【目次】
- 「劣等感の心理学」と呼ばれるアドラー心理学
- 「劣等性」「劣等感」「劣等コンプレックス」どうちがうの?
- 「劣等コンプレックス」は悪い、ということじゃない
- 劣等感はどうすれば克服できる?
- 劣等感の絶望を、希望に変える
はじめに
今回は「劣等感で毎日が苦しい。」というお悩みについてです。
劣等感で悩んでいる声をよく聞きます。そんな悩みに対して、
「他人の評価にふりまわされずに、自分基準で生きよう」なんて言われるけれど、実行しようとしたら、とても難しい。
他人の評価は気になるものだし、心理学的にも、気にしないようにすればするほど、気になってしまうものです。たとえば「焼肉について、考えないでください」と言われたら、もうすでに唾液が出始めていませんか?(カリギュラ効果と言います)
「じゃあ劣等感に苦しんでいる私はどうすればいいの?」って悩みにお答えします。
「劣等感の心理学」と呼ばれるアドラー心理学
「劣等感」について詳しいのは、アドラー心理学です。アドラーは、1930年頃、アメリカにいる講演家の中で最高収入でした。当時からとても人気があったんですね。49歳でウィーンに世界最初の児童相談所を設立、57歳で出版した著書『人間知の心理学』は10万部のベストセラーでした。
アドラー心理学にはいくつかのキーワードがありますが、その中の一つが「劣等感」です。
実は劣等感にも、「いい劣等感」と「悪い劣等感」があります。
一般的には「劣等感」と言っただけで、ネガティブで悪いイメージがありますね。
でもアドラーは、劣等感にポジティブな意味を見出していました。
アドラーの病院には、ピエロたちがよく来ました。病院の近くに遊園地があり、ピエロたちは診察を受けに来ていたのです。
当時、もともと身体障害に悩んでいた人が、ピエロになるケースは多くありました。1400年頃から、「障害は伝染する」などと言われ、宗教者が「障害は罪である」と言ったこともあり、社会に居場所のない障がい者たちは王族・貴族に雇われてピエロになりました。
アドラーのもとにやってきたピエロたちは、劣等感を克服して生きていくために、すさまじい練習をしてきたのだと言います。
そこで「劣等感にも、ポジティブな面がある」とアドラーは気づきます。
アドラー自身の経験もピエロの姿と重なっていたようです。4歳で弟を亡くし、アドラーも身体が弱く5歳のとき肺炎で死にかけました。2歳年上の兄は健康そのもの。幼少期から兄に対して劣等感をもっていたようです。劣等感をバネにして、医師になりました。
結果的に、劣等感がプラスに働いたんですね。
「劣等性」「劣等感」「劣等コンプレックス」どうちがうの?
ここで、アドラーが考えた3つの「劣等」について学びましょう。
劣等感とは異なり、単なる事実です。背が低い、走るのが遅い、容姿など。
それは単なるその人のもった「性質」であり、本来は良いも悪いもありません。
実際に劣っているかは関係がなく、感じている気持ちのことです。
どんなに美人と評価されても、本人が「鼻がちょっと低いから、自分は劣っている」と感じているなら、劣等感で悩んでいることになります。ただ、劣等感は誰にでもある感情です。
劣等感をこじらせ、「劣っていると思われるのがイヤだから家から一歩も出ない」「弱いやつだと言われたくないから暴力をふるう」など、非生産的な行動になることです。
あなたが悩んでいるのは、「劣等性」「劣等感」「劣等コンプレックス」どれでしょうか。
「劣等コンプレックス」は悪い、ということじゃない
ひとつ私からお伝えしておきたいのは、「劣等コンプレックスを抱えていたとしても、それはあなたが悪いわけじゃない」ということ。
悪い劣等感、といっても、あなたが悪いわけじゃない。
いろんな事情があり、どうしてもそうならざるを得なかった。それだけのことだと思います。
つらい中、よくがんばって生きてきましたね。
学校も会社も、競争させてもっと上を目指そうとする社会。成績が劣っていると叱られる。うまく適応できないと冷たい目で見られる。そんなふうに他人から見られたら、劣等感をもつのも当然です。それがひょんなことから、こじれて劣等コンプレックスになることも、十分考えられます。
本来は安心感を育むはずの家庭さえ、劣等感を植え付けてしまいがちです。「社会の荒波でも生きてゆけるように、しっかり適応しなさい」と親自身も言われて育ち、それが良い教育だと思い込んでいるからです。
家庭や学校、社会で傷つき、頑張ろうと思ったけどダメだった。なおさら深く傷ついた。
そんな中、生き抜いてきたあなたを、私は応援したいと思っています。
劣等感はどうすれば克服できる?
