こころ

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反芻(はんすう)とは。嫌なことを繰り返し思い出してしまうのをやめる方法

目次

  1. 反芻は誰でも起きる、生きるために必要な機能
  2. 反芻と反省のちがい4つ。「これだけ考えたから、もう考えなくていいや」となるキーワード
  3. 反芻してしまう人が悪いわけじゃない。頭痛や筋肉痛のようなもの
  4. 反芻しても、大丈夫。反芻のスイッチをオフ!する方法
  5. 反芻がおきるタイミング・トリガーを把握して「心の安全地帯」に戻ってこよう
  6. 心の安全地帯をつくるときに役立つ「マインドフルネス」

はじめに

こんにちは、心理カウンセラーの月見草です。

今回はこんなお悩みについてです。

過去のことを思い出して、反省(はんすう?)してしまい、自分を責めてしまいます。
思考を切り替える方法はありますか?
自分を責めないようにと思うのですが、ついついやってしまって、メンタルを削られます。

思い出したくもないのに、ふと気がついたら嫌な過去を思い出すこと、ありますよね。

反芻(はんすう)思考は、「反省」と似ていますが、別の言葉です。
「反芻」と「反省」の4つのちがいは、後で述べますが、まず「反芻」とは何か解説しましょう。

反芻……(もとの意味は)牛やひつじなどの草食動物が、消化しづらい植物を、飲み込んではまた口に戻して噛み砕く、繰り返しの行為。
反芻思考……嫌な過去について、何度も思い出されること。

いわゆる「ぐるぐる思考」のことですね。

何度も繰り返される点が、草食動物の反芻と似ていることから、反芻思考と呼ばれるようになりました。
「反芻」と言うだけで、反芻思考のことを指すことも多くなりました。

ちなみに、受験勉強などで記憶に定着させるために、反復練習することも「反芻」と使います。この場合は、むしろ「しっかり反芻しましょう!」と、推奨されます。

今回お話しする「反芻」は、やめたくてもやめられない「ぐるぐる思考」についてです。

反芻は誰でも起きる、生きるために必要な機能

嫌な過去について何度も思い出す「ぐるぐる思考」は、「抑うつ的反芻」とも呼ばれます。

失恋、失敗、身近な人の死、災害など、きっかけがあれば誰でも「反芻」は起こります。
人間の脳に備わっている、生きるために必要な機能だからです。

「なんでこんなことになってしまったのだろう…」
「あの時、○○したのがいけなかったのかな」
「なんであんなバカなことをしたんだ」
「本当に情けない。消えてしまいたい」

このように、自分がこの状態に陥った原因について、延々と考えが止められなくなります。

反芻することで、同じ危険に備えて、覚えておこうとします。

しかし、あまり長く続くと、反芻すること自体がクセになり、マイナスに考える脳の回路が強化されてしまいます。

反芻の内容は、ほぼ「自己否定」です。

脳は、他人から言われたことも、自分で自分に対して言っていることも、区別ができません。
そのため、他人から罵声を浴びせられる「パワハラ」のように、じわじわとメンタルを削られます。

やめられない「ぐるぐる思考」から抜け出す方法を、一緒に考えましょう。

反芻と反省のちがい4つ。「これだけ考えたから、もう考えなくていいや」となるキーワード

「反省」の場合は、セットで「対策」が出てきます。

反省する=対策をたてる

対策をたててしまえば、スッキリして前向きになります。
いわゆる「建設的な考え」です。

自分がこの状態に陥った原因について考えるのは「反芻」と似ていますが、

・対策があるか
・建設的か
・スッキリするか

といった点が異なります。また、

「反省」は、主体的な行為
「反芻」は、受動的

反芻は、自分の意思で考えようとしてやっていることではありません。

「つい考えてしまう」
「気づいたら考えていた」

といった性質のものです。

たいていは、最初にフラッシュバックがあり、洪水に流されるように不可抗力で考えてしまいます。

反芻の目的も、反省と同じで「次の危険に備えるため」なのですから、「対策」をたてることができれば、脳も「これだけ考えたから、もう考えなくていいや」と反芻が薄れていきます。

キーワードは「対策」

対策をたてても、すぐに反芻がおさまらないこともあると思いますが、反芻していることのいくつかは消失していくはずです。

ぐるぐる思考をしている内容について、脳が納得するまで「対策」をたくさん考えてみましょう。

例)もし同じ状況になったとしても…
・Aさんに相談してみよう
・嫌なことを言ってくるBさんには近寄らないようにしよう
・深呼吸をしてから発言しよう
・無理なことは断って、ペースを調整しよう

一番の「対策」は、「同じことが起きたとしても、大丈夫。なんとか乗り越えられる」と思えること。
根拠がなくても構いません。

・一回経験したことだから、きっと大丈夫
・場数を踏めば、大丈夫
・まぁ、大丈夫!

