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シャーロック・ホームズの名推理に因果を学ぶ

こんにちは、齋藤勇磨です。

学生時代に好きだったのが、世界一有名な探偵小説の一つである「シャーロック・ホームズ」シリーズです。

あっと驚く推理で難事件を次々に解決するホームズの名推理には、胸を躍らせました。

毎月、2冊ずつ出版社から取り寄せ、何度も読みふけったものです。

今回は、そんなシャーロック・ホームズのエピソードを切り口に、お話ししたいと思います。

シャーロック・ホームズ初登場シーン

これは、『緋色の研究』に描かれる、シャーロック・ホームズ初登場の場面です。

ホームズの名推理をうかがわせる名シーンとして有名です。

「こちらはドクトル・ワトスン。この方がシャーロック・ホームズさんです。」

スタンフォードが私たちをひきあわせてくれた。

「はじめまして」

ホームズはていねいにいって私の手を握ったが、その握りかたは言葉つきにも似ず、 いささか乱暴だと思われるほど強かった。

「あなたアフガニスタンへ行ってきましたね?」

「ど、どうしてそれがおわかりですか?」

 私はびっくりした。

『緋色の研究』(アーサー・コナン・ドイル)

やがて、ホームズの助手となるワトスンが、初めてホームズと会った時、一瞬でワトスンの素性を読み取り、「アフガニスタンに行きましたね?」と発言して、ワトスンを驚かせるという場面です。

その裏には、このような推理があります。

ここに医者タイプで、しかも軍人ふうの紳士がいる。

すると軍医に違いない。

顔はまっ黒だが、黒さが生地でないのは、手首の白いのでわかる。

してみると熱帯地帰りなのだ。

つらい思いをして、病気で悩んだことは、憔悴した顔が雄弁に物語っている。

左腕に負傷している。動かし方がぎこちなくて不自然だ。

我が陸軍の軍医が艱難をなめ腕に負傷までした熱帯地はどこだろう?

むろんアフガニスタンだ・・・

と、これだけの過程を終わるには1秒も要しなかった。

それで僕がそれを言ったら、君は驚いたというわけさ。

子供の頃これを読んで、「すごい」と思ったものです。

ちゃんと論理を追っていけば、アフガニスタンに行っていたと分かるのですが、中間の論理を飛ばしてしまうと、「なぜ、そんなことが分かるの?」と驚くわけです。

「風が吹けば桶屋が儲かる」

日本のことわざにも、同じように、途中の論理を飛ばすことで、「なぜ?」と聞きたくなる、面白いものがあります。

「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざです。

これは、

1.大風が吹くと土ぼこりが立つ

2.土ぼこりが目に入って、失明する人が増える

3.失明した人は三味線を買う
(当時、目の不自由な方が就ける職は按摩師で、三味線で客を呼ぶ為)

4.三味線には猫の皮が必要なので、ネコが捕まえられる

5.天敵のネコが減ると、ネズミが増える

6.増えたネズミが桶をかじる

7.桶の需要が増えて、桶屋が儲かる

というものです。

桶屋さんは、「最近、売り上げがいいな。どうしたんだろう」と思っても、まさか、その原因が風が強く吹いたからということだとは、思いもよらないでしょう。

もちろん、実際にはこんなに単純な話でもないのですが、このことわざが意味するのは、「一見すると無関係に見える事柄同士にも、原因と結果の関係がある」「何事にも必ず原因がある」ということです。

バタフライ効果|些細なことが、大きな結果に

「偶然、こうなった」

「たまたま、そうなった」

と、よく言います。

しかし、「偶然」とは、「何の原因も理由もなく起きた」という意味です。

本当に、原因なしに起きる結果はあり得るのでしょうか。

ヒュームは、「この世に偶然ということはないのだが、出来事の真の原因が分からないために」そのような理解をするのだと指摘しています(『人間知性研究』)。

私たちが知りうる情報には限りがあって、本当の原因を知り尽くすことができないから、「偶然だ」といっているだけなのです。

一般に「偶然に起きた」といわれていることは、実際には、ごく小さな原因や、予想外の原因が、重大な結果を引き起こしたことであり、原因が「ない」のではなく、小さくて「分からない」だけなのです。

小さな原因が、予測もつかない大きな結果を生み出す現象を、科学でも「バタフライ効果」といいます。

ブラジルで1羽の蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が発生する、というように、些細なことがその後の大きな変化につながっていくことがあり得るのです。

万物が複雑に絡み合った世界では、ほんのささいな原因から、条件によっては、巨大な結果が生じます。

思い返せば、「私たちには分からなくても、どんな結果にも、必ず原因がある」と最初に感じさせてくれたのが、シャーロック・ホームズのエピソードだったと、思わずにおれません。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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