人生の目的

9人殺害の容疑者「生きてる意味がわからない」と告白 ~事件の深層にあるものとは?

9人殺害事件の根っこにある問題とは? 生きてる意味がわからない

座間市で9人の遺体が発見された事件に、世の中、騒然となっています。
ニュースでは、9人殺害の容疑者が自身の父親に「生きていても意味がない」「何のために生きてるのか分からない」と打ち明けていたといわれます。

神奈川県座間市の自宅から9人の遺体が発見され、警視庁高尾署捜査本部に死体遺棄容疑で逮捕された白石隆浩容疑者(27)が父親に「生きていても意味がない」などと話していたことが1日、捜査関係者への取材で分かった。

白石容疑者は今年6月ごろ、自身の父親に「生きていても意味がない」「何のために生きているのか分からない」などと打ち明けていたという

(産経新聞より)https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171101-00000525-san-soci

この事件の根っこは深そうです。
そして、「生きてる意味」「人生の目的」が、わからず、命の尊さ、命の重さを感じないという悩みを抱えているのは、この容疑者だけではありません。

「死んでもいいじゃん」の無知が、「殺してもいいじゃん」の暴論に、すり替わる

以前、ある女性が、教員採用試験を受けた時のことを教えてくれたことがあります。

8人一組での討論があり、テーマは「命の大切さを子供にどう教えるか」だったそうです。
彼女は、「自分の命の価値が分からぬから、他人の命の価値も分からないのではないでしょうか」と話をし、愛読書の『なぜ生きる』の中にある

「死んでもいいじゃん」の無知が、「殺してもいいじゃん」の暴論に、すり替わってゆく

『なぜ生きる』(明橋大二、伊藤健太郎著・1万年堂出版)

という一節をを紹介したところ、皆、深くうなずいていたそうです。

そのあと、大学の授業の中で現職の中学校教師に質問した時のことを、こう話したといいます。

「自殺や犯罪など諸問題の根底に、命の尊さが分からないということがあると思いますが、学校ではどんな対策を考えていますか」と私が尋ねると、その先生は虚をつかれたようにうろたえてしまいました。
絞り出すように言った答えは、「道徳教育の強化です」でした。
しかし、道徳の授業で命の尊さが心に残ったことはなかったので納得できませんでした。
この県でも道徳が重視されていますが、命の大切さを伝える要は抜けていないでしょうか。

これにも皆うなずき、「盲点を突く指摘だった」と言っていました。

なぜ人を殺してはならないのか、3つの回答水準 生きてる意味こそ重要

以前、哲学者の永井均教授が「なぜ人を殺してはならないのか、3つの回答水準」について語った記事が新聞に載っていました。

「3つの回答水準」とは以下のものです。

 1.道徳的水準
   「ダメなものはダメだ」とげんこつを食らわせる

 2.社会科学的水準
   「殺したら自分も殺されるでしょ? 自分が殺されたくないなら殺してはいけない」と社会のルールの起源を説明する

 3.哲学的水準
    なぜ生命は尊厳なのか、という哲学的な問いの水準

 
最終的には、命が尊い理由、生きてる意味といった哲学的な問いとなるのですが、現代の日本人の多くは、その答えがわからず、苦手とする分野です。

読売新聞でも「なぜ人を殺してはいけないのか」という特集が組まれ、その中で、山折哲雄氏は、「死を教えぬ教育 弱い」という見出しで、

日本の教育では死とは何かを教えない、この根本的な問題をないがしろにしたまま、今、道徳を教科化しても、効果はないと思う

読売新聞「なぜ人を殺してはいけないのか」

と語っていました。

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