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楽観主義・悲観主義はどちらが理想的?ベストな選択は「柔軟な楽観主義」

こんにちは、ライターのゆうです。

皆さんは、「オプティミスト」という言葉を聞かれたことはあるでしょうか?

オプティミストとは、“楽観主義者”のことです。

「今日、自分にはきっと、いいことが起きる」

「自分が出会う人は、いい人ばかりだ」

「将来に対して大きな不安はない。むしろ希望を抱いている」

という考えを持っている人は、オプティミストといえるでしょう。

このオプティミストと反対の言葉が「ペシミスト」であり、悲観主義者を指します。

「今日はきっと、悪い出来事が起きる」

「私が出会う人は、やっかいな人、イヤな人がやたら多い」

「将来に対して大きな不安を抱えている。気持ちが落ち込みやすい」

と思いがちな人は、悲観的な傾向にあるといえますね。

オプティミストとペシミスト、果たしてどちらの考え方が社会的な成功や健康、幸福感にとってよいのでしょうか?

「それは断然、オプティミストだ」と、スパッと割り切れればわかりやすいのですが、答えはそう簡単ではありませんでした。

多くのメリットがあるのは楽観主義 しかし万能ではない

「オプティミストとペシミスト、どちらがいいのか?」という問いについて、多大な実験結果に基づき明確な答えを出しているのが、ポジティブ心理学の創設者であるマーティン・セリグマン博士です。

著書『オプティミストはなぜ成功するのか』に、その答えが記されています。

タイトルだけを見ると、オプティミストが手放しで称賛され、ペシミストは悪いことしかない、という印象を抱かれるかもしれません。

実際にオプティミストには多くのメリットがあり、それによって仕事やスポーツでも成功し、対人関係も良好になっている研究結果が示されています。

しかしオプティミストの素晴らしい点を称えつつも、それは万能ではないこと、ペシミストにも実は利点があることも述べられているのです(詳細はのちにお話しします)。

そしてそれらを統合した、最も適切と思われる考え方も紹介されています。

「楽観主義か悲観主義かは生まれつきの問題で、本質的に変えることなどできない」と思われる方も多いでしょう。

しかしセリグマン氏は

思考習慣は永続的なものである必要はない。過去20年間における心理学のもっともめざましい発見の一つは、個人は自分の考え方を選べるということだろう。

と、自分の考え方は選び直すことは可能であると言い、最適な思考習慣を身につける方法も紹介しています。

最も適切な思考法と、その身につけ方を知っていただくために、まず押さえておきたいのが、オプティミストとペシミストの違いです。

違いがあいまいでは、そもそも自分はどちらの考え方に近いのかもわからず、対策も立てようがありませんね。

楽観主義者と悲観主義者を分ける明確な基準とは、何なのでしょうか?

セリグマン氏は「“説明スタイル”が異なる」と言っています。

“説明スタイル”から分かる、オプティミスト・ペシミスト

説明スタイルとは、「人々が自分たちに起こった不幸な出来事を、どのように自分に説明するか」というものです。

ここで、質問に答えていただき、あなたの説明スタイルがオプティミストとペシミストのどちらに近いのかを確かめてみてください(質問が3つだけのため、正確性はかなり欠くことになりますが、ある程度の傾向はわかると思います)。

Q1 大事な試験で落第してしまった

A.私はテストを受けたほかの人たちほど頭が良くなかった
B.試験勉強が十分でなかった

Q2 ある人をデートに誘ったが断られてしまう

A.あの日は何もかもうまくいかなかった
B.デートに誘ったとき、気後れしてうまく言えなかったからだ

Q3 友達があなたを傷つけるようなことを言う

A.あの人はいつも他人のことを考えずに思いついたままをしゃべる
B.友達は虫の居所が悪くて、私に当たったのだ

いかがでしたでしょうか?

ペシミスト的なのはいずれもAであり、Bを選んだ方はオプティミスト的といえます。

ではペシミストの説明スタイルにはどのような特徴があるかを見ていきましょう。大きく分けて3つあります。

①内的

起こった悪いことに対し、「それは自分にすべて責任がある」と説明することです。

自分に責任があると認める姿勢はもちろん大事なのですが、過度に責任を背負う、状況や行為ではなく自分そのものを責めるような説明をするのは、ペシミストの特徴です。

Q1でいうと、「大事な試験で落第してしまった」ことを「私はテストを受けたほかの人たちほど頭が良くなかった」というような、自分をおとしめるような説明は、内的な説明ですね。

②普遍的

悪い出来事に対して、「(これに限らず)自分は何をやってもうまくいかない」という説明が、普遍的な説明です。

Q2の、「ある人をデートに誘ったが断られてしまう」ことについて、「あの日は何もかもうまくいかなかった」というように、全部が悪いと説明するのは普遍的な説明といえます。

