目次
- 境界線(バウンダリー)とは?
- 境界線(バウンダリー)のゆるい人とは
- 境界線は、「私って何?」と考えること
- 境界線の理想は、風通しの良いもの
- 境界線の未熟さに気がついたあなたは、どんどん幸せに近づける
- 境界線スキルの熟達は、因果の法則にヒントがある
はじめに
境界線(バウンダリー)を知っていますか。
人間関係が苦しくなる理由の1つに、「境界線のもろさ」があります。
私はHSP(高感受性)という特性や、AC(アダルトチルドレン)育ちのため、境界線がもろく、長らく苦しんできました。
多くの人は、主に家庭環境で境界線の引き方を学びますが、私は学ぶ機会が少なかったのです。
境界線のことを知ってから、ようやくしっかりと学ぶことができ、人と接する中で境界線を引く練習をしてきました。
あなたが今、境界線がもろくて苦しんでいても、これから練習すれば必ずラクになっていきますよ。
境界線(バウンダリー)とは?
自分と相手との間にある「これ以上は踏み込まないでね」という垣根のようなもの
たとえば、隣家とのあいだには、法律上、設定された境界線があります。
国境や、県境、市区町村の区分など「ここまでがAの土地、ここからはBの土地」と言える境界線があるでしょう。
これは物理的に決められた境界線です。
同じように、個人にもさまざまな境界線があり、目に見えない心理的な境界線(バウンダリー)もあります。
「ここまでが私の領域、ここからはあなたの領域」というもの
「私の領域」には、次のようなものがあります。
それぞれの境界線について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
境界線(バウンダリー)のゆるい人とは
境界線のゆるい人とは、どんなタイプの人だと思いますか。
あなたにも当てはまるものがあるか、チェックしてみましょう。
優しい人
優しい人は、面倒な問題に巻き込まれやすい部分があります。
「誰も傷つけたくない」という気持ちが強すぎて、NOと言えず、自分を犠牲にするからです。
→ 境界線がゆるく、自分の境界線に他人を入り込ませている
自分を犠牲にしてあれこれ背負いこむと、結局、体調を崩してしまいます。あなたが体調を崩したら、自分も周囲も損をすることになります。
人の役に立ちたい人
人の役に立ちたい人は、無意識のうちに、自分より他人を優先しがちです。
→ 自分の境界線を考えておらず、巻き込まれたり、燃え尽きたりする
やがて共倒れになり、相手はあなたに依存していた分、ますます困ってしまいます。
自分の境界線をしっかり守れてこそ、人の役に立つことができるのです。
悩みが多い人
悩みの多い人は、話さないほうがいいことまで話してしまって干渉されたり、否定されたりしやすくなります。
→ 自分の境界線に「どうぞ入ってください」と言っているようなもの
誰に、どこまで話すかは、あなたの判断です。
人間関係で悩むのは、それだけ人と向き合っている頑張り屋さんなので、これ以上がんばる必要はないのですが、自分を守るスキルだけは身につけていきたいですね。
この「自分を守るスキル=境界線のスキル」はとても大事でありながら、身につけるまでに時間がかかるものなので、根気よくスキルアップを続けていく必要があります。
一緒に、これから少しずつ練習していきましょう。
境界線は、「私って何?」と考えること
境界線とは、「ここまでが私」という輪郭のようなものです。
身体は皮膚に覆われているので、「ここまでが私」とわかりやすいでしょう。
気安く触られたり、あまり近寄られると「近すぎる」「嫌だ」と感じるはずです。
「これ以上は近づかないで」と思う範囲が、あなたの心理的な境界線です。
好きな人には近づいてほしいので、境界線はぐっと近くなります。
嫌いな人には近づいてほしくないので、境界線は遠くなります。
嫌いな人に対して、あなたは境界線を遠くに引いているつもりなのに、相手が近づいてきて境界線にズカズカ入り込んでくる。
そんな感じがするのは、あなたの境界線が相手に伝わっていないのです。
侵入を許しているのは、あくまであなた自身です。
誰かから一歩、侵入されたとき、誰でも「これ以上はダメ」と表現することができます。あなたは、他人の侵入を阻止することができるのです。
境界線(バウンダリー)の訓練は、練習すれば、誰でもできるようになります。
どこまでが「私」なのか。
「私」を正しく知ることが、あなたの幸せの第一歩です。
境界線の理想は、風通しの良いもの
境界線がゆるくて苦しんできたあなたは、こう決意したかもしれません。
ところが、壁のような境界線を築いて、誰も彼もみんな排除してしまうと、行きつく先は「孤立」です。
たとえば家の境界線でいうと、分厚い壁があると自分は守られますが、相手のことも見えず、自分のことを知ってもらうこともなく、何も交流がありません。
壁がないのも、分厚い壁も、どちらも境界線スキルは未熟です。
