コラム

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坂本竜馬はなぜ愛されるのか? 33年を駆け抜けた「志」と「軽やかさ」

こんにちは、齋藤勇磨です。

「今年こそは自分を変えたい」「新しいことに挑戦したい」……。そんなふうに意気込む一方で、「本当にできるかな」「周りにどう思われるかな」と、ふと足がすくむ瞬間があるかもしれません。

そんな迷い多き現代の私たちの背中を、時を超えてドンと押してくれる人物がいます。

幕末の風雲児、坂本竜馬です。

歴史上の人物人気投票では常に上位にランクインする竜馬。亡くなってから150年以上が経つ今もなお、なぜこれほどまでに私たちは彼に惹きつけられるのでしょうか。

わずか33年という短い生涯を、まるで疾風のように駆け抜けた彼の人生には、今の時代を生きる私たちが忘れかけている「大切なこと」がたくさん詰まっています。

「わがなすことは、我のみぞ知る」――目的に向かって生きる強さ

坂本竜馬と聞いて、皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。

「薩長同盟」の立役者? 「大政奉還」の提案者? それとも「海援隊」の隊長?

歴史の教科書に出てくる偉業はどれも難しそうで、詳しく説明できる人は意外と少ないかもしれません。

それでも「竜馬が好きだ」と言う人が多いのは、彼の業績以上に、その「生き方」そのものが魅力的だからではないでしょうか。

竜馬は、政治の中心地である江戸から遠く離れた土佐(現在の高知県)に生まれました。

身分が高いわけでもなく、幼い頃は塾の勉強にもついていけなかったといいます。

寝小便が治らず、友達からは「泣き虫」とからかわれていたというエピソードには、なんだか親近感が湧いてきませんか?

そんな少年時代の竜馬を癒やしてくれたのは、故郷の海でした。

桂浜に立ち、果てしなく広がる太平洋を見つめる。打ち寄せる白波と青い海の前では、人間なんてちっぽけな存在です。

陸の上での差別や悩みなんて、取るに足らないことのように思えてくる。

そんな雄大な海に向かって、竜馬はこんな歌を詠みました。

世の中の 人は何とも云わばいえ
わがなすことは われのみぞ知る

「世間の人が何と言おうと勝手に言わせておけばいい。自分のやるべきことは、自分が考えて、探し求めていくしかないではないか」

なんと力強く、そして清々しい言葉でしょうか。

世間の評価や常識に合わせて生きれば、確かに安心かもしれません。

でも、それで本当に満足できるのでしょうか。

他人の顔色をうかがって生きる人生に、本当の幸せはあるのでしょうか。

「自分のやるべきことは、自分が考えて、探し求めていく」。

海に向かってそう叫ぶ竜馬の姿は、現代のSNSなどで他人の評価に疲れがちな私たちに、目的に向かって生きる人生を勧めてくれているようです。

竜馬は言います。

「世に生を得るは事を成すにあり」

人は皆、大切な目的を果たすために生まれてきたのだと。

その目的を知り、ひたむきに突き進むとき、人生は初めて輝き出すのだと。

人生は一度きりです。しかも、いつ終わるかは誰にも分かりません。

「ぐずぐずして日を送るは、実に大馬鹿ものなり」と竜馬が言うように、目的もなくただ時間を浪費するのはもったいないことです。

たとえ道半ばで倒れることになっても、そのときは目的に向かって前のめりに倒れたい。それほどの情熱を持って生きることができれば、その人生はきっと幸せなはずです。

昨日の敵は今日の師? しなやかな柔軟性が運命を開く

竜馬の最大の魅力の一つは、その「柔軟性」にあります。

頑固に一つの考えに固執するのではなく、良いと思えば素直に認め、昨日の敵であっても頭を下げる。このしなやかさこそが、彼の運命を大きく切り拓いていきました。

その最たる例が、勝海舟との出会いです。

当時、日本は開国か攘夷(外国人を追い払うこと)かで揺れ動いていました。

竜馬も当初は攘夷論者の一人でした。

「外国人が日本に入ってくるなんて許せない」という風潮の中で、開国論者の幕府高官・勝海舟は、まさに「斬るべき敵」だったのです。

ある日、竜馬は友人とともに「勝海舟を斬ろう」と決意します。しかし、竜馬のすごいところはここからです。

「噂だけで判断して闇討ちにするのは卑怯だ。堂々と会いに行き、話を聞いて、それでも許せなければその場で斬ろう」

そう考えて、勝の屋敷を訪ねたのです。

ところが、勝海舟は少しも動じません。

「おれを斬りに来たんだろう」と笑って彼らを迎え入れ、地球儀を回しながら世界情勢を説き始めました。

欧米列強がアジアに進出している現実、日本が置かれている危うい立場、そして日本を守るためには海軍を作り、貿易で力をつけなければならないこと……。

勝の話は、竜馬にとって目からウロコが落ちるような衝撃でした。

「攘夷だ、攘夷だと刀を振り回しているだけでは、日本は守れない」

勝の理路整然とした説明に、竜馬は自分の視野の狭さを恥じました。

そして、その場で殺意は消え失せ、感動すら覚えたのです。

(今の幕府に実行力がないなら、それを倒して新しい政府を作ればいいじゃないか!)

