【アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア】田中進一の世界(三月十九日・二十日)『フライザイン~死に対して自由な心を求めた僕と彼女と妹の物語』
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【猫青年に聞いてみよう】早稲田美桜の世界(三月十九日)
病院からの帰り道、白いベンチに座った。
「しあわせの地図」を広げる。
「フライザイン」という謎の言葉に視線を固定する。しかし何もアイディアは浮かばなかった。
風にそよぐ桜並木へと顔を向ける。
その時、膝の上に何かが飛び乗ってきた。見下ろすと両手を揃えた〝ボブ〟がクリクリした目をこちらに向けている。
ボブ、すなわち愛すべきこの三毛猫は、ゆっくりと両手を体の中に収める形で座り込み、目を閉じてくつろぎのポーズに入った。背中をなでると、グルグルとノドを鳴らし始めた。毛並みをなでる心地よさをしばし味わう。
「そういえば……」
吾輩は、『ツァラトゥストラ』を手にしていた猫青年を思い出した。そうだ、彼に、『フライザイン』について知ってないか聞きそびれてしまったのだった。
彼に尋ねようとした時、ちょうど電話がかかってきてたのを思い出した。
しかも、猫青年は〝生きる意味〟を考えてた。これはなかなかのことだ。ちょっとしたヒントでもいい。一歩、前に進める手がかりを持ってはいないだろうか。「フライザイン」について知っている確率はかなり低いが、万が一ということもある。
《ともかく明日、あの猫青年に聞いてみよう》
自分の心に向かってつぶやいた。
ボブはノドを鳴らしながら、寝息のような音を鼻から出していた。
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