後ほどお話しする「心の安全地帯」も、対策として役に立つでしょう。

反芻してしまう人が悪いわけじゃない。頭痛や筋肉痛のようなもの

反芻思考は不安を増大させる思考パターンです。
くり返すたびに、気持ちが滅入ります。
問題解決にはつながりません。

とはいっても、反芻してしまう人が悪いわけではありません。
イメージ的には、頭痛や筋肉痛のようなものです。

「頭痛は問題解決にならないんだからやめなさい」
「筋肉痛は痛いんだからやめといたほうがいいよ」

なんて言ってもムダなのです。

心身があなたを守るために、必要だから起きていることです。
自分を責める必要はありません。

頭痛がおきたら、早く家に帰って、あたたかくして眠る。
筋肉痛がおきたら、一旦運動はやめて、お風呂に入り、湿布を貼って休息する。

それと同じように、

反芻思考がおきたら、自分が気持ちいいと感じることをして、ゆっくり休む。

自然治癒力で回復します。
時間が解決してくれます。
反芻はいつのまにか消えていきます。

頭痛や筋肉痛は2~3日で治るものですが、
反芻思考は落ち着くまでに数週間~数か月かかるかもしれません。

気長に、ゆっくりと自分をいたわりましょう。
それだけ「心の傷」の回復には、時間が必要だということです。

反芻しても、大丈夫。反芻のスイッチをオフ!する方法

さほど重大な過去でない、小さなことも思い出して、自分を責めてしまいます。

「これくらいのことで…」
と思われるかもしれませんが、処理できていない過去があるのでしょう。
反芻思考は、ちっぽけなことも多いものです。

「日常」というのは、ちっぽけな会話や振る舞いを、何億回も積み重ねているのですから。
そのうちの何個かに「危険!」と反応しても、おかしくありません。

ところが「反芻」自体がトラウマのようになってしまうことがあります。

「また反芻してしまった…」

と、自分を責めてしまうのですね。

反芻が起きたとしても、

「あ、反芻したなー。まぁいいか」

と、気がついたときに自分にOKを出すようにしましょう。

反芻は、長引くほど心を消耗します。
電気は長く使うほど、電気代が高くなるようなものです。

気がついたときに、電気スイッチをオフ!

そうすれば消耗は最小限で済みます。

どうすれば、反芻のスイッチをオフできますか?

何年も続くような反芻思考を静めるには、認知行動療法やスキーマ療法がありますが、まず最初にやってほしいことがあります。

「心の安全地帯」を確保すること。
心の安全地帯を作っておくと、反芻に気づいた瞬間、やめることができます。

心の安全地帯はどのように作れば良いですか?
余裕を持つ感じですか?
避難場所を決める感じですか?

心の安全地帯とは、余裕がない時も、避難場所にいけない時も、一瞬で安心な気持ちに戻ってこれる、安全なイメージです。

五感をフルに使う、幸せなイメージです。

人生でいちばん楽しかった記憶が使いやすいでしょう。
私は、少し高級な店で、美味しくて大好きなものを食べた時の記憶を使っています。

心が動くには、1秒もかかりません。
安全地帯に戻ってくる練習をしていると、いつでも戻って来れるようになります。

反芻がおきるタイミングを把握して「心の安全地帯」に戻ってこよう

「歴代嫌なことボックス」の引き出しを次々と開けては落ち込むのを延々とやってしまいます。
シャワーを浴びてる時が一番多いです。
外から声をかけられて我に返ります。
シャワーは洗う以外やることがなくて、頭が暇なので負のスパイラルが始まってしまいます。

「歴代嫌なことボックス」を自覚していらっしゃるのは、大切なことです。
思考に名前をつけたり、イメージ的に理解することで、自分から「離す」→「放す」ことができます。