勝の話を聞きながら、竜馬の頭の中には、さらにその先を行く「倒幕」のアイデアまで浮かんでいました。

そして、あろうことか竜馬は、その場で勝海舟に弟子入りを志願します。

さっきまで「斬る」と言っていた相手に、「弟子にしてください」と頭を下げる。

この変わり身の早さ、プライドのなさこそが、竜馬の真骨頂です。

彼は故郷の姉への手紙で、「日本第一の人物・勝先生の弟子になりました!」と喜びいっぱいに報告しています。

自分の過ちを素直に認め、自分より優れた意見を持つ人がいれば、年齢や立場に関係なく教えを請う。

うわさや偏見に惑わされず、自分の目で見て、耳で聞いて判断する。

この素直さと行動力があったからこそ、竜馬は田舎の一若者から、日本の歴史を動かすキーパーソンへと成長していけたのです。

私たちもつい、思い込みやプライドが邪魔をして、素直になれないことがあります。

でも、竜馬のように「良いものは良い」と認める勇気を持てば、新しい世界への扉は、案外簡単に開くのかもしれません。

「日本を今一度せんたくいたし申候」――不可能を可能にした友情と志

勝海舟の下で海軍操練所の設立に奔走し、広い世界を知った竜馬。彼の視点は、もはや土佐一藩にとどまらず、日本全体、ひいては世界へと広がっていました。

そんな彼が姉への手紙に記した有名な言葉があります。

「日本を今一度せんたくいたし申候」

汚れた日本を、洗濯してパリッと綺麗にしたい。なんともユニークで、スケールの大きな表現だと思いませんか?

「土佐の田舎者で居候のような私ですが、たとえ一人でも天下を動かしてみせます」という気概にあふれつつも、「泥の中の貝のように慎重にやりますから安心してください」と家族を気遣う優しさも見せる。

そんな人間味あふれる竜馬の周りには、自然と人が集まってきました。

そして、運命の出会いが訪れます。薩摩の西郷隆盛です。

勝海舟の紹介で出会った2人。西郷は「今は日本中が雨漏りしている」と国の危機を憂いていました。

「命も名も金もいらない。そんな始末に困る人でないと、国家の大業は成し遂げられない」と語る西郷の誠実さに、竜馬は深く共鳴します。

また西郷も、竜馬の大胆さと純粋な心に惹かれ、2人の間には厚い友情が芽生えました。

この信頼関係が、当時の常識ではあり得ないできごとを起こします。それが「薩長同盟」です。

当時、薩摩藩と長州藩は犬猿の仲。互いに憎しみ合い、殺し合うほどの敵対関係にありました。しかし、倒幕のためにはこの2大勢力の協力が不可欠です。

誰もが「不可能だ」と諦めていたこの難題を、竜馬は持ち前の行動力と、西郷や長州の木戸孝允(桂小五郎)との個人的な信頼関係を武器に、粘り強く仲介。ついに歴史的な同盟を成立させたのです。

しかし、竜馬の志はそこで終わりませんでした。

薩長が手を組めば、幕府との全面戦争は避けられない。

そうなれば、日本中で多くの血が流れ、罪のない人々が犠牲になる。外国からの侵略の隙も与えてしまう。

「戦争は最後の手段だ。なんとか血を流さずに、新しい時代を作ることはできないか」

そこで竜馬が考え出したのが「大政奉還」という起死回生の策でした。

幕府が自ら政権を朝廷に返す。そうすれば「幕府」という倒すべき敵が消滅し、戦う理由がなくなるのです。

これには、倒幕の機運が高まっていた薩長の同志たちから猛反発を受けました。「そんなことをしたら、坂本さんが孤立するぞ」と心配する声も上がりました。

しかし、竜馬はこう言い切ります。

「時流の孤児になるのは、男子の本懐だ」
(周りから取り残されて一人ぼっちになることなど、男として本望だ)

皆が戦争へと流されていく中で、一人踏みとどまり、孤立を恐れずに「平和的な解決」という正義を唱える。これは並大抵の勇気ではありません。

司馬遼太郎氏が『竜馬がゆく』の主題だと言ったのも、この「風雲のなかに孤立して正義を唱える」姿でした。

結果として、将軍・徳川慶喜は大政奉還を受け入れ、日本は内戦の危機を回避しました。

竜馬の「私心のない志」が、不可能を可能にし、日本の未来を守ったのです。

地位も名誉も要らない。未来に向かって輝く生き方

大政奉還が成った後、竜馬は新しい政府の構想を練り上げました。

しかし、その役員名簿を見た西郷隆盛は首をかしげます。

一番の功労者であるはずの「坂本竜馬」の名前がどこにもなかったからです。

「坂本さん、あなたの名前がないじゃないですか」

不思議がる西郷に、竜馬は涼しい顔でこう答えました。

「わしは、出ません。おれは日本を生まれ変わらせたかっただけで、生まれかわった日本で出世するつもりはない」

「じゃあ、これからどうするんですか?」

「そうさなぁ……世界の海援隊でもやりましょうかな」

役職も、権力もいらない。日本が良くなればそれでいい。

仕事が終われば、自分はまた広い海へ出て、自由に貿易でもしながら世界を相手に遊ぼうか。

そんなふうに笑う竜馬を見て、その場にいた人々は「この男には敵わない」と心底思ったといいます。

地位や名誉に執着せず、目的のためだけに純粋に走り続けた竜馬。

残念ながら、その直後の11月15日、彼は33歳の若さで凶刃に倒れました。

しかし、その人生は「短かった」と嘆くようなものでは決してありません。

「人間は、遅かれ早かれ必ず死ぬ。寿命の長さが人間の価値ではない」

大切なのは、どれだけ長く生きたかではなく、どういう志を持って、まっすぐに生きるか。

新しい年が始まった今、竜馬の生き方は私たちに問いかけています。

「君の志は何だ? 周りの目なんて気にするな。生きる目的に向かって、思いっきり突き進んでみないか?」と。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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