人間関係

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やさしい言葉の効能書き|芥川龍之介が失意の底でもらった激励の手紙

こんにちは、齋藤勇磨です。

どんな人生にも、傷ついたり、落ち込んだりするできごとがつきものです。

「もうダメだ」と、アキラメに心が覆われることもあります。

そんな時、あたたかい励ましの言葉は、勇気と元気を与えてくれる、なにものにも勝るプレゼントでしょう。

歴史上にも、そんなことを教えてくれるエピソードがありますので、紹介いたします。

失意の芥川龍之介

芥川龍之介といえば、様々な名作を生み出した作家として知られています。

今日、彼の作品は教科書にも掲載され、親しまれています。

しかし、無名の文学青年だった若き日の彼は、なかなか作品が認められず、自信を失っていました。

そんな芥川を奮起させ、危機を乗り越え大成させたのは、明治の文豪・夏目漱石のほめ言葉だったといいます。

晩年の漱石は、毎週木曜日を面会日と決めて、自宅の書斎で若者たちと談話会を開いていました。

すでに文壇で揺るぎない地位を築いていた漱石の自宅には、多くの作家志望の若者がおしかけました。

「木曜会」と呼ばれたその会には、誰でも参加でき、上下関係にとらわれず、みんな車座で文学や政治について話す自由な雰囲気が作られていました。

漱石は、自分が話すよりも、若者たちの議論を聞き、盛り上がっていく様子を穏やかに見ていることが多かったといいます。

大正4年(1915)、その「木曜会」に東京帝国大学の学生だった芥川龍之介がやってきました。

この時、23歳の芥川は失意の底にありました。

自分としては精いっぱい努力して書いたつもりの作品『羅生門』が、ほとんど評価されなかったのです。

仲間内からも黙殺され、小説を書くのをやめたらどうか、と言ってくる手紙まで届くほどでした。

しかし、文壇の師として尊敬する漱石に出会い、刺激を受けるにつれ、この先生に自分の渾身の作を批評してもらいたい、という思いがふつふつと沸き起こりました。

夏目漱石の激励

大正5年(1916)、芥川は短編『鼻』を発表します。

それは、長い鼻を持ち人から嘲笑されることに悩む僧侶の話です。

古典にヒントを得た芥川が、外見にとらわれる僧侶の浅はかさや、他人の不幸を笑う人間の醜さを描いたものでした。

漱石は芥川に賞賛の言葉を送ります。

「大変面白いと思います。落着があってふざけていなくって、自然そのままのおかしみがおっとり出ている所に上品な趣があります。敬服しました」

一介の学生にすぎない芥川が、有名な漱石に絶賛されたのです。

彼が、感激の声をあげたことは、想像に難くありません。

ところが、漱石の手紙には続きがありました。

「ああいふものをこれから二、三十並べて御覧なさい」

『鼻』は短編ではあるものの、芥川が構想から練りに練って書き上げた作品です。

同程度の優れた作品をあと二、三十書けというのは、決して容易なことではありません。

漱石の手紙は続きます。

『鼻』のような優れた作品を二、三十書けば、「文壇で類のない作家になれます」。

まだ実績も何もない、いわば駆け出しの新人である芥川に、文壇の重鎮である漱石が「類のない作家になれる」と励ましたのです。

この手紙に勇気づけられ、自信を得た芥川は、意欲を燃やし、産みの苦しみと戦いながら、いくつもの創作に挑み続けたといいます。

漱石の手紙は、まず、「相手をほめて自信を取り戻させ」、次に「具体的な目標を提示」し、最後に、その結果得られる「素晴らしい未来のイメージを抱かせる」という3段階で書かれており、まるでコーチングの見本のようです。

漱石の激励がなかったら、その後の芥川の数々の名作は、生まれなかったかもしれません。

他人の美点を見つける

仏教では、優しい言葉やねぎらいの言葉を伝えることを「言辞施」(ごんじせ)といいます。

欲しい物をもらうのも嬉しいですが、言葉のプレゼントはそれ以上に心に残ります。

歳月がたっても忘れず、心を潤し励ます糧になるからでしょう。

しかし、浮いたお世辞や、心にもないウソでは、かえってその人を傷つけてしまいます。

どうすればよいのか、夏目漱石の激励の手紙から具体的に学びましょう。

励ましの言葉をかける時のポイントは、まず、その人に関心を寄せ、よく観察して、相手も気づいていないような「よいところ」を賞賛すること。

どんな人にも、長所がありますから、その人の美点を発見する心掛けが大切です。

心から相手に関心を寄せることは、簡単なことではありませんが、まず発見に努めたいものです。

相手をほめて自信を取り戻させたら、次に大事なのは、「具体的な目標を提示」してあげることです。

その人が困っているのは、具体的に何をしたらよいか分からず、行動できずにいるからです。

その人が踏み出せる「ベイビーステップ(小さな一歩)」を示して、行動の後押しをしましょう。

最後に、その結果得られる「素晴らしい未来のイメージを抱かせる」ことです。

実際に行動を積み重ねていけば、あなたの未来は明るく開けていくのですよ、と励ますことで、相手の意欲を高めているのですね。

■夏目漱石に学ぶ、相手を励ます3ステップ
1.相手をほめて自信を取り戻させる
2.具体的な目標を提示する
3.素晴らしい未来のイメージを抱かせる

ぜひとも、身につけたいものですね。

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この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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