【目次】
- 他者貢献って、どんな感覚?
- 「どうすれば苦しみから抜け出すことができる?」アドラーの答え
- 他人に貢献すると「自分を受け入れること」につながる
- 「他者貢献なんて、私にはできない」と思っているなら
- お金や能力がなくても、誰にでもできる他者貢献
- 他者貢献は「心」が大事、「実行」が大事
はじめに

ブッダとアドラー心理学に学ぶ、対人関係を良好にする健康なパーソナリティというテーマでお話ししております。
「パーソナリティとは何か?」については、次の記事をご覧ください。
健康なパーソナリティに重要な「共同体感覚」には、3つの側面があると言われています。
2、他者信頼
3、他者貢献
今回は、3つ目の「他者貢献」についてお話しします。
他者貢献って、どんな感覚?

これが「他者に対する貢献感」が満ちている状態といえます。
あるいは、
こういった気持ちも、他者に対する貢献感です。
前回、自己受容から始めることが大事、それが土台だと話をいたしました。
それが理想的ではありますが、自己受容がなかなかうまくいかないとき、もう一つ紹介したい方法があります。
「思い切って他者に対する貢献に踏み出していく」ことです。
これも自信につながることがあります。
貢献感が持てますと、「こんな自分には価値がある」と思います。
それが自己受容につながるんですね。
自己受容ができますと、他の人を信頼して、ますます貢献するようになります。
「どうすれば苦しみから抜け出すことができる?」アドラーの答え

アドラーの時代、神経症で悩んでいる患者さんがいました。
その患者さんがアドラーに尋ねたそうです。
アドラーは、「1日○○をやりなさい」と答えました。
皆さんでしたら、1日何をすることを勧めるでしょうか。
不安障害やうつ病に有効なことは、いろいろあると思いますが、アドラーは1日1つ、良いことをやりなさいと伝えました。
正確には「他の人が喜ぶことをやりなさい」と勧めたそうです。
D・カーネギーは『道は開ける』の中で、アドラーの言葉を次のように紹介しています。
神経症だと、どうしても自分のことばかり考えて、なおさら苦しくなってしまうんです。
けれども、だからこそ、「人を喜ばせることを考えて実行していきましょう」と勧めたのですね。
こういった心理的な効果もあると言われます。
他人に貢献すると「自分を受け入れること」につながる

『劣等感と人間関係』(野田俊作著、創元社、2017年2月)では、「精神的に健康なパーソナリティになるコツ」をこのように言われていました。
人を変えようと思っている限り、相手は変わりません。
私が変わろうと思ったら変わる。
この世の中で変えることができる人間は、自分一人だけ。
自分のことばかり考えていると、苦しくなってきます。
「どうして、こんな目にあったのか」
「あいつが悪いんだ」
また、相手を変えようと思っても、相手は変わらないんです。
相手は相手で「あなたこそ変わりなさい」と思っていますから。
自分のことを考えるのではなくて、「相手のために私にできることは何か」を考えて行動するのです。
他者に対する行動を考えて、実際に行動していくと、貢献感が持てます。
そうすると、自分を受け入れることにもつながると言われています。
「他者貢献なんて、私にはできない」と思っているなら

このように思われる方もいらっしゃると思います。
そこで紹介したいのが、元手なしで実行できる他者貢献です。
仏教の言葉では、「利他行」と言われます。
相手を幸せにする行いです。
与えるとは、言葉を変えると「親切」です。
相手が喜ばれる行いがたくさん教えられています。
人間関係を良くするために言われたわけではないんですけれども、実践していきますと、相手との関係も良くなっていくのは間違いありません。
仏教ではどのような利他行が教えられているのでしょう?
いろんな素晴らしい行いが教えられていますが、今日は「無財の七施」を、お話ししたいと思います。
お金や能力がなくても、誰にでもできる他者貢献

「無財の七施」は『雑宝蔵経』というお経に説かれています。
「施し」と聞くと、ふつうは、お金や財産、特別な能力がなければできないように思われますね。
そういったものがなくても、できる素晴らしい施しが7つあると言われます。
その「無財の七施」がこちらです。
・和顔悦色施
・言辞施
・身施
・心施
・床座施
・房舎施
眼施(げんせ)
最初の「眼施」とは、目を施すということです。
優しい温かい眼差しで人に接する親切です。
和顔悦色施(わげんえっしょくせ)
「和顔」は和やかな顔。 「悦色」は喜びの色、表情ということです。
笑顔で接する親切です。
言辞施(ごんじせ)
「言辞施」は言葉の施しということで、優しい言葉、気遣いの言葉をかける親切です。
身施(しんせ)
「身施」とは体を施すということで、自分の体、肉体を使って、無償で、世のため、人のため、社会のために働くことです。
分かりやすいのはボランティア活動ですよね。
無償で社会のために働く。これは素晴らしい親切であります。
ボランティア活動も素晴らしいことなんですけれども、普段私たちが何気なく相手のためにサッとすることもいろいろあると思います。
散らかっていたら掃除する。
いろんな準備をする。
お金をもらってやっているわけではないですけれども、無償でできる親切です。
これも素晴らしい施しであります。
心施(しんせ)
5つ目は心を施すと書いて、「心施」です。
心で相手の幸せを念じるということです。
私たちは、どうしても自分のことばかり考えてしまうんですけれども、相手の幸せを願うこと。
相手に幸せになってほしいと、心で思うことは、素晴らしい行いだと言われます。
また、人にしてもらったことに対して、心から感謝の言葉を述べること。
これも親切であります。
床座施(しょうざせ)
「床」という字は、床、座るところを施すということで、場所や席を譲ること。
これを「床座施」と言われます。
房舎施(ぼうしゃせ)
房舎施の「房舎」とは、家のことです。
家を一軒プレゼントする!ということではなくて、誰か訪ねてくる人があれば家に泊めてあげること。
昔はそういった親切がされましたので「房舎施」と言われます。
今日では、なかなかそのような親切はできないと思いますので、言葉を変えると「労をねぎらう」ことです。
苦労されている方に対して、その苦労をねぎらう。これが「房舎施」と言われます。
他者貢献は「心」が大事、「実行」が大事

「無財の七施」は、心がけが一番大事なんです。
心がけがあればできる、素晴らしい行い、親切だと言われます。
親切なんて初めて聞いた、そんな斬新なことが教えられていたのか!と思われる方は、おそらくなかったと思います。
心がけがあれば、誰でも、できるものなんですけれども、実行しなければ、知ってるだけでは意味がありません。
巡り巡って自分自身が幸せになります。貢献感を持つことができます。
貢献感を持つことができれば、自己評価が高くなります。
自己評価が高くなれば、相手を信頼でき、また親切せずにおれなくなる。
そうして共同体感覚が高まっていく、ということなんですよね。
「思い切って行動することによって、貢献感が高まっていく」ということでご紹介しました。
どちらでもいいんですけれども、これは自分にとってできそうだというものを一つ選んで、ぜひ実行していただけたらと思います。
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