人間関係

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真面目で実直な工学系男子Y君は、どうして彼女の「その他大勢」から抜け出すことができたのか?

人から好意を持たれるか否かは、ほんのちょっとした違い

こんにちは、優紀です。
前回の記事では「相手の心をきちんと知る、そしてその相手の心に応える」ということについて、お話ししました。


今回は、会話を通して相手の関心、好みをどのように知るか、お話ししたいと思います。

周りを見渡してみると、特に目立った取り柄があるように見えないのに誰からも好かれる人がいたり、反対に取り立てて欠点もないのに敬遠されがちな人があったりしませんか。

一見、なぜだろう?と思いますが、実は人から好意を持たれるか否かは、ほんのちょっとしたことで決まることが多いようです。それは「相手の立場に立って考えられるか、どうか」ということです。

ほめるときに大事なのは、その人の○○をほめること

例えば、誰かをほめるとき。ありきたりのお世辞ではなく、その人の「ひそかな自慢」を、ほめるようにするのが大切だといわれます。

「○○君って、きれい好きだよね」
「○○君って、いい声してるよね」
「○○君のあの一言がよかったよね」

・・・など、誰でも、ささいなことでも、心ひそかに得意に思っていることがあります。そうした点に気づき、ほめてくれる人があれば、その人に対して好意を持つことは間違いありません。

と、こんな書き方をすると、何だか「打算的」と感じるかもしれませんが、考えてみてください。「他人が自負していることを的確に察して、そのことに触れる」ということは、よほど相手の立場に立って心をくばり、観察し、相手に喜んでもらいたいという気持ちがなければ、できません。

昔から「できるだけ他人の長所を発見して、ほめるようにしよう」と言われます。

他人の自負している長所を「知る」ことは簡単ではないから、「的確にほめる」ことも難しいんですね。だから、できるだけ他人の長所を「発見する」努力がまず大切と、この言葉は教えてくれています。

そして、他人からあまり言われないことであればあるほど、よい形で相手の心に残ります。

相手が口にした、ささいな話題を覚えておこう

また会話中、相手が何かのついでに口にした、ささいな話題を覚えておいて、次にその人と話すときに、その話題を持ち出してみるのもいいです。

相手はおそらく、自分の話の細かいところまで聞いてくれていたこと、自分に関心をもってくれていたことを感じて、うれしく思うでしょう。

先日も、こんなことがありました。

セミナー参加者の皆さんとちょっとした旅行に行った中に、20代のKさんがいました。お若い方ですが、お酒の好きな方で、以前訪れた旅行先の日本酒が大変美味しかったが、どうしても思い出せないという話をしていました。非常にたわいもない話です。

他の人は聞き流している様子でしたが、後日、またお会いした時に、ふとしたきっかけで、その話題を出しました。

Kさんは意表を突かれたようで、驚いていましたが、すぐに満面の笑みを浮かべてお酒の話をされ、いい店があるんだと食事に誘ってくださいました。

その後からでしょうか、Kさんとの距離はぐっと近づき、セミナー以外にも、頻繁に食事に誘ってくださり、お互いに信頼を深める結果となりました。

自分の話を周りが聞き流していたことに対して、覚えていてくれたということは、その人の関心をかなりの程度、引いていたという事実を示しており、その人を一人の人間として認めている証拠です。

会社内でも、自分のたわいもない会話を、自分よりもずっと上の立場の上司が覚えていたならば、自分を一人前として扱ってくれていると自信が出て、やる気につながるでしょう。

彼・彼女の「その他大勢」から抜け出すには

また、相手が少し気になる異性であった場合、この心がけによって、お互いの関係が発展する、ちょっとしたとっかかりができるかもしれません。

これは同期のY君の話ですが、同じ学科で1つ上のSさんに思いを寄せていたY君は、好青年ではありましたが、真面目で実直な工学系の男性であったため、Sさんに対してどうしたらいいか、一人悩んでいました。

私もY君とは付き合いが長く、ちらちらとそんな話をしていたのですが、しばらくすると、交際を始めたことをY君から聞きました。

事情を聞くと、誠実な彼は、とつとつと一部始終を聞かせてくれました。

彼の証言によると、ある食事の場で、Sさんがみんなに本を紹介していたそうです。
その本は新書で、上下巻に分けられた大部な本であったために、みんな聞いたことはあっても手に取って読んだことのある人はいなかったので、多少関心は持っても、みな聞き流していたそうです。

しかしY君はその本を買って、大部なその新書を2回も読み込んだそうです。
(大分、時間がかかったそうですが)

そしてSさんと、本を読んでの感想、教訓、自分の考えなど、お互いに語り合ったそうです。
はじめはSさんも驚いていたそうですが、お互い本が好きだったことが幸いしてか、会話を重ね、お互いのことを話し、Y君の誠実さ、奥深さが伝わり、親密な関係を築くことができたようです。

それまでY君はSさんにとって、多くの友達の一人だったと思いますが、このことがあったあとから、多くの中の一人とは違う存在になった。

お互いにお互いを認め合える、信頼関係を築くことができました。
コミュニケーションの直通回線を引くことができたようなものです。

男女の間に関わらず、普段の会話の中で、本人が忘れかけていたことを覚えてくれていたりすると、本人の心にはちょっとした感動の「さざ波」が立ちます。

関心をもって覚えていてくれた人は、ほかの人から「差別化」されます。
「その他大勢」から抜け出すきっかけになるのですね。

はじまりは、相手の幸せを念じる心

相手の立場に立つ心がけの根底にあるのは、相手に喜んでもらいたいという、相手の幸せを念じる心(利他の心)です。

自分のことしか眼中になければ、相手の立場に立つことはできません。「自分さえ助かれば、他人はどうでもいい」という考え方は、仏教で「我利我利(がりがり)」と言われ、最も嫌われます。

今、相手はどんな思いを持っているのか、何か悩んでいることはないか、自分にできることはないか。相手を思いやり、相手に寄り添って心に応えようとすれば、自ずと言動が変わってくるでしょう。

家庭でも、職場でも、交友関係でも、相手の立場に立ち、お互いを気にかけ、思いやる気持ちをもって接することができたら、世の中はどんなに明るくなるでしょうか。

今日からちょっと、そんな気持ちで周りの会話に耳を澄ましてみませんか。もしかしたら、今まで聞き漏らしていた声が聞こえるかもしれません。

自らも、周りも笑顔になれる、心のつながりを築いていきたいものです。

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この記事を書いた人

仏教講師・ライター:優 紀

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