人生の目的

特集・人生の目的 「人はなぜ生きるのか」が問われている時代

特集:人生の目的(1) 第1章 人はなぜ生きるのか?「人生の目的」なかったら大変だ!



 もし、「人生の目的」がなかったら、大変なことになります。
 生きる意味も、頑張る力も消滅してしまうからです。
 なのに、 「人生に目的なんて、ないよ」 と、言う人が、意外に多いのです。
 本当にそうでしょうか。何か、大事なものを、忘れていないでしょうか。
 1度きりしかない人生、後悔しないためにも、まず、「なぜ苦しくとも、生きねばならぬのか」を考えてみましょう。

  1. 「人はなぜ生きるのか」問われている時代
  2. 目的がなければ生きられない
  3. 目的なき人生イコール不安な人生
  4. 目的が先か 生きることが先か

(1)「人はなぜ生きるのか」 人生の目的が問われている時代

あなたの家族が、自殺しようとしたら、どう言って止めますか
 こう聞かれ、自信を持って答えられる人は、どれだけあるでしょう。

 日本の自殺者は平成10年に急増し、3万人を突破しました。近年は減少傾向にあるとはいえ、今なお年間2万人を超えています。1日あたり60~70人もの人が自殺していることになります。自分の家族や友人に、いつ自殺者が出てもおかしくありません。いや、自分自身が、何か大きな障害にぶつかった時、果たして大丈夫でしょうか?
「死んではならない。生きることが素晴らしいのだ!」 と子供に叫んでいた大人が、次々と自殺していくのは、一体どうしたわけでしょうか。

 かつて、日本を代表する評論家が手首を切って自殺し、世間を驚かせたことがありました。
 校長先生の首吊り、飛び降り、割腹自殺も相次いで報じられました。
 警察官がピストル自殺、エリート官僚が飛び降り自殺、政治家が首つり自殺……。
 どんな”偉い大人”でも、知っていそうで、まったく知らないのが、人生の目的、「なぜ生きるか」の答えではないでしょうか。

 新聞の投書欄には、子供たちの、”心の叫び”が寄せられています。

●千葉県・高校2年生
「着たくもない窮屈な制服着せられて、受けたくもないつまらない授業を受けさせられて、やりたくもない部活やらされて、家に帰っても宿題とか家事とかいっぱいあって、だーれも生きた心地なんてしてないのに『命の大切さ』なんて口先だけで教えられたって実感なんて持てない
(朝日新聞・平成10年4月20日)
●和歌山県・高校生 16歳
人は何のために生きているのかと思います。日本人の平均寿命は80歳前後です。80年間も何のために生きていくのですか?  
学歴社会ー当たり前のように使われているこの言葉が、たいして勉強のできない者にどれだけ不安を与えているか分かりますか。自分の夢に向かって一生懸命がんばってるのに、つらいことの方が多く残りの人生がとても嫌です。  

最近の高校生はーと、よく言われますが、まじめにやっている者もいるんです。それでもうまくいかなくて、不安で逃げ出したくなって、自分のような人間が、本当に何か役立つんだろうか、つらいことを乗り越えて、まだ生きていく必要があるのか。  

命は大切です。当たり前のことで、分かっているけど理解できない。あと60年以上も、この苦しい日本の中で生きていきたくない。こんな思いで毎日過ごしています。  人は何のために生きているのですか。だれか教えてください
(産経新聞・平成10年3月19日)

●神奈川県・高校1年生
実はみなさんに相談があります。  それは『人(自分)は何のために、何を目的に、何を目指して生きているのか』ということ。自分であれこれ考えて、一度は納得してみるものの、またすぐに、『夢を目指してがんばるのもいいけど、それをかなえて、そして自分が死んだ時、何が残るのかなぁ?』などと考えてしまいます。  

みなさんに聞けば、いい答えが見つかりそうな気がします。期待しているので、どうかみなさんの意見を聞かせてください
(毎日中学生新聞・平成11年12月14日)

 彼らの叫びは今日、届いているでしょうか。この20年、小、中、高校生の自殺は年間300人前後で推移し、むしろ増加傾向にあります。厚生労働省の人口動態統計を見て驚くのは、男女とも15歳~39歳の死因の第1位が「自殺」となっていることです。

 子供たちの、真っ直ぐな問い掛けに、誠意をもって答えられる大人でありたい。それが、自殺を予防するだけでなく、自分自身の人生を見つめ直すきっかけにもなるはずです。

「なぜ生きるのか」の答え、人生の目的を知りたいという声が高まる中、あなたは、どんな解答を準備しているでしょうか。

(2)「人はなぜ生きるのか」人生の目的がなければ 生きられない

 人は、目的なしに、生きていけるでしょうか。  
 朝日新聞の「天声人語」に、次のような話が載っています。

 たしか、ロシアの作家ドストエフスキーの「死の家の記録」だったと思う。囚人に苦役を科し、土の山を別の場所に移し、またもとの山に戻すといった仕事を繰り返させたら、数日で首をくくって死ぬだろう、といっている。
 これほど残酷な仕事はない。目的や意味があれば、たとえ苦しいことでも我慢する。だが、まったく無意味なことを自分で知っていて、しかも努力することはできない。それを強制されれば、ついに自分が自分自身に反抗するようになる。瀬戸内海の岩国で魚をとる人たちのニュースを読んで、思わずこの話を連想した。

