みなさんは、「最も不幸せな国」と聞くと、どのような国を想像されるでしょうか?
文明が未発達の、非常に不便なところが真っ先に思い浮かぶかもしれません。
しかし「幸福度」の見地から精査された結果は、そうではありませんでした。
『残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する』(エリック・バーカー著、飛鳥新社)で紹介されている、「世界一不幸せな国」に住んでいる人々の特徴から、成功と幸福の鍵をお話しします。
最も不幸な国-不名誉な地位を得た理由とは?
『残酷すぎる成功法則』というタイトルからは、仰々しさ、胡散臭ささえ感じてしまいましたが、読んでみると、この本には、一般に信じられている成功のルールの真偽が数多くの専門家の見解や研究実験から明らかにされていて、とても納得できる内容でした。
数々の興味深い話の中で、特に目を引いたのが、「最も不幸せな国」についての話です。
「世界幸福データベース」を主宰しているオランダの社会学者、ルート・フェーンホーヴェン氏は、「最も幸せからほど遠い国は“モルドバ”だった」と言っています。
モルドバは、もともとソ連に属していた国で、ルーマニアとウクライナの間にあります。
なぜこの国は、最も不幸な国という不名誉な地位を得てしまったのでしょうか?
その理由がこう示されています。
モルドバ人の生活のほぼすべての面で信頼が欠如している。
作家のエリック・ワイナーによると、あまりに多くの学生が教師に賄賂を渡して試験に合格するので、国民は、35歳以下の医者にはかかろうとしない。医師免許も金で買っていると考えられるからだ。
ワイナーは、モルドバ人の意識を一言で表した――「私の知ったことではない」。
モルドバでは信頼感・協調心が欠如し、誰も、他の人の利益になるようなことをしようとしない、というのです。
普通、社会や組織は、利己主義に過ぎる人がいたとしても、「みんなのために」と頑張る人もまたいるおかげでバランスが成り立っています。
しかし、みんなが利己的であったら、どうなるのでしょうか?
利己主義の蔓延が、組織・個人の成功を破壊する
先ほど書いたモルドバ人の信頼感の欠如の例は、全員が一斉にそうなったのではなく、一人一人の身勝手さが次々と伝わっていった結果だと思われます。
このような事態は、私たちが所属している組織、コミュニティでは、より起こり得ます。
調査によれば、多くの会社や組織が、利己的な職員のために業績を落としているそうです。
また、別の調査では、仕事のチームに悪い従業員がたった一人いるだけで、チーム全体の業績が30~40%低下することが明らかにされています。
たった一人の利己的な行為が、周囲にもまたたく間に伝染し、全体としての損失を招きます。結果的に、個人も成功から遠ざかることになるのですね。
ミシガン大学のロバート・アクセルロッド教授が
しかし長い目でみれば、彼らが成功するために必要とする環境そのものを破壊しかねないのだ。
と語っているように、ルールを破る行為、いわゆる“ズル”をすれば、最初は成功したように見えても、やがては最も大切な信頼を失い、行き詰まってしまうのです。
「正直者は馬鹿を見る」「屏風と商売は曲がらにゃ立たぬ」といわれるように、ずる賢く振る舞うことで成功は得られるのではないか、と考える方もいるでしょう。
確かに、嫌なヤツのほうが、上司からの勤務評価が高い、年収が多い、リーダーになる可能性が高い、など、ズルをしたほうが得だと思える例もあります。
しかし、それらはあくまで“短期的”なものであり、その成功は長くは続かないのですね。
ゆえに、『残酷すぎる成功法則』の著者 エリック・バーカー氏は、
と結論づけています。
周りの人たちの幸せのために努める「利他主義」と周囲への「信頼関係」が、成功と幸福の鍵といえるのですね。
因果応報の法則にまかせ、見返りを求めずに与える
エリック・バーカー氏は「ネットワーキング」に関する章の中でも、見返りを求めずに人を助けて、信頼関係を築くことを勧めています。
そのときには、
という心がけを教えています。
カルマというのは仏教から出た言葉であり、「行為」を意味します。
私たちは自分の行為によって、やがて必ずその性質に応じた報いを受ける、と仏教では説かれています。それが「因果応報」ということです。
善い行いをすれば、それに応じて信頼関係が築かれて成功へとつながりますし、悪い行いである出し抜き、ズルをすれば、不信を買って関係が悪くなり、成功が破壊されてしまうのですね。
善い行いの中でも、仏教で筆頭に挙げられるのが「布施」です。
布施は「施す、与える」ということで、今日でいう親切に当たります。
相手の困っていること、自分が力になれることは何かを知り、相手を助け、その幸せに貢献する。そうすれば結果的に相手と強固な協力関係が結ばれるのですね。
布施をするときの、ぜひ心がけたい点が、エリック・バーカー氏も語るように「見返りを求めないこと」、そして「まず自分から信頼を寄せる、施しをすること」です。
小さなことであってもその行いは必ず芽を出し、善い行いの重なりによってやがては大きな花を開かせることになります(逆もまた然り、ズルを重ねればやがては逆襲を受けてしまいます)。
「最も不幸な国」の話を教訓にして、利他を心がけていきたいですね。
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