③永続的

起こった不幸に対して、「悪いことは長く続く」と言うことです。

Q3の、「友達があなたを傷つけるようなことを言う」に対して、「あの人はいつも他人のことを考えずに思いついたままをしゃべる」と、あの人から“いつも”不幸がもたらされる(そういうことはずっと続く)と説明しているのは、永続化にあたりますね。

オプティミストの説明スタイルは、この反対です。

起きた不幸に対して、

「これは自分のせいではなく、そのときの状況とか、不運とか、ほかの人々によるものだ」(=外的⇔内的)

「不幸なのはこの場合だけ」(=限定的⇔普遍的)

「不幸はこの時だけ」(=一時的⇔永続的)

と考えるのです。

先の質問に限らず、自分にとって好ましくない出来事が生じたときに、自分はどのような説明をしているのか、改めて振り返ってみることで、自分の説明スタイルの特徴が見えてくるでしょう。

こんなにもある?ペシミストの抱える4つの問題点

不幸な出来事に対して、内的・普遍的・永続的な説明をするペシミスト。そのペシミストの抱える問題点を、セリグマン氏は4つ挙げられています。

①うつ状態になりやすい

不幸な出来事を、

「それは自分にすべて責任がある」

「自分は何をやってもうまくいかない」

「悪い状況はずっと続いていく」

と説明すると、気持ちが憂うつになってしまいます。

やがて無力感にさいなまれ、現状を打開するような行動も取らなくなってしまうのですね。

セリグマン氏は「数百例の研究結果から、ペシミストのほうがあきらめが早く、うつ状態に陥りやすいことが証明されている」と言っています。

②才能以下の業績しか上げられない

悲観的な見方で、気持ちがネガティブだと、その人の能力や才能も存分に発揮されなくなってしまいます。

セリグマン氏らが、生命保険会社のベテラン外交員200人を対象にしたアンケート調査を行ったところ、楽観度が上位の人たちは下位の人たちよりも、最初の2年間で平均37%も多く契約を獲得していたことが分かりました(さらに離職率も低かったです)。

逆にいえば、悲観度の高い人は契約数が少なく、離職率も高いのですね。

能力の差がなくても、悲観的な説明スタイルは落ち込みやすく、前向きな行動に踏み出すことを妨げてしまうため、それが業績にも響いてしまったのでしょう。

③健康状態(免疫機能)が十分ではない

高い悲観度は免疫機能を低下させることも分かっています。

セリグマン氏の調査で、「60歳のときの健康状態は25歳のときの楽観度に深い関係がある」ことが分かりました。

氏は、「悲観的な男性たちは楽観的な男性たちよりも早い時期に、しかも重い生活習慣病にかかり始め、45歳になったときには健康状態にかなり大きな差ができていた」と言っています。

悲観的な説明は、身体を病気にかかりやすいものにさえ変えてしまうのですね。

④楽しくあるべきはずの人生があまり楽しくない

セリグマン氏は、「オプティミストは敗北してもめげない。これは試練だと考えて、もっと努力するのだ」と言っています。

敗北を敗北としてとらえずに、それは試練や自己成長の場、幸福への通過点と考えれば、その道のりそのものも楽しむことができますね。

しかし「敗北は敗北でしかない、これから負けや不幸が続いていく、その運命は変えることができない」と思えば、その先の人生は楽しくなくなってしまうでしょう。

デメリットばかりではない!ペシミストの意外なメリットと、オプティミストの弱点

このように楽観主義と比較すれば確かにデメリットが多いことは否めないのですが、悲観主義はダメなところばかりではありません。

セリグマン氏は「うつ状態の人々は常に自分の力を正確に判断していた」と語っているように、ペシミストは現状を正しく認識し、危機管理に長けています。

また、自分を責めすぎる傾向にはあるものの、それは責任感が非常に強いともいえますね。

反対に、「明るく、健康に、多くのことを達成できるオプティミストも、現実を都合よく解釈し、責任感が弱いという弱点を持っていた」とセリグマン氏は指摘しています。

オプティミストは現状認識が甘く、大きなリスクにさらされることもあります。また、外的な説明スタイルは無責任とも取られ、他者に責任をなすりつけているとも思われかねないのですね。

オプティミストも決して万能であるとはいえないでしょう。

ゆえにセリグマン氏は、「人生をうまく生きるためには、時には悲観主義が必要かもしれない」と、場合に応じて悲観主義も用いる“柔軟な楽観主義”の有用性を語っています。

世界三大心理療法家の一人であるアルバート・エリス氏も、

肯定的あるいは楽観的な思考(全体の約65%)のみならず、否定的あるいは悲観的な思考(全体の残り約35%)を併せもっている人が、比較的バランスのとれた平静な生活を送ることができる。

と言っています。

楽観的な思考をベースに、悲観的な考えも併せもつことが心穏やな生活につながるのですね。

思い込みに“反論”を!柔軟な楽観主義を身につける方法

では日常に支障をきたすほどの過剰なネガティブ感情をなくし、感情のバランスを保ち、柔軟な楽観主義者になるにはどうすればいいのでしょうか?

