人間関係

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私って愛着障害かも。自己診断テストで、愛着障害のタイプを知ろう。

愛着障害(アタッチメント障害)とは

こんにちは、心理カウンセラーの月見草です。

「愛着障害」って知っていますか?

「愛着障害」とは、人間関係を築くのに苦痛を感じやすく、警戒し過ぎたり、逆に、誰にでもしがみついたりすることを言います。アタッチメント障害とも言います。

……と言っても、よくわからないですよね。

あなたは「愛着って何ですか」と聞かれたら、答えられますか?

愛着(アタッチメント)とは、心の結びつきのことです。

人と心が通じている、心がつながっている、安心できる。私が話した言葉を、正しく受け取ってもらえる。私も相手の言葉をそのまま受け取れる。

このように「安心して接することができる」なら、愛着が築けているといえます。

ところが、安心できる人間関係を築けない「愛着障害」をもった人がいます。

もとは幼少期に親との愛着がうまくいかなかったことが原因で、大人になっても人間関係の中で安心することがありません。

あなたが「私って愛着障害なのかな」と思っているなら、この記事を読めば、愛着障害をもっているかどうか、わかります。

実は、「愛着障害」とは、医学的には子供につけられる病名です。

しかし、大人になってから、ほかの病気になったり、人間関係がうまくいかなかったりして、「私、愛着障害をもっていたんだ」と気づくことも多いのです。

私自身、愛着障害に気がついたのは、大人になってからでした。それなりに人間関係もつくれると思っていたのに、どうしてもつらくなった時期がありました。その原因が愛着障害だと気づき、特徴を知ってから、とても生きやすくなりました。

あなたが今、孤独感を抱いていたり、寂しさ、虚しさに悩んでいたりするなら、愛着障害があるかもしれません。

また、あなたが今、うつ病、社会不安障害、適応障害、パニック障害、心身症などの症状が出ているなら、愛着障害をひきずっていることが原因かもしれません。

あなたが愛着障害をもっているかどうか、まずは自己診断テストをやってみましょう。

愛着障害の自己診断テスト

この自己診断テストで、愛着障害のタイプと特徴を診断することができます。

(あくまで自己診断なので、病気の有無を判定するものではありません。また、このテストで愛着障害と思われる場合も、本人がそれほど苦痛を感じていない場合、愛着の特徴を変える必要はありません。)

<愛着障害の自己診断テスト>

  1. 恥じている過去について話すのは嫌だ
  2. 誰かと親密になると感情が激しくなるので、ポジティブなものであっても感じないようにしている
  3. 相手にコントロールされるのが嫌で、親密にならないようにしてきた
  4. 相手を大切に思っていると伝えるのが難しい
  5. 愛する人を失うことを心配するくらいなら、誰も愛したくない
  6. 相手は結局何らかのかたちで自分を裏切るだろうと思ってしまう
  7. 長い付き合いをしようと決心するのを恐れているところがある
  8. 相手の気持ちを傷つけるようなことを自分はするのではないかと心配になる
  9. 些細なことがとても気になるので、誰とも心からは親しくなれないと思う
  10. 自分が見せるなにかが相手をうんざりさせたり、怒らせたりするのではないかと心配になる
  11. 「これだけ合わせているのに報われない」と思うことがある
  12. 今まで、親しい付き合いの中でも自分の気持ちをつねに抑えてきた
  13. 相手の前で自然にのびのびとふるまうことができない

「はい」と答えた数が多いほど、愛着障害を起こしている可能性が高いです。

愛着障害の自己診断テストの結果

  • 「はい」が2個以下なら、愛着障害のおきていない〔愛着 安定型〕
  • 問1~7に「はい」が多かったなら、〔愛着 回避型〕
  • 問5~10に「はい」が多かったなら、〔愛着 恐怖型〕
  • 問8~13に「はい」が多かったなら、〔愛着 注目獲得型〕

