イタリア北西部のピサ市にある「ピサの斜塔」は、大理石の列柱を配した高さ約55メートル、8層構造の建物です。
建造物としても美しいピサの斜塔は、イタリア観光で最も訪れる人が多く、記念撮影をする人もダントツだそうです。
ピサの斜塔とは?
ピサの斜塔は、ガリレオ・ガリレイが重力の実験を行った場所としても有名です。
斜塔の上から大きさの違う2つの鉄球を落とし、「重力による落下速度は物体の重量によらず一定である」という「落下の法則」を証明したと言われています。
斜塔の内部には、階段が螺旋状に続き、訪れる観光客は塔の内部を上れます。
塔の頂上から一望できる、ピサ市街と美しいトスカーナの風景は価値があります。
ピサの斜塔は、名前のとおり、傾いた状態で建っているのが大きな特徴です。
最大5.5度まで傾き、倒壊の危険があったため、1990年から2001年の間に大規模な改修工事が行われました。
基礎部分の下の土を、掘削して慎重に抜き取り、現在は、約4度まで傾きが改善されました。
もともと鐘を鳴らすための建物にもかかわらず、実際に鳴らすと塔の傾斜に影響を及ぼしてしまうそうです。
そのため、現在、定刻ごとに鳴る鐘の音は、スピーカーから流されています。
一般的に、建物は真っすぐ建てられるのが普通ですから、少しおかしな見た目だと思うかもしれません。
なぜピサの斜塔は傾いてしまっているのでしょうか?
ピサの斜塔、200年の難工事の理由とは?
ピサの斜塔の建築は、中世ヨーロッパ時代の1173年に着工され、1372年に完成しましたが、建築当初は傾いていなかったようです。
では、なぜ傾いてしまったか。原因はピサの地盤にありました。
ピサの斜塔は、イタリア中部を流れる、付近のアルノ川が運んできた土砂の上に建てられています。
そのため、地盤がもとから弱く、1185年に約10メートルの高さまででき上がった時には、地盤沈下ですでに傾き始めていたそうです。
傾いてしまっていては危険なので、いったん工事は中断。
その後は中心軸をずらしながら建設したものの、傾きを完全に修正することはできず、着工から完成まで、なんと約200年もかかる難工事となってしまったのです。
ピサの斜塔、倒れないための4つの工夫
ピサの斜塔が倒れないように、歴代の工事関係者が工夫した点を4つ紹介しましょう。
1.石の厚みを変えた
建築中に傾き始めた塔をたて直すために、まずとられた方法は積み上げる石の厚さを変えることです。
南に傾いているので北側の石を薄くしました。
このため塔はやや反った形になっています。
2.鐘の重さを変えた
最上階には7つの鐘がありますが、塔のバランスをとるためにすべて違う重さにされています。
また、傾きに影響が出ないように、鐘を鳴らすことはありません。鐘の重さは全部で9500キログラムにもなります。
3.重しを置いた
地下水の汲み上げによる地盤沈下で、傾きが大きくなるなど、20世紀に入っても、ピサの斜塔の苦難は続きました。
地面にコンクリートを流し込んで地盤を強化するなど、倒れない工夫もなされてきましたが、ついには、北側に重しを置いて地盤を安定させる作戦をとりました。
4.ワイヤで真っすぐに
さらに、塔にワイヤロープを取り付けて、反対側から引っ張って塔を少し起こし、傾きを止めるという方法も行われました。
その結果、塔の頂上部で50センチも真っすぐにもどり、今後200年は倒れる心配がないだろうと予想されるほどに回復したのです。
でも、もし、建設当初に地盤をしっかり調査し、盤石な基礎を築く技術があれば、防げたかもしれない傾きだったのではないでしょうか。
ピサの斜塔から学ぶべき教訓とは?
ピサの斜塔の歴史から我々が学ぶべき教訓は、堅実な基盤が成功に不可欠であることです。
人生も同様で、しっかりとした基礎があれば、逆境や試練に耐えられるでしょう。
人生を建物に例えるならば、基礎や支柱部分は、「どんなに苦しくても、なぜ、生きねばならないか」をハッキリさせることに当たります。
思わぬ暴風雨・地震・カミナリに襲われた時、この基礎部分がしっかりしていなければ、「人生ビル」は耐え切れず、揺らぎ、崩れ去ってしまうでしょう。
このことからもわかるように、何のために生きるのか、自分の人生における目的をハッキリさせることが、生きる上で非常に大切なのですね。
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