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「悪人正機」の4文字に、生きてる意味の答えあったーSNSインタビューfile.01

こんにちは。編集部のコーヒーおじさんです。

SNSで、ちょっと気になるメッセージを発信された方にお話を伺う新コーナー「SNSインタビュー」。今回、快くインタビューに応じてくださったのは、翻訳の仕事に活躍されているマルチリンガルのネコさんです。

辛い料理と甘いお菓子が大好きで、海外の人ともすぐに打ち解け仲良くなる、天真爛漫な印象のネコさんですが、ずっと1つの言葉を明かりに、つらい日々を生き延びてきたといいます。

SNSインタビューfile.01

――ネコさんが生まれ育ったのは、どんな環境でしたか?

3人きょうだいの末っ子として生まれました。
私とは年の離れた兄と姉は、明るく活発で、友達にも恵まれていました。
それに対し、私はいつも一人で本を読んでいるような、病弱で内向的な子供でした。

――小学生時代、つらいことがあったとお聞きしました。どのような出来事が?

6年間、ずっといじめられっ子で、毎日が地獄のようでした。
叩く、抓る、殴る、蹴るといった肉体的な暴力から、精神的に追い詰めるような言葉による暴力まで、複数の同級生から、ありとあらゆるいじめを受け続けました。

――それはひどいです。自殺も考えられたのでしょうか?

はい。「今すぐ死にたい」「この世から消えたい」といつも思っていました。
「自殺も考えた」というよりは、いずれ自殺しよう、と心に決めていました。そして、これまで親や社会から受けてきた恩恵にある程度報いたら、自らこの世を去ろうと、自殺するための人生計画を立てていました。

――自殺するための人生計画ですか……。そんなネコさんを、この世につなぎとめていた、ある言葉があったと聞きました。

中学生の時、社会科の教科書か、資料集で見て知った「悪人正機(あくにんしょうき)」という仏教の言葉です。

よく兄や姉が使っていた教科書を読書の一環で読んでいたので、高校の教科書だったかもしれません。

「悪人正機」の4文字は、時々、フッと頭に浮かんでは、「いつか、この言葉の本当の意味が知りたい」と思っていました。

そんな風に、何度も思い出したり、その真意を知りたいという思いに駆られる言葉は、他にありませんでした。

「悪人正機」だけは、何年たっても、心のどこかにずっと引っ掛かっていたのです。

「悪人は生きる価値がないはずなのに、悪人こそが救われる(正機)ってどういうこと?」

何か深い哲学が、そこにあるに違いないと感じました。

解説書を少し読んだり、テレビの特集を見たりもしましたが、分かるようで分からない説明に、謎は深まる一方です。

「きっと、その人自身もよく分かっていないから、分かるように解説できないのだろう」

と薄々感じ、

「この言葉の本当の意味を知り、私にも分かるように明らかにしてくださる人から聞かなければならない」

と思っていました。

今思えば、それを心の明かりに、自殺を思い止まり、生きつないでいたように思います。

不思議な出会い

――それほど「悪人正機」という言葉には、何かひきつける力があるのですね。その後、ネコさんは、どんな行動を?

「悪人正機」を理解するには、まずは哲学の基礎知識がなければならないのではないか、と思い、某大学の哲学・思想コースを選べる専攻を選び、入学しました。

そこで先輩に誘われて参加した、ある仏教の講座で、「悪人正機」について聞く機会に恵まれたのです。

大学に入学して、わずか2、3カ月後のことでした。

その講座を聞いて、「あの、ずっと知りたいと思っていた『悪人正機』の意味は、このことだったのか!」と驚きました。

ここまで、何か目に見えない、強い力に引き寄せられていたように感じずにいられませんでした。

――不思議ですね。そのとき聞かれた「悪人正機」の解説を、少し教えていただいてもよろしいでしょうか。もちろん一言、二言で表せるものではないと思いますが……。

はい。法律や倫理、道徳を基準にすれば、この世には善人と悪人がいますが、どんな小さな悪も見逃さない仏の眼からみれば、すべての人間は、心でも口でも身でも悪をつくりどおしの「悪人」であり、そのために苦しみ悩んでいる「苦悩の人」と教えられます。

つまり、「悪人正機」の「悪人」とは「すべての人」のことであり、いわば人間の代名詞だったんです。

そして、すべての人は、まことの善は1つもできない、悪しかできない極悪人と見抜かれたうえで、そのすべての人を必ず、人間に生まれてよかったという絶対の幸福にしてみせると約束されているのが、仏の王である阿弥陀仏といわれる仏の本願です。

別の角度から言えば、苦悩の人が正客、ということであり、私の、すべての人の、幸せになれる道、生きてる意味の答えが、この4字に示されていたんだと分かったんです。

――何か、人間観がガラリと変わるようなお話です。もっと詳しくお聞きしたいところですが、最後に、このインタビュー記事を読まれた方へのメッセージをお願いします。

つらいことの多い人生、生きてる意味なんてないと絶望している人にこそ、「悪人正機」の本当の意味を知ってほしいです。「悪人正機」の中に、なぜ生きるか、生きてる意味の答えがあります。
チャンスがあれば、仏教の講座などで、ぜひその深い哲学を知って、生まれてきてよかったという喜びを、皆さんに味わっていただきたいと思います。

――ありがとうございました。

(参考記事)
悪人正機説で有名な『歎異抄』基礎知識と魅力
世界中で愛読される『歎異抄』

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