あなたが「自分に近い」と感じる愛着障害のタイプについて、次の章を読んでみてください。特徴と原因、どうすればいいのかをお伝えします。

愛着障害のタイプと特徴

愛着障害のタイプは、人と接する時、どのように愛着をもつ癖をもっているかによって分けられます。

安定型は愛着障害のないタイプですが、回避型・恐怖型・注目獲得型は、愛着障害によって症状が出ている可能性があります。
(大人の愛着スタイルについての診断テストなので、医学的に幼児に診断される愛着障害とは異なります。)

愛着障害のない安定型と、愛着障害をおこしている3つのタイプの特徴

〔愛着 安定型〕 50%
愛着障害のない、安定した愛着を持てるタイプ。
〔愛着 回避型〕 25%
親密さは、避けたほうがいいと思うタイプ。「私は充実しているから、親密な関係は必要ない」「誰の世話にもならない」などと言う特徴がある。なにかあると「相手が悪い」という言動をとりやすいが、心の底では(本人も気がついていない場合も多いが)見守られたい、大事にされたいという強い欲求があり、孤独を抱えている。
〔愛着 恐怖型〕 15%
不安を感じ、おびえやすいタイプ。慢性的に引っ込みがち。うまくいっているように見える人間関係にも、疎外感を感じていることが多い。「いつか拒絶される」恐怖心をもつという愛着の特徴がある。少しうまくいかないことがあると、「ぜんぶ自分が悪い」と思ってしまいやすい。
〔愛着 注目獲得型〕 10%
親密な関係を築きたいと思っているが、「相手は私には関心がないのではないか」と不安になるタイプ。相手に関心をもってもらうために、必死に相手に合わせようとする愛着の特徴がある。注目を獲得しつづけるために多大な労力を使う。どれだけ相手のために頑張っても、すべてを合わせることはできないので、虚しさを感じたり、相手との関係を断ってしまうこともある。

回避型・恐怖型・注目獲得型の特徴をもつ人は、人と愛着(心の結びつき)を築くことが難しく、子供の頃にすでにおきていた愛着障害を大人になってもひきずっている可能性が高いです。

なぜあなたは愛着障害をおこしたのでしょうか。原因をみていきます。

愛着障害の原因

愛着は、幼少期に人と関わる中で型をつくっていきます。幼児にとってもっとも濃密な愛着をもつのは、親ですから、親との関わりの中で愛着の型(愛着スタイル)が決まってきます。

・どれくらいの距離感なら、相手は快適に思ってくれるか
・どうすれば、自分のほうを見てくれるのか
・自分がつらい思いをしないようにするために、どうするか
・不快感をどのように表現するか

子供は、親が要求にどのように応えてくれるかによって、自分の態度を変えていきます。

親は本来、子供にとっていちばん安心できる関係です。

ところが、親といってもいろんな人がいます。子供にとって、じゅうぶんに安心できないこともあります。

回避型・恐怖型・注目獲得型といった愛着障害は、次のような親の関わり方によっておきます。

愛着 回避型

泣いても、応えてもらえない。そういうことが続くと、子供は泣くのをやめてしまいます。泣いても無駄だと学習するからです。

感情を表現しても、どうせ応えてもらえない、という愛着の型を身につけた人は、大人になってからも、「感情は表現しない」「他人には頼らない」という〔愛着 回避型〕になります。

愛着 恐怖型

泣くと叩かれる。大きな声で叱られる。そういうことが続くと、子供は感情を出すのを恐れるようになります。

また、なにもしていないのに親がイライラしていたり、喧嘩したりするのを見聞きしていると、「自分に原因があるのだろうか」「見捨てられるのではないか」という〔愛着 恐怖型〕になります。

