「あ~あ、毎日、同じことの繰り返しで嫌になっちゃうなあ。いっそ宇宙にでも行けば、人生観が変わるのかな」
そんなふうに思っている人はいませんか。
3度の宇宙飛行を経験し、57歳でJAXAを退職した野口聡一宇宙飛行士。
その輝かしい活躍の陰に実は、自分を見失うほどのつらく苦しい10年の日々があったといいます。
宇宙に行ったら人生変わる?
野口さんが初めて宇宙に行ったのは2005年、40歳の時。
それから何度となく「宇宙に行って人生観は変わりましたか?」と質問されたといいます。
「宇宙へ行くという劇的な体験をして、人生観が変わらないわけがない」と多くの人が思うのも、無理からぬことでしょう。
最初のフライトは2週間だけ、地球では絶対に経験できない様々な出来事に感情を揺さぶられ、ミッションに追われているうちに終わってしまいます。
その後、すぐに2回目のフライトのための準備が始まり、野口さんは、「宇宙へ行って、自分の何が変わったのか」を落ち着いて考える余裕がありませんでした。
当時、野口さんは、人々の期待に応え、宇宙に行って「変わった」と言わなければならないと思っていたそうです。
2回目のフライトは2009年、野口さんは再び宇宙へと飛び立ち、国際宇宙ステーション(ISS)に約半年間滞在。
様々なミッションを達成し、その時点での日本人宇宙飛行士の宇宙滞在期間の最長記録を更新しました。
また、Twitter(現・X)を通じて情報を発信し、地球とリアルタイムでの交流をしたり、テレビのバラエティ番組に中継で出演したりもしました。
何が変わるのか、宇宙に行く意味をつかみたかったのでしょう。
「宇宙一暗い宇宙飛行士」
ところが、あまり知られていないことですが、2回目のフライトのあと、野口さんは非常に大きな苦しみを抱えることになりました。
苦しみの大きな原因の一つを以下のように語っています。
それまで寝ても覚めてもずっと頭の中にあった『宇宙でのミッション達成』というプレッシャー(重石)が取れ、今後自分がどこへ向かっていけばいいのか、方向感を失ってしまったことにありました。
また、ほかの宇宙飛行士が次々に脚光を浴び、自分が打ち立てた記録が更新されていく中で、『自分はもう必要とされていない』『自分には価値がない』と感じ、『あれだけ夢中になっていたことは一体何だったのか』『それに価値がないとすると、自分の存在意義は何なのか』という思いにさいなまれるようになり、何もやる気が起きなくなってしまったのです。
(『どう生きるか つらかったときの話をしよう』野口聡一著・アスコム)
苦しみは、40代半ばから50代半ばまで、約10年間続いたと言います。
「宇宙一暗い宇宙飛行士」だったと振り返る野口さんは、「自分は何者なのか」「自分は何のために生きているのか」「後悔のない人生を送るためにはどうしたらいいのか」といった問いへの答えは、宇宙へ行っただけでは分からない、と述懐していました。
目標を達成したあと、力尽きてしまう
「燃え尽き症候群」になる人が少なくありません。
ようやくかなった夢なのに、「獲られたものはこれだけか」とガッカリした体験はないでしょうか。
皮肉なことに、苦労を重ね、大きな目標を達成した時ほど、「私は何をやっていたのだろう」、「こんなことに苦しんでいたのか。もっと何かがあるのでは……」と、拍子抜けしたような、奈落の感覚に一転しやすいのです。
宇宙に行くのも、“生きる目標”です。
真の生きる目的は、達成すると色あせる“目標”とは、全く違います。
人生の目的が分からず、目標しか知らない人生は、例えるならば、ゴールなしで、給水地点を突破し続けるマラソンのようなもの。どこまで行ってもたどり着いた、ということがありません。
目標地点を通過した満足感はいっときのもので、やがて単なる記憶に変わってしまいます。
しかし、私たちが本当に欲しいのは、色あせることも薄れることもない幸せではないでしょうか。
それこそ、本当の人生の目的と言えるのではないでしょうか。
『アンネの日記』の著者として知られるユダヤ系ドイツ人の少女、アンネ・フランクは、次にように記しています。
私たちの人生は一人ひとり違うけれど、されど皆同じなのです。
「変わらない幸せ? 人生の目的? そんなもの、最後まで見つからないよ」と、あきらめる人も、少なくないかもしれません。
ところが、実は、そんな幸せが、仏教にあるのです。
ぜひ、こちらの記事をごらんください。
人生の目的が5ステップで分かる
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