ラグビーワールドカップでの日本代表チームの活躍は、日本中を勇気づけました。
強豪国・スコットランドに勝利を収め、史上初のベスト8入りを果たすなど、盛り上がりを見せています。
「ラグビーの 肉搏(う)つひびき 吾が聞きぬ」(山口誓子)
筋肉の鎧をまとった男たちが勝利を求めてぶつかり合い、試合終了後には、人目もはばからず泣きじゃくる。
その姿に、胸を熱くさせられました。
ラグビーに見る国籍を超えた団結力
ふと、「日本代表には、海外出身選手が多いなあ」と感じました。
ラグビーは、他の競技と違って、自分が住んでいる国の代表になれるスポーツ。
日本代表の31人も、16人が外国人選手です。
ラグビーの魅力の一つが「多様性」。
前回のワールドカップで有名になった五郎丸歩選手は、「外国人選手と力を合わせてプレーすることがラグビーの素晴らしさだ」と話しています。
多国籍・多民族的な日本代表の、国籍を超えた団結力は、文化の違いを乗り越えて一つのことを成し遂げる、これからの日本のシンボルとして注目されています。
恩返しの気持ちが団結の源に
ラグビー日本代表について書かれた『国境を越えたスクラム』(山川徹著・中央公論新社)によれば、代表に選ばれた海外出身選手に共通しているのは、「自分をサポートしてくれた人たちのために戦いたい」という強い恩返しの気持ちだといいます。
その一人である日本代表のキャプテン、リーチマイケル選手はニュージーランド出身です。
日本に留学中の高校2年生の時、ニュージーランドの実家が火事に遭い、家族は無事でしたが、自宅は全焼しました。
後に彼は、高校の監督が関係者に呼びかけて義援金を集め、何も言わずに実家に送ってくれていたことを知り、「この恩はラグビーで返すしかない」と、日本代表として戦うことを決めたといいます。
一糸乱れぬスクラムの団結
国籍問わぬ団結は、スクラムに表れています。
それぞれ8人ずつの選手が力を一つに合わせて押し合うスクラムの衝撃は、「時速50キロの車の衝突事故」「体重3~4トンのサイを背負う」と例えられるほどです。
巨漢8人ずつの押し合いは、永らく、小柄な日本代表の弱点でした。
たとえ体格のよい選手が加わっても、スクラムは1人が強くてもダメで、8人が一丸になって押さねばなりません。
そこで、姿勢の乱れを最小限に抑えるため、それぞれの選手の地面につく足の角度や向き、組み合う時の首の角度や肩の合わせ方、さらにはジャージのつかみ方に至るまで、スクラムの動きを細かく分割して、タイミングも合わせる特訓をしました。
当初、「日本人は細かい」など、海外出身の選手から不満の声が上がったそうですが、リーチマイケル選手の「恩返しのために頑張ろう」の呼びかけに応じて、意識を統一し、練習に打ち込むようになりました。
その結果、一糸乱れぬ日本のスクラムが誕生し、スクラムに絶対的な自信を持つチームを相手に真正面から押し勝つまでになり、現在の快進撃につながっているそうです。
様々な困難に遭っても、気持ちを一つにして、ガッチリとスクラムを組むもとには、「恩返ししたい」の強い気持ちがあったのです。
恩とは「原因を知る心」
「恩」という字は「原因を知る心」と書きます。
今の私の幸せがあるのは、どんな人や物のおかげなのか。
ふだんは意識していなくても、私たちは様々なご恩の中に生かされています。
自分を支えてくれている様々な人や物を大事に思い、感謝の気持ちを伝える。
その感謝の心が、大活躍の原動力なのですね。
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