病気

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ガンになった在宅医療の専門家が訴える「医学だけで人を救えるか?」

こんにちは、拓海です。
病気になり人生の最後をどこで迎えるか。生まれ育った我が家で人生の終わりを迎えたい。患者にとっての幸福を第一に考え、在宅医療の先駆けとして活躍されてきた方がありました。
早川一光さん。医師として70年以上もの経験と、実際にご自身がガンを患われ、見えてきたものとは何だったのでしょう。

畳の上での養生 これが患者の一番の幸福と信じて

昨年(平成28)、NHKハートネットTVにて、早川一光さんの特集がされていました。

放送から、とても考えさせられました。
早川一光さんは、放送当時93歳。
在宅医療の先駆けとして、医療現場で活躍されてきた方です。

医師として、20代の時から、病院ではなく、在宅での診療によって、患者さんを支えていくことが患者の一番の幸せだと信じ、実践されてきました。

病気を治すだけでなく、人の苦悩をも治す「総合人間学」

早川さんは、患者さんと向き合ってきた中で、以下のことを語られています。

「病気さえ治したら、みんな患者さんは幸福になると思っていたら、どうもそうじゃない。その人が持っている暮らしの苦痛、心配事は、単なる医者では治らない。そこで臓器を治すのではなくて、患者の生活を治す、総合人間学というものがどうもありそう。医学だけでは人は救えない」

病気が治っても、その人の抱える不安や苦悩は、なお残り続ける。病気だけでなく、人を治す「総合人間学」があると考えたのは、早川さんが70歳になってからでした。

医療を超え、人を治す。その人の病気のみならず、苦悩を治すことこそ、その人を幸福にすることであり、医学だけでは、本当の意味でその人を救えないと考えられたのです。

「人を幸福にするには医学だけではなく、苦しみ悩みの解決をすることが必要」とは、本当に大切な考えだと思います。人はただ生きているのではなく、生きるのは幸福を求めてのことです。どんなに苦しくとも、なぜ生きるのか。その苦しみの解決をしたい。ここに早川さんは向き合われたのです。

診る側から、診られる側へ

90歳になり、早川さんはガンを患われました。
闘病生活となり、かつて自らが行ってきた在宅医療によって、今はご自身が支えられています。診る側としてあった病気と、診られる側になった病気とは、あまりにも隔たりがあったようです。自らが病気になって知らされたのは、畳の上の養生こそ天国だと信じていたのですが、天国と思っていたのに、かえって地獄でした。

医師として、病気に苦しむ患者と向き合ってきた方の言葉は、とても重く響きます。それほど、診る側と診られる側とでは大きな隔たりがあったのでしょう。

総合人間学とは、「たばこの煙」のようなもの?

90歳を過ぎ、ベッドの上で大半の時間を過ごされる早川さんが、今にして知らされていることがありました。

「総合人間学があると思って進んできたけれども、では総合人間学とは何かと聞かれると、何もない。自分ではあると信じてきたのだけど、何もなかった。ないものを求める。ちょうどたばこの煙のようなもので、掴んだと思って手を開いてみると何もない。私は、たばこの煙のようなものを求めていたのか」

人の苦悩や悩みをも治す総合人間学の必要性を、医師として、そして病気の患者の立場として、現在も訴えられています。しかし残念ながら、いまだにその糸口は見えていない様子でした。

例外なく私たちにやってくる老病死。この解決を求められたお釈迦様

老い、病、死。
これは決して他人事でなく、私たちにもやってくる現実です。仏教を説かれたお釈迦様は、人間である限り避けられない苦しみであると教えられています。

2600年前、国王夫妻の太子として生まれたお釈迦様は、地位、財産、家庭環境、才能にもあふれ、誰もがうらやむほど恵まれていた方でした。ところがそのお釈迦様が、それら一切を捨て出家を決意されたのです。

どんなに恵まれていても老、病、死によって見捨てられる時がくる。どんな幸福も続かない。「必ず死ぬのに、なぜ生きる」「どんなに苦しくとも生きねばならぬ理由は何か」。まさに、この人間の「苦悩の解決」を求められたのがお釈迦様だったのです。

なぜ生きるがハッキリすれば、真に医療が生かされる

のちに仏のさとりを開かれたお釈迦様が説かれたのが今日の仏教です。仏教は「どんなに苦しくともなぜ生きるのか」に真正面から向き合い、その答えを示しています。

もし病気を治して延命するほど、より苦しみを受け続けるだけなら、人は幸せにはなれないでしょう。早川さんが言われる通りです。「こんなにつらいなら、早く死んだほうが…」と思われる方もあるかもしれません。

しかし、もし「なぜ生きる」がハッキリしたならば、真に医療が生かされるのではないでしょうか。この医療によって生きることができなければ、自分はこの幸せになれなかったと喜べるからです。

早川さんのみならず、苦しみを抱え、生きることへの悩みを抱える一人でも多くの方に、「どんなに苦しくとも生きねばならぬ理由は何か」の答えを知っていただきたいと思わずにおれません。そのきっかけともなれば幸いです。

この記事を書いた人

ライター:拓 海

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