劣等感が大きくなりすぎると、「劣等コンプレックス」になります。
あなたが抱えている悩みは、劣等感でしょうか、劣等コンプレックスでしょうか。
明確な判断基準はありませんが、いくつか特徴を挙げておきます。
「劣等コンプレックス」は苦しすぎるので、そのままにしておけません。てっとり早く苦しみから逃れようとして、(1)逃げ出す(2)負の方向への向上心(優越コンプレックス) のどちらかを選ぶようになります。
優越コンプレックスは、劣等コンプレックスの逆のように見えますが、同時に起きるものです。劣等コンプレックスをごまかすために、てっとり早く優越感を得られそうなものに力を注ぐことを「優越コンプレックス」と言います。たとえば
暴力で威圧する
お金がないのに無理して高級なものを買い続ける
うまく盗みを働いて自慢する
など
自分や他人を傷つけたり、生産性のないことにすべての時間を使ってしまったりするのです。
逆に言えば、あなたが感じている劣等感情を「バネにして生かし」「誰かのためになることにつなげる」意識をすれば、劣等コンプレックスからただの劣等感に戻すことができ、その劣等感は有意義で、やがて「これがあったから成長できた」という喜びになるのです。
「バネにして生かすなんてむずかしい」
「誰かの為になんてならないよ…」
と思われるかもしれません。でも、そんなに難しく考える必要はないと思うんです。
私自身、劣等感情が強く、「なんでみんなのように普通にできないんだろう」「どうしてこんなに悩んじゃうんだろう」と感じて生きてきました。それをブログに書いたり、ツイートしたり。最初は自分の気持ちを整理するためでしたが、「同じ悩みをもっている人の励みになればなぁ」「共感してもらえると救われた気持ちになる。ということは、私も誰かの苦しみに共感したら、相手を救うこともできるんじゃないか」と考えるようになり、たくさんの人の声を聴いてきました。
カウンセラーの資格をとり、こうして記事を書くことにもつながっています。「誰かのために」という小さな願いが、結果的に自分の幸せにつながっていくんだと痛感しています。
最初は、ほんの小さな行動でいい。ほんの小さな願いでいい。
それがいずれ大きな幸せにつながっていくのだと思っています。
こんな話があります。
女性の夫は「そんなことがあるはずがない」と怒りました。
「ゴマつぶより小さな種が、やがて大樹になる。私たちの小さな行為も、やがて大きな結果として花開くのですよ」とお釈迦さまは静かにおっしゃいました。
劣等感の絶望を、希望に変える
アドラーは、「心理学の仕事は、絶望を希望に変えること」だと言いました。私もそう思っています。
絶望を希望に変える一番の方法は、人生の目的を知ることです。アドラーは「目的に向かう一貫した動き(行動ライン)」と表現しました。
「人生の目的を知ると、どうなるの?」
私は人生の目的を学んでから、
「これまでの過去は、目的を果たすために必要なものだった!」
「目的を知ったこれからは、自信をもって目的に向かっていける!」
という気持ちになりました。
絶望が希望に変わるには、人生の目的とはどんなものか、教えてくれる人との出会いが不可欠です。15回のメルマガで伝えきれないかもしれませんが、一度読んでいただけたらと思います。
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