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目標は風邪のように伝染する?専門家・世界的コーチが教える、環境を使った目標達成術

こんにちは、ライターのゆうです。

目標を打ち立てて、最初はやる気満々で努力を続けていたものの、徐々に失速していき、やがては目標達成をあきらめてしまったことはないでしょうか。

そうなれば「自分は意志の弱い人間だ」と思い、自己評価も傷ついてしまいかねませんね。

どうすれば途中でやめてしまうことなく、無事に目標を達成し、充実感を味わい、自尊心を高めていくことができるのか。

目標達成・モチベーション研究の第一人者が教える、目標達成のための効果的なアプローチ法をお話ししています。

目標達成に向かうために押さえておきたいのが、以下の3つの要素です。

  1. マインドセット
  2. 行動計画
  3. 環境

前回は、2つ目の要素で行動計画について、具体性のある”いい計画”を立てることの大切さをお話ししました。

今回は最後3つ目の要素「環境」についてお話ししていきます。

目標は風邪のように伝染する?環境を利用したモチベーションの維持・管理法

環境の大切さについて、モチベーション研究の第一人者であるコロンビア大学の心理学博士 ハイディ・グラント・ハルバーソン氏は、こう語っています。

目標は風邪のように伝染します。

わたしたちは、目標に向けて邁進している他者の姿を見ることで、同じ目標に向かおうとします。

目標は風邪のように伝染する、とは、自分の目標と同じ目標を目指している人が、その達成に向けて一生懸命努力している姿を見ると、「自分ももっと努力しよう」と思えて、ともに目標達成により早く向かえる、ということですね。

グリット(目標に向かって努力を続け、やり遂げられる力)の提唱者として知らされるペンシルベニア大学の心理学者 アンジェラ・ダックワース氏の研究では、グリットもまた人から人へ伝染することがわかっているそうです。

粘り強く物事に取り組む人、熱心に働く人の中に身を置くことで、その粘り強さや熱心さが自分にも伝染し、目標に向かって邁進できるようになります。

架空の人物の性格も自分のものになる?最新の研究が示した驚きの結果

また、面識のある人のみならず、逸話や伝記に触れるのも有効であるといわれています。

ダートマス大学とオハイオ州立大学の研究者たちによると、人が1冊の本に夢中になっている時には、その主人公に感情移入するだけでなく、主人公の特性や性格の一部を取り込みはじめる、ということを発見したそうです。

困難を乗り越えて大きな目標を達成した先人・偉人のエピソード、成功者の体験記、架空の人物の物語であっても、それらの人物の特性や性格が自分のものになるというのは驚きですね。

あるポジティブ心理学者は、自分の気持ちを持ち上げ、鼓舞してくれる本や雑誌などを身の回りに置くことを勧めています。

・同じ目標を持っている人たちと時間をともに過ごす
・SNSでグループを作ってその日の取り組みを共有する
・偉人のエピソードを読み返す

などを心がければ、モチベーションを継続させることができるのです。

世界的コーチの忠告「フォローアップなしでは人はよくならない」

目標を達成するには、同じ目標を持つ人たちと一緒に過ごすことに加え、「フォローアップ」も欠かせません。

フォローアップとは、自分がどれだけ目標に向かって努力できているかを定期的に確認することをいいます。

長期的な目標達成を支援し、人が変わることを助ける、世界的なエグゼクティブ・コーチ マーシャル・ゴールドスミス氏は、自らの経験を通して「フォローアップなしでは人はよくならない」と断言しています。

ゴールドスミス氏が講師を務めたセミナーの終わり、今学んだことを職場で実践するつもりがあるかどうかを参加者に尋ねたところ、ほぼ100%が「イエス」と回答しました。

1年後、参加したリーダーの直属の部下に、上司が研修で学んだことを職場で実践したかどうか尋ねたところ、70%はイエスと答えたものの、30%は上司はまったく何もしなかったと答えたそうです。

