日返上で働いた。なんで俺が?」と思った。  

仕事で何度も苦境を味わい、タフさには自信はあった。だが、永年勤めた会社に捨てられたむなしさはさすがにこたえた。立ち上がる気力が出てこない。この気持ちを誰かに分かってほしかった。 
そんな時、「氷見のブリでも食べないか?」と、富山にいる大学時代の友人に誘われた。そのお気楽さに何かホッとし快諾した。  

行ってみると、富山では報恩講という浄土真宗の伝統行事が各寺々で行われていた。  
「富山という所は、今でも生活の中に仏法が根付いているのですね。そこで初めて聞いた仏法にビックリでした」  

人生とはいわば「苦しみの海」で、金や財産、仕事などは、海面に浮かぶ丸太のようなもの。すがっては裏切られ、すがってはまた裏切られる。そう言われた時、心にピタッときた。  

振り返れば、仕事で他人に差をつける、それしか頭になかった。でも、あれだけ走り続けて今、自分の掌中に「幸せ」と呼べるものが何一つないことに気がついた。  

「言うなればそれまでの自分は、速度計だけで羅針盤のない船みたいなものだったんです。方角が分からなければ結局は無駄、お話を聞いてそれがしみじみ分かったんです」  

それなら仏法に説かれる幸せとは、一体どんなものだろう?松山さんはどうしても聞いてみたくなった。  

団塊世代の第二の人生、もっと大事なことがある!

人生には、本当の意味での正しい方角が必要だ。その正しい方角を人生の目的という。
なんのために生まれてきたのか、なにのために生きているのか、なぜ生きていくのか。これがハッキリしてこそ、すべてのことが生かされる。
人生の目的を知ることが、これほどの心の底からの喜びと力を与えてくれるものかと松山さん自身驚くほどだといわれます。  

「私と同じ会社の〃働きバチ〃で、定年後を夢みていた同僚が、最近次々と亡くなっています。訃報を聞くたび、ジッとしていられなくなるんですよ」と、松山さんは言います。  

「団塊世代は、第二の人生で皆何かをやりたいと思っています。でも田舎暮らしや世界旅行、陶器作りぐらいしか思いつかない。そんな人たちに問いかけたい。人生、もっと大事なことがあるんじゃないの?生涯かけて悔いない人生の目的を見つけないといなんのじゃないの、と。私は団塊の先陣を切ってそう伝えたいんです」  

 ※プライバシー保護のため、人名は一部仮名にしております。  
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