【目次】
はじめに「2つの怒りタイプ、あなたはどっち?」
- なぜあなたは怒ってしまうのか。
怒る理由1、価値観の異なる人たちと接しなきゃいけないから(多様性)
怒る理由2、情報が多すぎるから(情報量)
怒る理由3、変化のスピードが速すぎるから(変化)
怒る理由4、怒りは伝染しやすいから(広がり)
怒る理由5、不安感が蔓延しているから - 「怒ること自体は問題ない」アンガーマネジメントの基本認識
- 問題がある「4つの怒り」
- 怒り対処法「アンガーマネジメント」7選
怒り対処法1、怒りに隠れた感情に気づく「一次感情」
怒り対処法2、怒り体温計をつける「スケールテクニック」
怒り対処法3、怒ったらすかさず唱える言葉「コーピングマントラ」
怒り対処法4、心得を用意する
怒り対処法5、怒りパターンを把握する「アンガーログ」
怒り対処法6、怒りパターンを把握する「アンガーログ」分析法
怒り対処法7、怒り上手になろう! - 超・アンガーマネジメントのすすめ
はじめに
2つの怒りタイプ、あなたはどちらで悩んでいますか?
「つい怒ってしまう。このままじゃダメだ。」
「怒りを向けられてモヤモヤ。萎縮しちゃって言い返せない。」
ちなみに私は、怒りAタイプ→怒れないBタイプに変化したので、どちらの気持ちもわかります。
怒りAタイプの頃、「鬼部長」なんてあだ名がつけられながらも「リーダーシップを発揮するには仕方ないことだ…」と思っていました。
言わなきゃ、伝わらない。
怒らなきゃ、従ってくれない。
怒りを表現しキツく叱ることは、チームのまとまりに役立っていた部分はあります。
その反面、恐れて本音を話してくれないことに悩んでいました。
あるとき、こんな言葉を見て心にグサッ。
怒りは無謀をもって始まり、後悔をもって終わる
――ピタゴラスの言葉
怒りは後悔に終わることが多いと痛感し、怒れないBタイプへ変化。
怒らないことで、心優しい人が周りに集まるようになりました。
ところが同時に、ナァナァな関係も増えてきます。
「コイツは反撃してこない」と察知されると、一方的に怒りをぶつけられることも…。
悩みが増え、愚痴も増えてしまいました。
悩んでいる時に出会った「アンガーマネジメント」は、一生モノの智恵となりました。
怒りAタイプ、怒れないBタイプ。
どちらも解決して、最終的に「超・アンガーマネジメント」にたどり着いたのですが、その話はまた後で。
なぜあなたは怒ってしまうのか。
怒りAタイプと怒れないBタイプは、真逆のようですが、共通点があります。
それは「心の中が穏やかでない」こと。
なぜ心が穏やかでいられないのか。イライラもやもや怒りが起きてしまうのは、実はいくつも当然の理由があるからなのです。
怒る理由1、価値観の異なる人たちと接しなきゃいけないから(多様性)
価値観の異なる人たちと接すると、間違い(だと感じるもの)に出くわします。
私たちは学校で「正解を出しなさい」と教育されてきました。
間違いにマル◎をつけるなんて、まじめな人には耐えられません。
あなたは間違いにマル◎をつけられますか?