愛着 注目獲得型

親の気分によって、甘えさせてもらえたり、叱られたり、一貫性のない関わり方をされていた場合になります。

自分の言動に対して、親の反応がバラバラなので、混乱してしまいます。

「こうすれば、親は応えてくれる」という安心感がもてないので、「どうすれば、どうすれば……」と考え続けます。

そのため、大人になってからも、相手の期待に応え続けねばならない、と必死になる〔愛着 注目獲得型〕になります。

このように、愛着障害がおきるということは、幼いながらに必死に考えて、「親の期待に応えよう」としてきた結果なのです。

子供の時からひといちばい頑張ってきた証拠です。その頑張りのおかげで、親との関係を築き、生き延びることができました。

生きていくために必要だったから、あなたは今の愛着の型を身につけたのです。

けなげに生きてきた幼いころの自分を、まずは褒めてあげてくださいね。

愛着障害のワナ

ここまで読んで、あなたは「私も愛着障害だった」と感じたのではないでしょうか。

原因がわかれば、対策をとり、愛着障害の症状を克服することができます。

しかし、愛着障害を克服しようとする中で、おちいりやすいワナがあることを知ってほしいと思います。

私自身、愛着障害について学んだとき、「今の私の苦しみの原因は、親だったんだ」と思いました。これが実は、新たな苦しみを生むワナになってしまったのです。

「私の苦しみの原因は親にある」という考え方の、2つの落とし穴。それは、

・幼いころに親が間違った育て方をしたせいで、私の人生をムチャクチャにした!私の人生を返せ!
→「もうこれからの人生の苦しみは変えられない」となってしまう。

・親が全部悪い。親のせいで、私は苦しい。責任をとってほしい!
→人生の主導権を、「私」ではなく、「親」にゆだねてしまっている。

この2つの考え方になってしまうと、これから、ずっと苦しいことになってしまいます。

トラウマとフラッシュバックを克服する方法で書きましたが、因縁果の法則にしたがって、正しく<原因>と<結果>の関係を知ることではじめて、苦しみの連鎖を断ち切ることができます。

すべての結果には、「因」と「縁」があります。
「因」は、自分が作り出すもの。
「縁」は、きっかけ。

自分の苦しみを作り出す「因」は、自分の行為です。親は、幼い子供にとっては強力な影響を与える存在ですが、あくまで「縁」に過ぎません。親が原因ではないのです。

今の自分の苦しみは、自分の行為を変えてゆけば、乗り越えられる。これからどんどん幸せという<結果>を得ることができるのですよ。

愛着障害の症状を克服するには

幼い時には、生きていく上で、親との関係が最重要でした。親から見捨てられたら、食べることもできなくなり、住む場所も失ってしまいます。

そのため、あなたは親から見捨てられないように、一生懸命、愛情をつなぎとめようとしてきました。しかし親との安定した愛着を築くことができず、愛着障害をおこしたのでしょう。

愛着障害をもったまま、生きていくのは、とても苦しいことです。

これまで、愛着障害を抱えながら、よく生きてきました。

これからは、愛着障害のつらさを克服して、安心できる人間関係の中で生きていきましょう。

親と関わる時間は、とても長いようにも思えますが、大人になってからは、親との関わりは少なくなっていきます。

これからは、パートナーや友人との関わりのほうが、ずっと長くなります。

もう自分の力で衣食住を得て、生きていくことができます。もし愛着障害が原因で、今は病気を抱えているとしても、さまざまな社会福祉サービスを活用して、自分の力で生きていくことができます。

愛着障害を克服するには、愛着障害という結果を起こしている「縁」を変えることが大切です。

「因」か「縁」を変えれば、必ず結果は変わります。「縁」を変えれば、必ず愛着障害を克服することができます。

子供のころは、親という縁を変えることは難しいことですが、大人になった今、縁を変えることができます。

安心できる人、尊敬する人と自分から関わっていくことができます。自分で良い縁を選ぶことができるのです。

愛着の方法は、人と関わる中で、どんどん変わっていきます。自分が安心できる人、尊敬する人と関わることで、安定した愛着を築くことができるようになります。

親との間で作り上げた愛着スタイルは、もう役目を終えました。これからは、安定した愛着スタイルに変えていくことで、愛着障害は克服することができます。

まずは良い縁を選びましょう。

※もっと愛着障害を克服する方法を知りたい方へ
愛着障害は、幼少期のトラウマの一種といえます。トラウマを克服する方法で紹介した「リフレーミング」は、愛着障害を克服する上でも有効です。

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この記事を書いた人

ライター:月見 草

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