実行しなかったリーダーは、セミナーの内容に心動かされなかったわけではありません。

しかし職場に戻り、山積した仕事を見た瞬間、「セミナーで学んだことを実行しよう」という気持ちが消し飛んでしまったのです。

決意したことがちゃんとやれているかどうかの確認、フォローアップがなければ、そもそも実行すらできず、まして継続して努力することは極めて難しいのですね。

ゴールドスミス氏と同じくエグゼクティブ・コーチとして活躍しているキャロライン・アダムス・ミラー氏は、

目標に向かって進んでいくとき、人が犯してしまう最も重大なミスは、アカウンタビリティを持たないことだ。

と言っています。

アカウンタビリティというのは、「自分がしなければならないことを明言すること」です。

上司や同僚、友人、家族などに「いつまでにこれをします。だからこのタイミングで自分ができているかどうか確認してください」と依頼することで、やり遂げる確率は格段に高まるのです。

あなたが変わることを望んでいる身近な人に成し遂げたい目標を伝えて、フォローアップをお願いすれば、快く引き受けてくれるでしょう。

人に頼らなくてもフォローアップができる方法として、先のミラー氏は、目標について思い出させるメールがときどき送られてくる仕組みを作ることを勧めています。

そうしたメールが届くことで、目標の重要性を思い出すことができ、目標に対しての責任を持ち続けられるようになります。

週の頭、月の初め、年頭に送られてくるようにメールを作成・設定し、フォローアップの一助にしていただければと思います。

仏教でも説かれる環境(=縁)の大切さ

仏教の観点からも、環境を整えることは大切であるといえます。

環境に当たる言葉として、仏教では「縁」という言葉が使われています。

私たちの身に起こる結果は、「因(=私たちの行為)」と「縁」とが結びついて生じている、と仏教では教えられています。

このことを「因縁和合」「因縁生起」といいます。

「米」で考えると、とてもわかりやすいです。

米を結果とすると、その因にあたるもの(これがなければそもそも米はできない、というもの)は何でしょうか。

それは「もみだね」ですね。種がなければ、実はなりません。

では種さえあれば実はできるかというと、どうでしょうか。それだけでは実はできないですね。

米でいえば、田んぼ・日光・肥料などがあってこそ成長し、稲穂となって収穫することができます。

これら田んぼ・日光・肥料などが、米にとっての縁となるのです。

このように因と縁とがそろって結果が生まれるのですね。

目標達成ということで考えれば、因にあたるのは自らの努力、縁には周囲の人や環境が当てはまります。

目標達成には努力が不可欠ですが、モチベーションを持続させて努力を続けるには縁も考慮しなければなりません。

先で紹介した、自分と同じ目標に向かって前進している人、熱心に働いている人、グリットの高い人たちがいる環境に身を置けば、よい影響を受けることができます。

また、友人に依頼したりメールを設定したりして、フォローアップが受けられる環境を整えれば、目標の大切さを再確認でき、鼓舞させられるでしょう。

目標に対してどんなマインドセットを持っているか、具体的な行動計画を立てているか、そして、自分が今いる環境はどんなところかを、ぜひ振り返っていただければと思います。

まとめ

■目標は風邪のように伝染する、といわれています。同じ目標に向かって邁進している人、粘り強く物事に取り組んでいる人と一緒に過ごすことで、その熱心さが自分にも伝染し、やる気を維持しつつ、早く目標達成に近づけるようになります。

■目標達成に欠かせないのが「フォローアップ(どれだけ目標に向かっているかを定期的に確認すること)」です。自分が変わることを望んでくれる人に目標を伝えて、進捗の確認を依頼することで、目標に向かって継続的に努力ができます。

■仏教では因と縁とが結びついて結果が生じる、と教えられています。目標達成という結果を得るのに自らの努力は不可欠ですが、モチベーションを維持させるにはどんな人と過ごしているか、どんな環境にいるかという縁も考慮することが大切です。

参考文献:
『やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~』(ハイディ・グラント・ハルバーソン著 大和書房)
『実践版GRIT やり抜く力を手に入れる』(キャロライン・アダムス・ミラー著 すばる舎)
『潜在能力を最高に引き出す法: ビッグ・ポテンシャル』(ショーン・エイカー著 徳間書店)
『コーチングの神様が教える「できる人」の法則』(マーシャル・ゴールドスミス著、日本経済新聞出版)

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この記事を書いた人

ライター:ゆ う

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