「津波の濁流に押し流される」イメージよりも、
「歴代嫌なことボックス」のほうが、コントロール感をもちやすいですね。

嫌なことを封印しても、結局は、身体症状や鬱になって現れます。
反芻することで発散している部分もあります。
反芻にも意味があるのです。

たまには「歴代嫌なことボックス」を自分で開けてみるのもいいでしょう。

「シャワーの時」など、反芻が起きやすいタイミングを自覚することも大切ですね。
反芻する前と後に、心の安全地帯をイメージすると良いでしょう。

心の安全地帯イメージ反芻心の安全地帯イメージ

シャワーを浴びるときは、いつも心の安全地帯を思い浮かべてスタートです。
反芻が起きても自分を責めず、心の安全地帯に戻ってくることだけを意識しましょう。

ちなみに、私が反芻しやすいタイミングは「朝、目が覚めたとき」

目が覚めた瞬間に、心の安全地帯を思い浮かべるのは難しいので、「布団に入って寝るとき」に心の安全地帯を思い浮かべています。

脳が「安全だ」と感じ、反芻する必要がなくなり、消えていきます。

心の安全地帯をつくるときに、役立つのが「マインドフルネス」です。

心の安全地帯をつくるときに役立つ「マインドフルネス」

マインドフルネス(mindfulness)とは、日本語でいうと「念」です。
「念」という漢字は、「今」の下に「心」と書きますね。

念とは「今この瞬間の心」のこと。

マインドフルネスは、「サティ」という仏教用語(パーリ語)を英訳したものです。

「マインドフルネス瞑想」などと表現されることもあり、仏教の修行の1つである「瞑想」から着想を得ています。

「マインドフルネス」は、反芻思考からの回復に効果的です。

簡単にいうと「いま・ここ」に集中し、気づくこと。

マインドフルネス……自分自身を取り巻く環境(ここ)と、自分自身の反応をよく観察し、いまこの瞬間に気づきを得て、受け止め、そのまま味わい、手放すこと。

いくつかの要素がありますね。

  1. 自分自身を取り巻く環境(ここ)
  2. 自分自身の反応
  3. いまこの瞬間に気づき
  4. 受け止め、そのまま味わい、手放す

仏教の根幹は、「因縁果の道理」です。

…自分自身の心・口・体でつくる行い
…自分自身を取り巻く環境

因と縁が結びついて、結果が生じます。

因を変えるか、縁を変えるか。
どちらかを変えれば、どんな小さな変化であっても、結果は変わってゆきます。

因と縁をよく観察すること。

<因>
これまでなにげなくやってきた、心・口・体でつくる行い(因)を見つめてみましょう。
<縁>
まわりの音、呼吸、香りやアロマ、寒暖、湿度、まわりに見えるもの、目の前にいる人に集中してみましょう。

◆反芻思考は過去に気持ちを向ける思考です。

マインドフルネスで「いま」に意識を戻すことで、反芻思考がストップします。

◆反芻思考はネガティブな部分にばかり気持ちを向けがちです。

マインドフルネスは「五感」や「まわりの環境」に目を向けることで、反芻思考がストップします。

◆反芻思考は、否定し、批判的で、その事柄にこだわっています。

マインドフルネスは、嫌なことが思い浮かんできても、

・否定せずに受け止める……「嫌なことが思い浮かんだなぁ」
・そのまま味わう……「嫌だなぁ」
・手放す……川に流れる木の葉のように、流れていくのをボーっと眺める

因と縁について、理解をより深めるには、因縁果の道理を学んでみてくださいね。

おわりに

嫌な感情が出てきたときに、つい判断してはいませんか。

「こんなこと思っちゃダメだ」
「こんなふうに考えるからいけないんだ」

マインドフルネスでは、浮かんできた念(思い)に、一切の判断をしません。

良い・悪いとか、「ダメだ」とか「判断してしまった」という自分自身の反応さえも気づき、手放します。

うれしいことや、幸せなことは長引かせようとし、
悲しいことや、嫌なことは、否定し、無視し、拒絶する。

誰しもそうなりがちですが、自分の感情のありのままに気づき、受け止めます。
マインドフルネスによって、

・自己否定が減る
・感情に巻き込まれない
・頭がスッキリする

といった効果が得られます。

ところが、マインドフルネスは一時的な対処法です。

仏教では、心について詳しく教えられています。

たとえば、心を8つに分けて「八識」と言われます。
八識には、マインドフルネスで扱う心よりも、もっと深い心があります。

また、心でどんなことを思っているかというと、
お釈迦様は「人間は108の煩悩のかたまり」と言われており、
その中で、代表的な煩悩を「三毒の煩悩」つまり、

「欲」「怒り」「愚痴」

この「欲」をさらに、代表的な5つを「五欲」と教えられます。

また、三毒の煩悩に3つ加えた「六大煩悩」は、

「疑」「慢」「悪見」

この「慢」も7つに分けて「七慢」と教えられます。

心について、これほど詳しく教えられた学問はあるでしょうか。

「心について学びたければ、仏教が一番」と言っても過言ではないくらい、詳しく教えられています。

あなたが自分の心を見つめるとき、どんな「心」があるのか、知っているのと知らないのとでは、気づき・理解が全然ちがってきます。

仏教で「心」を詳しく学んだうえで、自分の心を見つめてもらいたいと思います。
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この記事を書いた人

ライター:月見 草

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