これは「ネット炎上に加担した理由は?」と尋ねたアンケートで上位を占めた意見です。
ネット炎上をおこす理由の60~70%は、間違いを許せない“正義感”からきています。
(「炎上加担動機の実証分析」山口真一)
ネットで何億人の異なる考え方に接し、
グローバル社会で世界中の文化や宗教に触れ、
ダイバーシティの進む企業で多様性を受け入れる。
価値観の異なる人たちと接しなきゃいけないから、正義感の強いまじめな人ほど、怒りが湧いてしまうのです。
怒る理由2、情報が多すぎるから(情報量)
現代人はたった1日で、江戸時代の1年分、平安時代の一生分の情報を浴びる。
――(株)圓窓 澤円氏の言葉
情報が多すぎるので、1日でも疲労感が溜まります。
情報量が多い分、不快な情報もたくさん目にします。
疲れているところに不快な気持ちが続けば、誰だってイライラしますよね。
怒る理由3、変化のスピードが速すぎるから(変化)
今の常識は、昔の非常識。
変化が速すぎると、常識だと思っていたものが、あっけなく覆されます。
「小学生1年生の65%が、今存在していない新しい仕事に就く」
――デューク大学 キャシー・デビッドソン氏 2011年
「いま存在する職業の47%が、20年後には自動化され消滅する」
――オックスフォード大学 マイケル・A・オズボーン准教授 2013年
流れについていけない不安。
せっかくの苦労が水の泡になる不安。
不安は、怒りを生み出す大きな原因の1つです。
怒る理由4、怒りは伝染しやすいから(広がり)
危険が迫ってきたら、すぐに“戦うか逃げるか”判断しなければなりません。
怒りに“戦う”人も、怒りの感情になります。
オセロゲームのように、一個の黒がつぎつぎに黒く染めていきます。
怒りに“逃げる”人は、脅威におびえる感情になります。
おびえる感情も伝染しやすいので、不安が蔓延していきます。
怒っている人が1人でも居ると、平穏な気持ちでいるのは難しくなります。
怒る理由5、不安感が蔓延しているから
日本人の7割以上が「最近不安を感じている」
――(株)セコム「日本人の不安に関する意識調査」2020年
9年連続で、日本人の7割以上が不安を感じています。
1位、新型コロナウイルスの拡大(28.3%)
2位、老後の生活や年金(22.8%)8年連続1位でした
3位、健康(17.1%)
不安は、怒りを生み出す大きな原因の1つであり、マスク警察や自粛警察など、不安と正義感が混ざって怒りが広がっていきます。
「怒ること自体は問題ない」アンガーマネジメントの基本認識
「怒りがなくなる」のではありません。
他の記事でも書いてきたとおり、「欲・怒り・愚痴」といった煩悩は、人間である限りなくなりません。
怒りは、抑え込むとなおさら膨れ上がります。
「怒ること自体は問題ない」というのがアンガーマネジメントの基本認識です。
怒る必要のないときは、怒らなくて済む。
これがアンガーマネジメントです。
「怒りを感じたとき、適切な表現をするってどういうこと?」
こんな質問をよく受けます。
「怒り」といっても、いくつか段階があります。
2、顔…怒りの表情でムッとする
3、口…怒りを言葉にして、人にぶつける
4、体…こぶしを挙げ、人を傷つける
ひたすら我慢していたら、いつか大爆発を起こします。
パワハラ、暴力、ストレスの病気につながりかねません。
怒りを「心・顔・口・体」のどこまで表現するのか。
どんな伝え方をするのか。それが問題です。
“正しく怒る技術”を身につけましょう。
問題がある「4つの怒り」
日本アンガーマネジメントの第一人者、安藤俊介氏は「強度が高い」「持続性がある」「頻度が高い」「攻撃性がある」という、問題がある「4つの怒り」を挙げています。
イメージがつきやすいように、動物に例えてみます。
怒り要素・強度が高い(虎)
強烈なパンチをかます虎のように、大声を出す、すぐ不機嫌になるなど、あからさまな怒りです。
怒り要素・持続性がある(シマウマ)
ずっと草をムシャムシャ噛み続けるシマウマのように、ネチネチしつこく、昔のことまでひっぱり出してくる怒りです。
怒り要素・頻度が高い(ウサギ)
ピョンピョン飛び跳ねているウサギのように、地雷がそこらじゅうにあり、あれもこれも怒りスイッチが入る怒りです。
怒り要素・攻撃性がある(ネコ)
何でもすかさずネコパンチ!のように、モノに当たる、他人に当たる、自分に当たるなど、攻撃する怒りです。
虎、ウサギ、ネコの3種混合型など、組み合わせもあり得ます。
怒り対処法「アンガーマネジメント」7選
怒り対処法1、怒りに隠れた感情に気づく「一次感情」
怒りは「二次感情」であり、必ず「一次感情」の次に出てきます。
一次感情のうちに表現すれば、怒りになることはありません。
欲、望み、不快、不安、落胆、嫌悪など
怒りは「万能感情」とも言われ、自分の素直な気持ち(一次感情)に気づいていないと、怒りにすり替わってしまいます。
すぐ怒る人は、ある意味、すぐ泣き叫ぶ赤ちゃんと同じです。自分の一次感情を処理できないから怒るのです。
自分の素直な気持ち(一次感情)に気づくようにしましょう。
怒り対処法2、怒り体温計をつける「スケールテクニック」
怒りを感じるとカーッと熱くなりますよね。
怒り体温計は、実際の体温ではなく、怒りレベルを感覚的に数値化する手法です。
38℃ 爆発寸前
37.5℃ 要注意のいらだち
37.0℃ イライラもやもや
36.5℃ 穏やか
怒り体温計をつけると、怒りに気づきやすくなります。
数値化すると「この前よりマシ」「大した怒りではないな」と客観視できます。
流行語にもなったギャル語の「怒り段階」は、心理学的には怒りコントロールをしている表現です。
1 おこ
2 激おこ
3 激おこプンプン丸(2013年 流行語大賞にノミネート)
……「怒りの14段階(or15段階)」まで続くそうですが、長すぎて覚えられません。3~4段階で充分だと思います。
怒り対処法3、怒ったらすかさず唱える言葉「コーピングマントラ」
怒ったらすかさず唱える言葉を用意しましょう。
方言や英語で言ってみるのも、ユーモアがあっていいと思います。
次の中で、好きな言葉はありますか?
