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自己批判の苦しみを和らげる「セルフ・コンパッション」確かな効果と実践方法

こんにちは、ライターのゆうです。

「自分なんてダメだ」
「認められるはずがない、愛されるはずがない」
「これでは許されない。もっとがんばれ」

と、自分のことを責めてしまう、自己批判で苦しまれることはないでしょうか。

自分にむち打つことも時には必要ですが、それをやり過ぎたり、本当は自分の責任ではないことまで自分のせいだと思い込んだりすると、深刻な苦しみともなります。

すると、そんな自分をまた責めてしまったり、周りの人たちを批判してしまったりし、悪循環に陥ってしまいますね。

そのような悪循環に入ることを防ぎ、自己批判の苦しみを和らげるためにぜひ知っていただきたいのが「セルフ・コンパッション(自分への思いやり)」です。

元は仏教からヒントを得た概念で、脳科学的にもその効果が実証され、人生の苦しみや悩み、悲しみを軽減し、喜びを味わえるものとして注目をされています。

そのセルフ・コンパッションについて、仏教の観点もまじえながらご紹介します。

セルフ・コンパッションで完全に人生が変わった

セルフ・コンパッションの専門家の一人が、セラピスト(心理療法家)のティム・ディスモンド氏です。

ディスモンド氏の著書『The Self-Compassion Skills Workbook』は、日本語にも翻訳されていて(『セルフ・コンパッションのやさしい実践ワークブック』星和書店)、

・セルフ・コンパッションとはそもそもどんなものなのか
・その素晴らしい効果
・他の概念との明確な違い
・具体的な実践の仕方

など、分かりやすく教えられています(本記事の内容は、上記の著書を参考にしています)。

ディスモンド氏がセルフ・コンパッションを知ったのは、大学に通い始めてからでした。

ディスモンド氏の家庭はシングルマザーで、しかもお母さんはアルコール依存症で苦しんでいたため、非常に貧しい子供時代を過ごすことになりました。

大学に通うまでは、自らの人生に対してやり場のない怒りや悲しみを抱き、それが自己破壊へとつながってしまっていたのです。

しかしセルフ・コンパッションの概念を知り、それを実践したところ、人生の苦しみが和らいで気持ちがどんどん穏やかになっていきました。

セルフ・コンパッションと出会って、私の人生は完全に変わりました

と言うほど、確かで高い効果を実感したのです。

生きる喜びを与えてくれたセルフ・コンパッションを、ほかの人にも伝えたいという思いから今の道に進み、現役のセラピストとして活躍しています。

大切な友人と同じように、自分へも思いやりを持つこと

そのセルフ・コンパッションは、「自分への思いやり」「自分に対しての慈悲」と訳されています。

大切な友人に対して持つような思いやりを、自分自身に対しても持つことです。

例えば、親友が仕事で失敗し、深刻そうな表情をしていたとすると、あなたはどんな言葉をかけるでしょうか?