それは、起きた出来事に対する説明スタイルを、悲観的なものから楽観的なものに変えればいいのです。

どうすれば変えられるかというと、一度行った悲観的な説明に“反論”することで、考えを改めることができます。

先に紹介したアルバート・エリス氏が「論理療法」として、この方法を生み出しました。

例① 内的な説明スタイルへの反論

たとえば、 テストの1問目「大事な試験で落第してしまった」という出来事に「私はテストを受けたほかの人たちほど頭が良くなかった」という内的な説明をすると、「私は頭が良くないのだから、勉強してもムダだ」という気持ちになり、勉強に消極的になってしまいます。

そこで、内的な説明に反論します。

「試験で落ちたからといって、それは私がほかの人より頭が良くないという証拠にはならない。そもそも勉強時間が十分に取れなかったからだ」と反論すれば、「試験に落ちたのは残念だが、もっと効率的よく勉強ができるようにすればいい」と、気持ちも前向きになると思います。

例② 永続的な説明スタイルへの反論

テストの3問目でいえば、「友達があなたを傷つけるようなことを言う」という出来事に対して、「あの人はいつも他人のことを考えずに思いついたままをしゃべる」と永続的な説明すると、「あの人は最低な人だ。あの人にはもう会いたくない」という憂うつな気持ちなって、その人を避けるようになるでしょう。

そこで永続的な説明を、一時的な説明に置き換えてみます。

「友達は虫の居所が悪くて、私に当たったのだ。いつもこんなことを言うとは限らない」と反論すれば、傷つけるようなことを言われたのはとても悲しいですが、ずっと避け続けるようなことはしないはずです。

反論に慣れないうちは、書いてみることをおすすめします。

まず、自らの解釈を除いた「状況」を書き、それを自分自身にどのように説明をしたかを記し、その後にどんな感情が生まれ、どんな行動を取ったかを書きます。

自分の行った説明を見直してみて、もし自責化や永続化の傾向が見られたら、反論を加えましょう。

「自分がダメな人間だとは言い切れない。うまくいったこともある」

「ずっと悪いとは限らない。過去にこれよりもっと悪い状況があったが続かなかった」

「危機感を覚えたことでさらなる悪化を食い止めることができた」

などの反論を書くことで、不健全な感情を抑え、自滅的な行為を防げるでしょう。

仏教は楽観的?悲観的? キーワードは「諦観」

楽観主義のほうがメリットが多くあるものの、万能ではありません。

悲観主義はリスクを正しく認識できるという利点はありますが、過剰になると抑うつな気持ちに傾いてしまいます。

ゆえにバランスを保った、柔軟な楽観主義が適切な生き方につながることをお話ししてきました。

では仏教は悲観的なのでしょうか?それとも楽観的なのでしょうか?

結論からいうと、仏教はそのどちらでもありません。

仏教では「諦観(たいかん)」が勧められています。これは「あきらかにみる」と読みます。

今日使われている「あきらめる」の語源となった言葉なのですが、もともとの意味はまるで違います。「真理をあきらかにみよ」ということです。

真理とは「因果応報」のことで、「自分に起きた結果の原因は、自分自身の行為にある」ということです。

この因果応報の真理をあきらかにみれば、悪い出来事が起きたとき、それは他者のせいだと思って責任転嫁をする、ということはなくなります。

また、自分の行為に原因があるといっても、自分という存在そのものが悪いわけではありません。あくまで一部の誤った行為です。それを改めればいいのですね。

また、どうしても変えられない原因もあるでしょう。

たとえば、平均身長より低い自分が、「背の高い人が好き」という女性の気持ちに応えることはできません。そんな変えられないことに悩んでいても苦しいだけですね。

変えられるところは改善することに力を入れる、変えられないものは変えられないと受け止める。これが諦観です。

こう考えれば、憂うつな気持ちになることもなく、希望を持てるようになるでしょう。

悲観的な説明スタイルへの反論、また仏教の「諦観」の考え方を日常に取り入れて、過剰なネガティブ感情は排除し、より幸福な生活の実現へとつながれば幸いです。

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この記事を書いた人

ライター:ゆ う



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