ほかにも、「ケーキ」「すきやき」など美味しい食べ物や、ペットの名前などもOKです。
怒り対処法4、心得を用意する
怒りは「防衛反応」と言われ、なにか大切なものを守ろうとしています。
一次感情に気づけるようになれば、自分の「大切なもの」を守れるようになります。
・価値観を発見する
「私は仕事の速さより、丁寧さを重視しているんだな。だから早くて雑な人に怒るんだ」
・怒りを話し合いに代える
「急がなくていいので、もう少し完成度を高めてから、持ってきてもらえますか」
・怒りを昇華させる
「あの人のやり方は私とは違う。あの人はたたき台を作る役割。私はそれを完成させよう」
このように段階を踏めば、「丁寧な仕事」というあなたの「大切なもの」を守れます。
怒り対処法5、怒りパターンを把握する「アンガーログ」
アンガーマネジメントには多くの流派がありますが、「アンガーログ」のないアンガーマネジメントはありません。
ログとは記録のこと。怒りの記録をとり、怒りパターンを把握します。
人は、怒りを忘れるようにできています。
忘れるのは良いことですが、「なぜか怒っちゃう」というタイプの人は、自分の怒りパターンを知らずに同じ失敗を繰り返している可能性が高いです。
怒ったらすかさず記録をとるのがポイントです。
怒り対処法6、怒りパターンを把握する「アンガーログ」分析法
1、「~すべき」という自分の価値観を見つけ出す
2、怒りを発動する引き金「トリガー」を見つけ出す…怒りやすいあなたの弱点が必ずあります。
※参考:イライラする!なぜイライラするのか7つの原因
3、大きな影響を受けた人生の経験を見つけ出す…あなたが今の考え方をするようになった理由を分析しましょう。
怒り対処法7、怒り上手になろう!
怒り上手かどうかチェックリスト
☑「こうしてほしい」という内容は具体的ですか?
☑だれが聞いても納得できる内容ですか?
☑柔らかい言い方をしていますか?
☑人格否定や能力否定をしていませんか?
☑過去をもちだしていませんか?
☑「なんでできないの」など相手を責めずに伝えていますか?
☑「絶対」「いつも」は使わずに伝えていますか?
☑「ちゃんと」「しっかり」という曖昧な言葉を使わずに言えますか?
チェックリストで「はい」が多くつくなら、あなたは怒り上手です。
「できてないな…」という人でも、今から意識して1つでも多くできるようになるほど、怒りが長引くことは減っていきます。
怒り上手とは、「頼み上手」とイコールです。
自分の思うように、他人に頼めるようになっちゃいましょう。
超・アンガーマネジメントのすすめ
「アンガーマネジメントで、正しく怒る技術を身につけることができた。じゃあもうOK!」となるかというと、実はなかなかそうはなりません。
なぜなら、怒りはなくならないからです。
怒りの感情をもつこと自体は、人間として自然なことです。
また、アンガーマネジメントが完璧にできる人なんて、ほとんどいません。だから、うまくいかなくても落ち込む必要はありません。
アンガーマネジメントができなくても、怒りの感情に振り回されてしまっても、あなたの尊厳は変わりません。
怒りっぽい人が、感情をコントロールするために、座禅や瞑想など、仏教に解決法を求めることがあります。
それは半分正解、半分間違い。
仏教では「感情をコントロールできない」のが人間の実態であり、そのまま幸せになれると言われているからです。
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