「そんな失敗をするなんて情けない」

「なんてあなたはダメな人なんだ」

というようなことは、決して言わないはずです。

「失敗したのは残念だったけれど、失敗は誰にでもあること。あなたが特別にダメな人間だからではないよ」

と励ましの言葉をかけると思います。

そのような親友への思いやりを“自分”に対しても持ち、優しい言葉をかける、前向きな語りかけをすることがセルフ・コンパッションなのです。

仏教で説かれる「慈悲」と、セルフ・コンパッション

このセルフ・コンパッションは「自分に対しての慈悲」ともいわれています。

「慈悲」というのは、元は仏教から出た言葉です。

仏教で説かれる慈悲をヒントに得た考えが、セルフ・コンパッションなのです。

慈悲は、「慈」と「悲」の心に分けて教えられています。

■慈の心とは「抜苦(ばっく)」の心、苦悩している人の苦しみを抜いてあげたいという心のことです。

■悲の心とは「与楽(よらく)」の心、楽しみや喜びを与えて幸せになってもらいたいという心のことです。

つまり慈悲とは「抜苦与楽」の心、苦しみを抜いて幸せにしたい、という心です。

苦しんでいる人を見ると放っておけない、見捨てておけないと思い、その人の悩みや悲しみの解決をして、幸福に寄与する人は慈悲深い人といわれますね。

そのような慈悲を、自分にもかけるのがセルフ・コンパッションです。

どんなときでも効果があるセルフ・コンパッション

セルフ・コンパッションを身につけることで悲しみや寂しさを二度と感じなくなるわけではありません。

人間である以上、不安や欲求不満は湧きます。

しかし苦しい中でも自分を上手に使えるようになり、不安や恐れに押しつぶされないようになるのです。

セルフ・コンパッションはつらいときだけでなく、順調なときにも効果があります。

人生が順調なときに実践すれば、「自分なんて幸せになってはいけないんだ」という罪悪感を持たずに、最大限喜びを味わうことができます。

人生のつらさを感じているときは、自己批判や他者からの批判、世の中への不満などの苦しさを和らげて、心のバランスを取り戻すことができるのです。

人生が順調なときも、つらいときも、どんなときでもおすすめなのがセルフ・コンパッションなのです。

セルフ・コンパッションは例えるなら、「愛情深く支えてくれる友人が、いつもそばに一緒にいてくれる感じ」です。

親友が一緒にいれば、自分が喜んでいるときはともに喜んでくれて、喜びも倍増しますね。

反対に、落ち込んでいるときは自分に優しく語りかけてくれ、悲しみは半減します。

そんな親友がいつも一緒にいてくれるのは難しいですが、自分が常に自分自身の味方になることはできますね。

セルフ・コンパッションと自尊心との違いとは?実は似て非なるもの

実践に入る前に、セルフ・コンパッションのより正しい理解のため、混同しやすい概念との違いを知っていただきたいと思います。

混同しやすいのが「自尊心」です。

自尊心は、自分自身をプラスに評価している心の状態のことです。

自尊心が低いことも問題ですが、実は高いことも問題につながる可能性があります。

それは、自尊心が高く、自分を好ましいと信じている人の多くが、自分はほかの人よりも優れていると信じていることが、研究によって明らかになっているからです。

自尊心にも、自信が溢れ難しいことにも挑戦できるようになる、というプラスの面はあります。

しかし自尊心が高まるほど、

・他者批判をしやすくなる
・否定的なフィードバックは受けつけない
・傲慢になりやすく、自己改善ができない

という、人間関係に悪影響を及ぼす問題も浮き出てくるのです。

ところがセルフ・コンパッションは、

・周りよりも優れているか、劣っているかを考えない
・自己への思いやりを育むほど、他者への思いやりも増す
・失敗したときに自己を責めることはないが、自己の改善も怠ることはない

という特長があり、自尊心のプラスの面は含まれるが、マイナスの面は含まれないのです。

先延ばしにも効果あり?

また、メンタリストで有名はDaiGoさんは、やるべきことを先延ばしにする人は「自分を許せない人(完璧主義者)」であり、先延ばしを減らす方法としてセルフ・コンパッショントレーニングを勧めています。

(参考『やるべきことを先延ばしする一番の理由とは』)

完璧さを求めるゆえに先延ばしをしてしまい、それを責めることで抑うつな気持ちになり、先延ばしを繰り返してしまいます。

だから先延ばしから脱出するには、自分を許すこと。

自分を許し、現状を正しく認識する。

そして先延ばしの失敗から学んで自己改善に取り組む。

そうすることでストレスも軽減でき、先延ばしを減らすことも可能になるのです。

セルフ・コンパッションの実践方法

ここから、セルフ・コンパッションの実践方法についてです。

イメージするものと、書くことによる方法とに分けてご紹介します。取り組みやすいほうを試してみてください。

ボディスキャン

ディスモンド氏は、どんな場合も、まずこの実践からスタートすることを勧めています。

ボディスキャンとは、自分の気持ちの評価をすることです。自分の今の気持ちを明瞭にすることで、その後のトレーニングも実践しやすくなります。

次の順で行います。

1-1 マインドフルな呼吸

・3回~10回ほど呼吸をします。

・呼吸をしながら、空気が流れ込んできて、流れ出ていくその身体感覚に注意を向けます。

・ただ注意を向けながら、自然に、心地よいままにする。

・心を「今、この瞬間」に置きます。

1-2 身体のマインドフルネス

・呼吸への気づきを次第に身体全体にまで広げていきます。

・1呼吸ごとに、身体に湧いてくる感覚や過ぎ去っていく感覚すべてに注意を向けます。

・緊張している感じ、リラックスしている感じはありますか?

・重い感じや軽い感じはいかがですか?

・気づくことのできた身体の感覚すべてを書き出しましょう。

書くことによるセルフ・コンパッション

イメージより書くことが好きな方におすすめしたいのが「ジャーナリング」です。

ジャーナリングとは、自分に宛てて文章を書くことをいいます。

参加者に失敗や屈辱的な出来事を思い出してもらい、同じ失敗をした友人をなぐさめるつもりで自分宛てに手紙を書いてもらったところ、幸福度が高まり、怒りの度合いが下がったということが、実験で明らかになっています。

書くことを通して客観的になり、自分を責めるのを防ぐことにつながり、コンパッションも送りやすくなるのですね。

セルフ・コンパッションの大前提「人間誰もが本質的に価値ある存在」

ディスモンド氏は、セルフ・コンパッションを実践するときの前提として、「人間とて生まれてきたというだけで誰もが本質的に価値ある存在だ」という認識を持つべき、とも言われています。

いくら自分へ思いやりを持とうと思ってトレーニングを行っても、根本の部分で「人間そのものが価値ある存在だ」という認識がなく、「本質的には価値がない」と思ってしまっていては、不統合さに悩むことになってしまいます。

人間そのものを価値ある存在と思えてこそ、自分を相手も大切にすることができるのですね。

仏教を説かれたお釈迦様は、

人身(じんしん)受け難し、今已に受く

「人間に生まれることは大変に難しい。その人間に生まれることができてよかった」と、生命の大歓喜があることをおっしゃっています。

人間一人ひとりに、果たすべき大事な使命がある。だから、その使命を果たすための命、人間存在そのものが大変な価値がある、とお釈迦様は教えられているのです。

セルフ・コンパッションの効果を最大限に高めるためにも、仏教で説かれる人間の価値、使命についてもぜひ知っていただければと思います。

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この記事を書いた人

ライター:ゆ う



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