目次
- キャリアアンカーとは
- キャリアアンカー8つの分類
- キャリアアンカーの軸となる二大要素――「得意なこと」を見つける
- キャリアアンカー6つの要素――「仕事をする動機や欲求」がわかる
- キャリアアンカーよりも大事な人生のアンカー
はじめに
今回は「天職を見つけたい」というご相談です。
転職したい気持ちもありますが、不安も大きいので、自分に合った適職を見定めてから転職したいと思います。
できることなら天職を見つけたいと思いますが、なにか良い方法はありますか。
仕事が向いていないと感じていても、これまで築き上げた場所から離れるのは、勇気が要りますよね。
厚生労働省の雇用動向調査(令和2年)によると、3人に1人は、転職で給料が下がっています。
給料がすべてではありませんが、転職にはリスクもあるということです。
「失敗した、転職前のほうがよかった…」と後悔するのは避けたいですよね。
自分に合った適職を追求していくとき、人は「原点になるもの」をもっていると言われます。
キャリア研究の第一人者、エドガー・H・シャイン氏は、原点を「キャリアアンカー」と名付けました。
私も何度か転職を経験していますが、キャリアアンカーを知るまでは、新しい仕事を始めてしばらくすると「なにかが違う…」と思うことばかりでした。
キャリアアンカーを知れば、大きな失敗は減り、天職と思える仕事を探すことも可能です。
キャリアアンカーとは
キャリアアンカーは、生涯、変わらないものです。
船が流れていかないように鎖につないで海底に沈めておく重りのことを指します。
アンカー(錨)があれば、流れていきそうになっても必ずその場に引き戻されます。アンカーから大きく離れることはできません。
あなたが大事にしている価値観
「どんなことがあってもこれだけは捨てられない」と感じるもの
キャリアアンカーからかけ離れた仕事をすると「これは本当の私ではない」と感じて仕事が苦しくなり、あなたをキャリアアンカーに引き戻すように、心身が警告を発します。
キャリアアンカーに沿った仕事ができているときは、人生が充実していると感じ、安定します。
あなたのキャリアアンカーを知り、天職を見つけましょう。
キャリアアンカー8つの分類
キャリアアンカーには、8つの分類があります。
キャリアアンカーとなる価値観は、親や友達から「こういう仕事が良いよ」と言われて、良いと思っている価値観ではありません。
あなたの生まれ持った気質、積み上げてきた経験などから、無意識であっても大切にしている価値観なのです。
キャリアアンカーの軸となる二大要素――「得意なこと」を見つける
得意なことを考えるとき、大きな2つの要素があります。
あなたがどんなことがあっても捨てられないと思っているのは、2つのうち、どちらでしょうか。
キャリアアンカーの二大要素1、専門家(特定専門能力 TF;Technical/Functional Competence)
自分のもつ技術や能力を応用し、専門性を高いレベルに向上させ続けたい
専門性が強化されることに、達成感をもつタイプです。
このキャリアアンカーをもつ人がつまずくのは、プレイヤーとしてのスキルが高いために昇進を勧められた時です。
管理職になると、マネジメントの割合が増えるので、プレイヤーとして自分の技術や能力を向上させる機会が減ります。
昇進するのは喜ばしいことですが、キャリアアンカーから外れてしまうので、仕事が苦しくなってしまうのです。
キャリアアンカーの二大要素2、管理職(総合管理能力 GM;General Managerial Competence)
組織において高い地位に就き、人々をまとめ、部門に責任をもちたい
多様な経験を望み、特定分野にとどまりたくないタイプです。
出世を目指すタイプなので、今やっている仕事は「将来のための経験」と考えています。
リーダーに抜擢されたり、経営側に就いたりすることを好みます。
組織全体の成功と、自分の仕事を重ね合わせて考えていることが多く、プロジェクトやチャレンジに張り合いを感じます。
キャリアアンカー6つの要素――「仕事をする動機や欲求」がわかる
キャリアアンカー8つの分野のうち、残りの6つの要素は、「仕事をする動機や欲求」がわかります。
「二大要素 + 6つのうち主な1つ」をキャリアアンカーとしますが、いくつか当てはまる場合もあります。
あなたは次のうち、どれが一番あてはまりますか。
