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【書評】『遺伝子――親密なる人類史』と生きる意味

こんにちは、齋藤勇磨です。

最近、『遺伝子――親密なる人類史』(早川書房)という本を読みました。

この本は、ビル・ゲイツが2016年に読んだお気に入りの本5冊のうちの1冊として挙げているもので、今年2月に邦訳版が発刊されました。

著者のシッダールタ・ムカジーは、コロンビア大学に籍を置く腫瘍内科医である一方で、サイエンス・ノンフィクションの書き手としても名高い人物です。デビュー作の『がん-4000年の歴史-』ではピュリッツアー賞を受賞するなど、ストーリーテラーとしての才能も十二分に発揮しています。

そのムカジーは、この本について、「科学の歴史上、最も強力かつ“危険”な概念のひとつである『遺伝子』の誕生と、成長と、未来についての物語」と紹介しています。

上下2巻、興味深い内容が満載でした。中でも、生きる意味について考えさせられた箇所を紹介したいと思います。

遺伝子技術という強力な道具

遺伝子をめぐる物語は、有名なメンデルのえんどう豆の実験から始まります。1857年から1864年にかけて、2万8千の苗木、4万の花、40万近くにものぼる種子を使った実験結果からわかったことは、遺伝というのは、親から子へと受け渡される「個別の情報の粒子」がないと説明できないということでした。

メンデルの大発見は、やがてダーウィンの進化論と出会い、短い期間に強力な道具へと変貌を遂げていきます。

いまではヒトのゲノム(全遺伝情報)の解析をもとに、ゲノム自体を改変する「ゲノム編集」を行うことすら可能となりました。メンデルの発見から、わずか150年の間に、人類は、かつては想像もできなかったような「技術」を手に入れたのです。

現在では、遺伝子を操作する技術によって、インスリンや成長ホルモンなどの医薬品が大量に生産できるようになり、そのおかげで多くの人が命を救われています。

遺伝学の「光」と「闇」

しかし、遺伝学の進歩は、命の意味とは何か、という深刻な問いも突きつけました。

その代表例が、精神疾患や障害と遺伝学が交差する地点で生まれた「優生学」です。

本書には、優生学の信奉者たちが手を染めた目を覆いたくなるような行為もしっかりと描かれています。

悲しいことに、能力的に劣っていると恣意的に判断を下された人々が、強制的に子どもを作れない体にさせられたり、命を奪われたりしました。そのもっともおぞましい例がナチスです。

1933年、ドイツ首相に就任したアドルフ・ヒトラーは、「欠陥のある遺伝子が国をゆっくりと汚染し、強く健康な国の復活を妨害している」と考えました。ナチスが権力を握ると、ヒトラーはすぐに行動を起こし、やがて、障害者の安楽死プログラムや、ホロコーストへと行き着きました。

600万人のユダヤ人をはじめとする多くの人々が、収容所やガス室で虐殺されましたが、このときナチスは、大量虐殺というみずからの政策を正当化・維持するために、遺伝学用語を駆使していたのです。

ナチスは犠牲者たちを「生きるに値しない命」と婉曲的に呼んでいたといいます。

遺伝子と科学の進歩と生きる意味

生きるに値しない命など、あるはずがありません。

科学は人間生活を幸せにする材料を提供しますが、それを活かすも殺すも、私たちの腕次第です。同じ水でも、牛が飲めば乳としますし、蛇が飲めば毒となります。菓子屋の店頭で見つけた水飴を、盗跖という大泥棒は、強盗に入るとき、戸口に流し込めば音を防ぐ材料になると思って求め、その弟の柳下恵は、歯のない老母のために買って孝行したという話もあります。

長足の進歩をとげた遺伝子に関する科学分野は、史上、もっとも強い力を持った手段でしたが、かつてない大量殺戮にも使われました。
科学という道具を何に使うかが、大切なのです。

「科学を何に使うか、その目的を教えるのが宗教の役目だ」とアインシュタインは訴えたといいます。『私の世界観』という本には、「人生の意義に答えるのが宗教だ」とも書いています。

21世紀が「宗教の時代」といわれるのは、もっとも大事な生きる意味を、はっきり指し示す「真の宗教」が、希求されているからでしょう。

アインシュタインは、「現代科学に欠けているものを埋め合わせてくれる宗教があるとすれば、それは仏教です」とも言っていました。

釈迦の説かれた仏教の素晴らしさに、多くの科学者、哲学者、歴史家、作家などが賛辞を寄せています。幾つかを紹介しましょう。

ショーペンハウアー(ドイツの哲学者)
私は他のすべてのものより仏教に卓越性を認めざるをえない。

アーノルド・トインビー(イギリスの歴史家)
仏教と西洋の出会いは、20世紀のもっとも有意義な出来事である。

ニーチェ(ドイツの哲学者)
仏教は、歴史的に見て、ただ一つのきちんと論理的にものを考える宗教と言っていいでしょう。

カール・グスタフ・ユング(スイスの心理学者)
仏教はこれまで世界の見た最も完璧な宗教であると確信する。

お釈迦様について知りたい方は、こちらの関連記事をお読みください。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨



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