境界線(バウンダリー)は、最終的には、風通しのよいものが理想です。
草木でつくった垣根のように、相手の姿は見える、ある程度は自己開示もできる、会話もできる。けれどズカズカと入り込ませはしない。
こんなふうに、風通しのよい「熟達した境界線スキル」が理想です。
誰しも境界線の弱い部分はあります。完璧な人なんていません。
だからこそ、人生経験を積んで境界線のスキルアップを続けてゆけば、弱い部分は補強され、分厚すぎる壁は風通しをよくして、草木の垣根のようになってゆきます。
自分も相手も心地よく過ごせるのです。
境界線の未熟さに気がついたあなたは、どんどん幸せに近づける
自分の「弱さ」を自覚して認めることができるのは、最大の強さですね。
私も日々鍛錬中です。失敗したり転んだりしながら身につけたものは、一生モノになります。
あなたも私も、一緒に少しずつ、自分らしく幸せに生きられるようになったらいいなと思います。
境界線スキルを高めるために、こんな練習をしてみましょう。
境界線ワークにもチャレンジしてみてくださいね。(紙に書き出すと効果が高くなります)
耐えてしまう前に、対等な位置に立つ
自分と相手は、それぞれが価値ある人間です。
どちらか一方が耐え続けるのは、良い方法とはいえません。
「お互いさま」で対等に話せるのが、熟達した境界線スキルです。
巻き込まれる前に、境界線を伝える
あなたは境界線を相手に伝えていますか。
言われるがまま、自分の限界を示さないなら、相手に境界線は伝わりません。
無理な依頼がきたら、必ず伝えるようにしましょう。
ズカズカと入り込まれる前に、自分を大切にする
茶化す、バカにする、じろじろ見る、悪口を言うなど、境界線侵入を繰り返す人に対して、なにも言わずに「仕方ない」「どうせ私は」と思ったり、「あいつのせいで」と陰で恨みごとを言うなら、あなたは自分を大切に扱っていません。
境界線に侵入されたら、不快になり、嫌な気持ちになるのは自然なことです。その正直な気持ちを否定する必要はないのです。
直接は言い返せなくても、「私は自分を大切にするために、あなたの言葉を受け入れない」と心の中で決断して、その人から離れましょう。
例)「仕方ない」「どうせ」「もう嫌だ」「あの人のせいで」「あの人が○○してきた」…など。
例)コーヒーを飲む、甘いものを食べる、お気に入りの本を開く…など。
怒りをぶつける前に、相手の境界線を考える
自分を守るために、境界線を引くために、怒りの感情に気づくことは大切です。
しかし、むやみに怒りをぶつけることは、あなたが相手の境界線に侵入することになりかねません。
しばらく時間を置いてから冷静に話し合う、誰かに間に入ってもらう、相談所を活用するなど、他の方法がないか考えましょう。
本人がいないところで怒りをぶちまけることも、まわりで聞いている人の安心を脅かしたり、知らないうちに傷つけたりと、だれかの境界線に侵入してしまっていることがあります。
あなたは無意識であっても、「境界線に侵入された!」と感じた人は、あなたを否定したり、冷たい態度をとったりすることにつながりかねません。
他人の境界線に侵入しないようにすることも、あなたの境界線を守ることにつながります。
境界線スキルの熟達は、因果の法則にヒントがある
境界線とは、「私って何だろう?」と考えたとき、「ここまでが私」といえる範囲を明確にすることです。
他人にも境界線を伝えることで、自分を守り、快適に過ごすことができるのが、境界線スキルでしたね。
「境界線スキルを高めていきたい」と思っているあなたに知ってもらいたい、とっておきの法則があります。
それは、因果の法則です。因果の道理、因縁果の道理ともいわれます。
因果の道理は、幸せの法則です。
悪因悪果 悪い行いは、不幸や苦しみ(悪果)を生み出す
自因自果 自分にやってくる善果も悪果も、すべて自分のやった行いによるものだ
因果の道理に、例外はありません。いつでも、どこでも、どんなことにも必ず通ずるものです。
今回はとくに「自因自果」について、考えてみましょう。
自因自果の反対は、他因自果です。
他因自果ということは、絶対にありません。あなたがそう思い込んでいるだけなのです。
「あの人が、あんなことをしたから、私はこんな酷い目にあった」と思うのは、「他因自果」だと思っている間違いです。
もし「他因自果」があると思うのなら、因と縁を混同してしまっているのかもしれません。
幸福や苦しみという結果を生み出すのは、あくまで因(あなたの行い)です。
縁も大きな影響を受けるので、大切なものですが、因を助けるものでしかありません。
「あの人のせいで…」「あの人があんなことをしたから…」「あいつさえいなければ」と他人をうらむ気持ちが出てくるときは、因果の道理を思い出してくださいね。
自分を責めるということではありません。自分の心・口・体の行いを変えてゆく、ということです。
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