なぜか人に好かれる人っていますよね。
そこにいるだけで幸せな気持ちにさせる、そんな人になりたいものです。
人当たりのいい人は、どんなことを心がけているのでしょうか。
「ヴィクトリア女王から最も寵愛を受けた首相」ともいわれる、19世紀後半の英国首相ディズレーリに学びましょう。
「人に好かれる天才」ディズレーリ
あるイギリス人の女性が、2人の政治家と、それぞれ別々の日に食事をして、言いました。
「初めの男性は、イギリスでいちばん頭のいい男性だと思いましたわ。でも、もうひとりの男性は、私がイギリスでいちばん賢い女性だ、という気分にさせてくれましたの」
さて、あなたが話したいのは、どちらの男性ですか。
前者はウィリアム・グラッドストン、後者はベンジャミン・ディズレーリです。
ともに19世紀後半のイギリスで、対立政党のリーダーとしてしのぎを削った政治家でした。
2人は好敵手同士で、たびたび首相を務めた有名な政治家ですが、性格は対照的だったようです。
グラッドストンは若い頃から優秀でしたが、理屈っぽく気遣いは今一つ。
対するディズレーリは、相手の魅力を引き出し、輝かせ、主役にできる人だったといわれます。
イギリス国内の女性から大きな支持を集めていたディズレーリ。
彼の人気の秘訣はどこにあったのでしょうか。
女王に嫌われていたディズレーリの大逆転
ディズレーリは、弁護士や新聞の発刊事業などを経たのちに小説家となり、デビュー作の『ヴィヴィアン・グレイ』で人気を博しました。
内容は、主人公がジャーナリストから議員に転向し、大活躍するという物語です。
彼自身も次第に政治に興味を持ち始め、小説を執筆しながら選挙活動を開始。5度目の出馬で初当選を果たしました。
議員として出世を重ね、47歳のとき初入閣、大蔵大臣を経験し地名度を上げていきます。
前任の首相が病気で政治家を続けられなくなった時、首相の右腕だったディズレーリが、周囲に推されて首相となりました。
当初、彼は、時のイギリスのリーダーであるヴィクトリア女王から、非常に嫌われていました。
女王の夫アルバート公が支持していた政治家を批判し、内閣総辞職にまで追い込んだことがあったからです。
そこで彼は、信頼を築くため、女王が読みやすいように、大臣として提出する報告書の語り口を「小説風」にするなど、様々な努力を重ねます。
中でも転機となったのが、女王の夫アルバート公が死去したときのことです。
女王がショックから公務を休み続け、常に喪服で過ごすほど悲しみに暮れていた時、アルバート公の業績をたたえる追悼演説を行いました。
女王はこのときの演説を、「ディズレーリ氏は、わが愛するアルバートを褒め称え、彼の偉大な性格を理解して敬意を払ってくれる」と評価したといいます。
こうしてディズレーリは、ヴィクトリア女王から最も寵愛を受けた首相と呼ばれるまでになりました。
常に相手の立場に立って、輝かせるにはどうすればよいか、考え続けたからこそ、成功を手にしたのでしょう。
一方、グラッドストンは朴訥で、社交が苦手でした。女王に好かれようとするどころか、むしろ彼女を邪険にするようなところがありました。
そのため、女王とグラッドストンは互いに反目し合い、彼が首相を辞任した際には女王からはねぎらいの言葉一つなかったといわれます。
人に好かれるたった一つの秘訣とは?
女王の評価が、嫌いな人から好きな人へと、ドラマティックに転換した秘訣について、ディズレーリはこのように述べています。
「人に好かれるにはたった1つのことを実行すればよい。それは相手の話をよく聞いてやることだ」
相手の心を開き、相手の立場に立ち、相手を輝かせるには、相手のことをよく知らねばなりません。
口は1つ、耳は2つ。
親身になって相手の話を聞くことは、話すことの2倍、大切です。
どんなに有能な人でも、周囲から信頼され、応援してもらわねば、物事は成し遂げられません。
信頼を得るときには、相手の話をよく聞いて、まず、受け止めることが大切であることを、ディズレーリの例は教えてくれているようです。
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