【目次】
- 感情は、状況によって決まるのではない
- 嫌な感情は、特有の思考を「特定」し、「変える」ことができる
- 状況をどう考え、どう行動する?
- 思考は「生まれつきの特性 + これまでの経験」によって生じる
- 「認知のゆがみ」「思考のクセ」といっても、欠陥があるわけではない
- 悲観的な人が、認知行動療法のスキルを身につけたら「最強」
- 「思考を変えられる」という体験をすると、自信がつく
はじめに

今回はこんなお悩みについてです。
考え方を変えたいと思われているのですね。
私が認知行動療法を学び始めたころ、「認知のゆがみ」や「思考のクセ」と聞いて、なんだか欠陥があるようなイメージがありました。
でも、そういうことじゃないんです。
私が認知行動療法をうまく使えるようになったのは、そもそも「認知行動療法の捉え方」を変えたからでした。
「認知行動療法」を、認知行動療法の考え方で捉え直したんですね。
その結果、落ち込む時間が短くなり、あなたのエネルギーを使いたいところに使えるようになります。
そういう観点から、「認知行動療法」を一緒に学んでみましょう。
感情は、状況によって決まるのではない

同じ状況でも、人によって、それぞれ異なる影響を受けます。
わかりにくいかもしれませんが、
「あなたの感情は、状況によって決まるのではない」ということです。
ということは、「状況」以外に、あなたの感情を引き起こす要素があるはずです。
それは一体、何でしょうか。
あなたの思考、感情、行動は、つながっています。
行動も変えることができます。
それはまるで、色メガネをかけているようなもの。
・きいろの色メガネをかければ、世界はきいろに見えます。
思考が変わると、それくらい、まわりの世界の見え方が、完全に変わってしまうのです。
ここで間違わないでほしいのは、環境から影響を受けている人に「考え方を変えればいいんだよ!」と安易に言っていいものではないこと。
人が意識的に考えていることは、ごくわずかです。
30歳の人なら、それまでの30年間、経験したこと、学習してきたことがあります。
能力や才能、生まれつきの特性、置かれた立場など、さまざまなことが複雑に絡み合って、その人の「考え方」を作り上げています。
その人の立場や状況を理解しようとせず、簡単に決めつけると、相手を傷つけます。
傷を負っている人に、傷口に塩を塗るようなことはしないでください。
今でもかなり傷ついているのに「考え方を変えなきゃ」「また落ち込んじゃった」と自分に鞭打って、責める必要はありません。
あなたが今の考え方になったのは、背景があります。
自分の感情を否定しがちな人は、先にこの記事を読んでみてくださいね。
嫌な感情は、特有の思考を「特定」し、「変える」ことができる

認知行動療法(CBT)は、1960年代、精神科医アーロン・ベックによって開発されました。
感情的な問題は、特有の思考を「特定」し、「変える」ことができる。
そんな「思考パターン」が存在することが発見されたのです。
当時、主流だった心理療法は、何年もかけて形作られた幼少期の葛藤を、専門家のカウンセリングを何年も受けて掘り下げる方法でした。
認知行動療法は、気分を改善するために、具体的なスキルを学べるということで、当時の治療において画期的でした。
認知行動療法の基本となる考え方は、シンプルです。
あなたが嫌な感情に悩まされているのなら、思考パターンを変えることで、もっと有意義にすることができるかもしれません。
状況をどう考え、どう行動する?

なにか起きたとき、感情が起きるのは当然だと思っていませんか?
たとえば、
「そういう感情が起きるのも、当然だよね」という部分も確かにあります。
共感やねぎらいの心で接し、優しい言葉をかけることは大切です。
状況をどう考え、どう行動するかは、人それぞれ。
・「一体どんな奴か見てやろう」と興味本位で追いかける。
・「あーあ、幼稚だな」と呆れて放っておく。
・「危ないから離れよう」と、そっとサービスエリアに避難する。
・車中の好きな音楽に集中して、何事もなかったように楽しむ。
その出来事を、あなたがどう解釈するかによって、決まります。
たとえば既読スルー。
Aの考え方をすると、嫌な気分になり、イライラして、落ち込むかもしれません。
Bの考え方をすると、中立的な気分でいられます。
たしかに気になるかもしれませんが、少し気になる程度で、あなたの気力を削がれるほどにはなりません。
≪ここまでのポイント≫
思考は「生まれつきの特性 + これまでの経験」によって生じる