キャリアアンカーは絶対的なものではないので、自分をより深く理解するヒントにしてみてくださいね。
キャリアアンカーの要素1、自律・自立・自由(AU;Autonomy/Independence)
自由業やフリーで活躍できる仕事を選ぶ傾向にあります。
自由を得るためなら、業務委託やパートタイムも選択肢に入ります。
企業の中であっても、時差出勤などで業務時間を自分で決めたり、仕事のやり方を柔軟に決めたりすることを望みます。
規則や慣行に縛られることが多いなら、たとえ給料や地位が上がったとしても嫌だと感じるでしょう。
キャリアアンカーの要素2、保障と安定(SE;Security/Stability)
雇用の安定、年金の保障、経済的な安定、長期勤続できることを望みます。
誰しも安定や保障は望みますが、このキャリアアンカーをもつ人は、保障と安定を最重視して、自己イメージ全体をつくり、人生を描きます。
先行き不透明なリスクを取ってまで、チャレンジしたくないと感じます。
異動にはストレスを感じやすい傾向があります。
キャリアアンカーの要素3、起業創造性(EC;Entrepreneurial Creativity)
困難を克服して組織を立ち上げます。独立や起業に意欲を感じます。
チャンスがあればすぐに、自発的に飛び出そうとするでしょう。
企業規模や社会的成功の度合いで、自分の価値をはかろうとします。
自分の成功や努力を、広く世に顕示したいと望みます。
刺激を欲するので、刺激がないとパフォーマンスが下がります。
キャリアアンカーの要素4、奉仕・献身・貢献(SV;Service/Dedication to a Cause)
世界をより良くすること、環境問題を解決すること、平和をもたらすこと、人を助けることなどに価値を見いだします。
社会貢献になっているかどうかを重視します。
社会貢献に高い価値のあるものを製造したり、提供したりできなければ、意味がないと感じます。
キャリアアンカーの要素5、挑戦・克服(CH;Pure Challenge)
新記録や変革、困難な障害を乗り越えること、強敵に打ち勝つために取り組むことを、あきらめたくないと思うタイプです。
複雑で多面的な状況にチャレンジするのが目的なので、簡単なことであればすぐに飽きてしまうでしょう。
キャリアアンカーの要素6、生活スタイル重視(LS;Lifestyle)
調和やバランスを重要視します。
自分の思い、家族の思い、職場からの依頼にバランスをとります。
家族のためなら昇進をやめたり、夫や妻の働き方を優先して自分のキャリアを組み立てたりします。
在宅勤務や育児休暇などを望む傾向にあります。
自分のアイデンティティを考えるとき、特定の仕事や組織というよりも、人生全体をいかに生きるべきかという広い意味でキャリアを考えます。
仕事だけに専念しなければならず、家庭が疎かになると不満を感じます。
キャリアアンカーよりも大事な人生のアンカー
仕事を選ぶときに、キャリアアンカーを知ることは重要です。
しかしキャリアアンカーは絶対的なものではありません。あなたの人生で、優先順位を決めるヒントに過ぎないのです。
今回は、キャリアアンカーのことを「仕事における価値観」としてお話ししましたが、正確には仕事のことだけではありません。
これまで人生を歩んできた轍の跡
これから人生を歩んでいく轍の両方を指す
職業選択よりさらに大事なことは、「なんのために生きるのか」という、人生のアンカーなのです。
事故で障害をもったり、病気で余命宣告されたりして、仕事ができなくなったときでも「なんのために生きるのか」という人生のアンカーがなければなりません。
そして、人生のアンカーとは、すべての人に共通しているものです。
あなたはそれが何か、わかりますか。
仕事ができる健康な今のあなたも、人生のアンカーを知ってこそ、キャリアアンカーが真の意味をもつのです。
適職や天職を考えるとき、仕事の範疇を超えて、あなたの「人生」から仕事を考える本やサイトはめったにないはずです。しかしこの視点が本当に重要なのです。
じっくりと思考を深めてもらえるように、15通のメルマガにまとめました。ぜひ人生のアンカーを見つけて、心から満足できる人生にしてくださいね。
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