 岩国では汚染源の東洋紡の工場が、海でとった魚をすべて買い上げることにきめた。明け方、漁船が帰ってくると、工場のトラックが待っている。魚種ごとに魚の目方をはかったあと、工場にはこび、タンクに汚染魚を捨てる。悪臭を放つ魚に、市場値の金が払われる。

 はじめのうちは、取れば取るほど金になるので、精を出して出漁する人もいた。が、やがて漁師たちの疑いがふくらんでくる。毎日、海に出るのは、捨てるための魚を取るためではない。金になりさえすればよいと、いつまでも割り切れるものではない。たとえささやかでも、自分の仕事に何らかの意味がなくては生きていけない。
「何のための人生か。漁民だっておいしい魚を食べてほしいのだ」「情けのうて涙が出ます」と口々に訴える声は胸をえぐる。
(昭和48年6月16日。朝日文庫より)

 「生の営み」は、金で解決できるものではない。目的があってこそ輝く。 山口県岩国の漁師の苦悩は胸に迫る教訓です。

 ドストエフスキーは、シベリアの監獄に入れられた体験を踏まえ、最も凶悪な犯人に、最も残酷な刑罰を与えようと思ったら、無意味で目的のない労働を科すのがいちばんだ、と『死の家の記録』に書いています。

 監獄では、受刑者にレンガを焼かせたり、壁を塗らせたり、畑を耕させたりしていたという。強制労働であっても、その仕事には目的があった。自分が働けば、食糧が生産され、家が建っていく。意味を見出せるから、苦しくとも耐えていける。
 しかし、こんな刑を科せられたらどうなるか。

 大きな土の山を、A地点からB地点へ移させる。汗だくになってやり遂げたあとで、その土の山を、最初にあった場所Aへ再び移動させる。それが完了したら、またB地点へ……。
 こんな目的のない無意味な労働を、毎日、繰り返し強制されたらどうなるか。

捕虜の強制労働

 受刑者は、4、5日もしたら首をくくってしまうか、死んだほうがましだと考え、やけをおこして破滅するだろうと、ドストエフスキーは言っています。

 人生もまた同じ。まったく意味のない苦労を、だれが、続けることができるでしょうか。目的のない苦労など、バカバカしくて、やっていられないでしょう。
 どんなに苦しく、長い坂道であっても、「人生の目的」さえハッキリしていれば、耐えて生き抜くことができるはずです。

(3)人はなぜ生きるのか? 目的なき人生イコール不安な人生

「人生の目的がない」という人は、着陸する空港が分からないまま飛んでいる飛行機と同じで、不安、苦悩から離れられません。
 オギャアと生まれた時を、飛行機が飛び立った時に例えてみましょう。大空では、1分1秒たりとも静止できません。休む暇なく飛ばねばならないのが人生です。

 では、どこへ向かって飛べばよいのか。目的地もなく飛び続ければ、やがて燃料切れの墜落が待っているだけ。

なぜ生きるのか? 人生の目的の重要性を飛行機にたとえて考えると……

 着陸すべき空港が見つからぬまま、刻一刻と燃料切れが近づいてくる。こんな飛行機に乗っている心境はどうでしょうか。不安でたまらないでしょう。
 そんな中、美しい音楽を聞いたり、おいしい食事を味わおうとしても、楽しめるはずがありません。

 目的地の空港にあたるのが「人生の目的」です。
 いつでも、安全に着陸できる大空港がハッキリしてこそ、本当に、安心、満足した人生が開けるのです。

(4)目的が先か 生きることが先か

「生命を大切にしよう」
「自殺してはならない。がんばって生きていけば、きっといいことがあるさ」
「生きることが素晴らしいんだ」
 生きる力を失いかけている時、私たちはこう言って励まします。

 しかし、「とにかく生きよ」と励まされても、方角が分からねば進みようがないのではないでしょうか。
 ちょうど、見渡す限り水平線しか見えない大海原に、1人浮かんでいるようなものです。四方八方眺めても、助けてくれる船がどこか、さっぱり分からない。
 この場合、船に乗ることが「人生の目的」にあたります。分からないからといって、じっとしていれば沈むだけ。生きるからには泳がねばなりません。では、どこへ向かって泳げばよいか。

「精一杯、泳げるだけ泳ぐだけさ」と強がっても、方向が分からないまま泳げば、ますます、船から遠ざかるかもしれません。
 そのうちに体力が尽きて、おぼれ死ぬのは目に見えています。

どこへ向かって泳ぐのか

 その不安に満ちた心境は、まさに、「人生の目的」を知らずに生きる姿です。

 船がどこか、ハッキリ分かってこそ、がんばって泳ぐことができます。
「人生の目的」は何か、ハッキリ分かってこそ、どんな荒波も乗り越えて、全力で生きることができるのです。

 幸福な人生への第一歩は、「なぜ生きる」の答え、人生の目的をハッキリと知ることなのです。

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