世の中には、いろんな人がいます。
あまり反応しない人。
ほとんど動じない人。
石橋を叩いて渡る人。
経験が少ないために、大げさに騒ぐ人。
私は、「慎重」かつ「感情が揺さぶられやすい」タイプです。
楽観的とはいえず、最悪の状況も考えます。
そのおかげで、テストの対策は万全にしていました。
そのせいで、不安や落ち込みから立ち直れない時期もありました。
特性だけで人生が決まるのではありません。
あなたの思考は、「生まれつきの特性 + これまでの経験」によって生じます。
とはいえ、経験不足だと落ち込む必要もありません。
経験豊富なことがプラスに働くことも、足かせになることもあります。
「これまで、こうやってきたんだから」と既成概念に囚われて、大胆な発想ができなくなることもあります。
だから「こんな考え方はダメなんだ」「直さなければいけない」と自分を責める必要はありません。
「認知のゆがみ」「思考のクセ」といっても、欠陥があるわけではない

私が認知行動療法を学び始めたころ、「認知のゆがみ」や「思考のクセ」と聞いて、重苦しい気持ちになった覚えがあります。
・性格がゆがんでいる
・矯正しなければならない
こんなイメージがありました。
それでますます「自分はダメなんだ」という思いを強めて、落ち込んだ時期もありました。
でも、そういうことじゃないんです。
心理学的なデータからいっても、最悪の状況も考えられるのは、「知能の高さ」と深い関わりがあります。
ハーバード大学の調査によると、医学部生の27.2%が「うつ病・抑うつ症状」を抱えていることがわかりました。(米医学誌「JAMA」47カ国を対象とした研究、2016年)
世界の人口に対する、うつ病の比率は約2%と推定されるので、医学部生のうつ病の割合がいかに高いか、わかりますね。
もちろん、プレッシャーや多忙さも影響するでしょう。でもそれだけではないはずです。
両方の側面があるのではないでしょうか。
日本でも、芥川龍之介や川端康成、太宰治など、知能の高い人は不安が強いようです。
彼らの作品を読めば、「認知のゆがみ」や「思考のクセ」と思えるような表現はいくらでも出てきます。
落ち込みやすいからこそ、読み継がれる傑作を書き残せたともいえます。
≪ここまでのポイント≫
悲観的な人が、認知行動療法のスキルを身につけたら「最強」

それでも、落ち込む時間を短くして、あなたのエネルギーを使いたいところに使うなら、認知行動療法は有効です。
私が認知行動療法がうまくいくようになったのは、そもそも「認知行動療法の捉え方」を変えたからでした。
認知行動療法を、認知行動療法の考え方で捉え直したのです。
落ち込む考え方
・認知行動療法をやらなきゃ、治らない
・考え方を矯正しなければならない
中立的な考え方
・マイナスな考え方はできる。プラスな考え方もできると、なお良い。
・私は最悪の状況を考えることができる。真逆の可能性も考えられるようになれば、多角的な視点を手に入れて最強だ。
・今までになかった考え方を身につけられるなんて、ワクワクする。
実際、はじめから楽観的な人に「危機管理をしなさい」と言っても、難しいものです。
危機的な状況を、想像することができないからです。
悲観的な私が、認知行動療法のスキルを身につければ、ポジティブでいながら危機管理ができる「最強な」自分になれると思ったのです。
「思考を変えられる」という体験をすると、自信がつく

認知行動療法の考え方が身につくと、嫌なことがあっても「プラスの側面」を発見する力がつきます。
これまで慣れ親しんだ「自分の考え方」と、「別の考え」を書き出す練習をするからです。
そして「これまでの考え方を採用するか? 別の考えを採用するか?」
自分で選ぶことができるようになります。
これまで「落ち込む」一択だったのが、新たに身につけたスキルで、「ワクワクさせる」選択もできるようになる。
これまでの自分を否定するのではありません。
慣れ親しんだ「自分の考え方」が消えてなくなるわけでもありません。
新たな選択肢が加わるだけです。
認知行動療法の具体的なやり方については、次回以降、少しずつお話ししていきます。
おわりに

仏教には、「転悪成善」という言葉があります。
苦しみが転じて、幸せになる、ということです。
悩んでばかりいた私が、明るく元気になったのは、「これまでの悩みがあったからこそ、こんな幸せになれた」と感謝の心で過ごせるようになったからです。
仏教を正しく聞けば、誰でも「転悪成善」の身になれるのですよ。
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