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どん底から這い上がるまで、希望を持ちたいなら
PTG(トラウマ後の心理的成長)とは
≪5種類の成長≫

今回はこんなお悩みについてです。
今がとても苦しい状態なのですね。
暗闇の中を進むような、先が見えない苦しみではないでしょうか。
私にも、そういう時期が長くありました。
心理学的には、つらい経験の後、ポジティブな心の成長があると言われます。
ひどい経験をする前よりも、もっと幸せを感じるようになるのです。
暗中模索して、あがいているときに、先は見えませんよね。
「やがて良くなる」「心理的に成長する」というのは、事実なのですが、渦中にはそう思えないのが当然です。
私もつい「大丈夫」とアドバイスしてしまいがちですが、そう思えないときは「そう思えない」と言っていいのですよ。
今のあなたの気持ちを尊重したいと思っています。

どん底から這い上がるまで、それでも希望を持ちたいなら、話を聞いていただきたいと思います。
仏教には「諸行無常」と説かれています。
すべてのことは、移り変わるのです。
どん底は苦しい。けれど、悪いことばかりではありません。
どんなに苦しい出来事であっても、「マイナスの部分を回復する」だけでなく、「プラスに転じる」可能性を兼ね備えています。
「艱難、汝を玉にす」という言葉もあります。
どん底が深いほど、浮かんだときの輝きも増します。
こういうことを知っていれば、どん底を味わう中でも、少し希望をもてるのではないでしょうか。

事故、災害、大切な人の死、病気、借金、事業の失敗、職を失うなど、
どん底と感じるような出来事には、精神的なショックが伴います。
トラウマとは、強いショックや苦痛な体験によって、深く刻まれた心の傷のことです。
這い上がるまでは、暗いトンネルを歩き続けるような時間です。
少しずつ回復の兆しが見えて、やがてトンネルを抜けるときが来ます。
ただ回復するだけでなく、大きな成長が起きることがあります。
どうせ苦しいのなら、なにか得たいではありませんか。
このように、どん底から這い上がった後、心理的な成長が起きることをPTGといいます。
PTGは、単なる回復やレジリエンス(回復力)とは異なります。
トラウマ以前よりも、レベルの高い心理的成長を遂げ、残りの人生において、指針のような役目をするのです。
PTGとして、5種類の成長がよく見られます。
あなたの未来がぼんやりとでも見えるように、それぞれ丁寧にみていきましょう。

大きな困難に直面すると、人を信じられなくなることがあります。
しかし、人は言葉に傷つき、言葉に癒されるもの。
それどころか、人を見る目を養い、信頼できる人との絆を深く感じるようになります。
「自分一人の力ではできないことがある」と痛感したとき、それまで一人で抱えようとしていた人も、助けを求めます。
そんなとき、自分がいかにご縁に恵まれていたのだろうと、深い感謝の心が起きるでしょう。
それがあなたの力になり、未来の感謝につながります。
自分と同じように苦しむ人に、深い慈愛の心が起きるかもしれません。
仲間意識が生じて、「昔からの友達、兄弟」のような感覚になり、涙ながらに握手する場面もあります。
他の人にも優しくなり、思いやりを持てるようになるかもしれません。
どん底から這い上がるまで、そう思えないかもしれません。
それでも人間関係を、より深く意味のあるものと考えるようになります。

どん底を経験すると、それまで考えつかなかった新しい道が開けます。
絶体絶命のピンチが、思わぬ突破口を生む可能性があるのです。
一般的には「窮すれば通ず」と言われますが、正確には、このように言います。
中国の古典にある言葉です。
物事が行き詰まり、逃げ場がなくなったときに、変化が生じる。
その変化によって、新しい道や解決策が開ける。
その結果、道が開けた状態が長く続く、という意味です。
このように、あなたに変化があるはずです。
生きる力を失うような、つらい経験があったなればこそ、同じ悩みを抱える方々を支える活動をしたいと、力強く歩み始めることもあります。

大きな危機を経験すると、それまでの世界観は崩れます。
その結果、認知的変化が起こるのです。
「パラダイムシフト」「パラダイムチェンジ」と言えるでしょう。
危機の直後は、こんな不安や恐怖を味わいます。
それが、やがて、少しずつ対処できるようになると、自分と環境に対する認知が変わってゆきます。
辛い時期を乗り越えるには、強さや能力を、存分に使う必要があります。
そうしているうちに、普段は気がつかなかった自分の「強み」を発見します。
このように感じ、自分自身に対する見方が変わります。
そう思えると、これからの危機にも立ち向かえるだろうという自信が芽生えます。
恐怖や無力感の真っただ中では、自信もなくなりますが、向き合い続けると、自分に備わる「強さ」を感じられるようになります。

つらい体験をしているときは、当たり前のことができなくなります。
当たり前の日常が、当たり前ではなかったと、身をもって知らされるでしょう。
すると、有り難さを感じ取る力が育まれます。
日々の些事にも、感謝する気持ちが起きてくるかもしれません。
「人生において何が最も重要か」という価値観も変化します。
こういったものよりも、
こちらを重要と感じるようになるケースが多いようです。
さらに深い感謝が生じることもあります。
こんな深い感謝をもつことができるのは、幸せなことではないでしょうか。
仏教では、「この世に三長者あり」と言われます。
心の長者が一番良いと言われています。

どん底のトラウマ体験は、「幸せの脆さ(もろさ)」や「命の儚さ(はかなさ)」を意識させます。
あまりにも苦しい経験をすると、
考えずにおれなくなり、苦しみと向き合い、答えを探します。
人生全体を俯瞰し、自分の人生を問い直すことになるでしょう。
その結果、時間的・空間的な捉え方が変化することもあります。
やりたくもない仕事をして、お金のために働くではなく、命の使い道を真剣に考える。
やりがいのある仕事を吟味し、喜びや感謝、使命感をもって動き出すなど。
やがて、自分の人生という枠組みを超えて、
このように考えるようになることもあります。

PTG(トラウマ後の心理的成長)から、5種類の成長を見てきました。
どの成長も、仏教を学ぶと得られるものと似ていると感じます。
お釈迦様のことばを聞いても、
受け取るものが、同じわけがありません。
どん底の時ほど、「人生の目的」や「生きる意味」を強く求め、必死に掴むからこそ、得られるものも大きいのではないでしょうか。
私も、どん底で何年も苦しみました。
そして、心の成長のきっかけとなったのが仏教でした。
仏教を聞き始めても、最初は「そうだろうか」と思っているうちは苦しいままでしたが、やがて「そういうことか!」と、自分にしっくりきたのです。
あんなに苦しい時間を過ごしたのも、この幸せに出会うためだったのかと思うと、どの苦労も報われた気持ちです。
あなたにとっても、人生が好転するきっかけになれば幸いです。
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