老い

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健康寿命が長いのはどんな人? 健康長寿のお手本に学ぶQOLのヒント

こんにちは、コーヒーおじさんです。
長寿大国ニッポンといわれますが、最近は「寿命」(生きられる長さ)と別に「健康寿命」という言葉をよく聞くようになりました。ただ生きるのでなく、人生の質(QOL)を大切にしたい、と多くの人が思い始めたからでしょう。
どうすれば人生の質(QOL)を高めることができるのか。その秘訣を探ってみました。

(※QOL :クオリティ・オブ・ライフ=人生の質のこと)

みんな行く道? トリセツ寿命、焼き肉寿命、恋愛寿命

日本人の平均寿命は、女性が86.99歳、男性が80.75歳(平成27年 厚生労働省「完全生命表」)。しかし自立して日常生活を送れる「健康寿命」となると、平均寿命より10年短いといわれます。

年齢が上がるにつれ、体の衰えだけでなく、さまざまなことができなくなる、あるいは面倒になってきます。

博報堂・生活総合研究所が提言する「生活寿命」は、そんな生活行動上の寿命をリストアップしたもの。切実すぎて笑うに笑えないその内容を、いくつかピックアップしてみると…

41才5ヵ月 海水浴寿命
海水浴に行こうと思わなくなる
44才8ヵ月 トリセツ寿命
取り扱い説明書を読みたくなくなる
51才4ヵ月 焼き肉寿命
焼き肉がヘビーに感じて食べたいと思わなくなる
58才8ヵ月 組み立て寿命
組み立て式の家具を自分で組み立てる気がしなくなる
59才1ヵ月 恋愛寿命
他人に対して、恋愛感情を持てなくなる
63才8ヵ月 経済紙寿命
経済に関する新聞・雑誌を読もうとは思わなくなる

(出典:発想ペーパー【生活者】第10号 博報堂生活総合研究所)

いかがでしょうか。

知り合いに尋ねたところ「まだまだ行ける」という人、「確かにそうかも」と納得する人、いろいろでしたが、昔から
「子供叱るな来た道じゃ 年寄り笑うな行く道じゃ」
と言われます。

生きていけば必ずぶつかるのが「老い」の問題。どうすれば、老いてなお充実した人生を送ることができるのでしょうか。

92歳で、なぜそんなにお元気なんですか!


先日、そのヒントを与えてくださる方にお話を伺う機会がありました。石川県で浄土真宗の教えを聞き求める女性Yさんです。

「若い頃は体が弱くてね、40代を越せないと思っていた」と言うYさんは、昨年12月に92回目の誕生日を迎えられ、今も元気に出歩く日々といいます。

9歳で母と死別したYさんは、子供の頃、学校まで1時間も歩いて通わなければならず、校舎の前に住む友達と比べ不平等な運命を呪っていました。体が弱く母親のいない自分と、健康で両親も健在の友達。不運の理由が分からず、体より心がつらかったといいます。
そんなYさんに、よく寺参りしていた父は「わが身に起こることは、みな自分がまいたタネ」と教えてくれました。

やがて農家に嫁ぎ、2人の子供を育てながらの重労働は、心身ともに苦しいものでした。十分に働けない身を責め、子供と一緒に死ねたら……と思うこともありました。しかし、「逃げず恨まず、自分のまいたタネと思って拾うてゆけ(刈り取りなさい)」という父の言葉に支えられ、頂いた命を精一杯生きようと思い直したのです。
40代半ば、Yさんは自らも浄土真宗の教えを聞くようになりました。するとそこには「なぜ生きるか」という「人生の目的」が説かれていました。

「この目的、達成するまでは死ねない」

Yさんに強い思いが芽生えました。仏教を聞くほどに命の大事さが知らされ、体に無理がかからぬよう注意を払い、好き嫌いなく食べるように努めるようになりました。また姑が病に倒れた時も、高い薬を使ってでも治してほしいと医師にすがったこともありました。
そんなYさんと家族は、あたたかい絆で結ばれ、ちょうど農業の機械化で力仕事からも解放されて、Yさんは心身が生き返ったようになったのです。

「人生の目的に向かえば道が開かれる」と喜びと感謝あふれるYさん。「お金も、体力も、人生の目的のために使わなければもったいない」と、力強く語ってくださいました。

ターミナルケアの専門医も絶賛「健康長寿のお手本」


このYさんの話を、知人のターミナルケアの専門医に紹介したところ、「まさに健康長寿のお手本のようです」と絶賛されました。

若い頃、体が弱かったYさんですが、長距離通学や農作業で足腰の鍛錬をされ、さらに仏教を聞いて生きる目的がハッキリし、体調や食事に注意を払うようになりました。家族思いの言動によって家族からも応援され、心身ともに健やかに。目的がハッキリしているから、つらくても頑張らなければ、と常に力が湧いてきます。

その医師によると、ガンの患者さんは、大きく3とおりに分かれるそうです。

  1. 強い意志をもって、積極的に治療に取り組む人。
  2. 自分でできることはないと、あまり考えようとせず、淡々と生きる人。
  3. 希望を無くし、投げやりになる人。

そして長生きされるのは1の方が多く、3の人が短命の傾向が強くなるといいます。目的の有無で大きな差が表れるということです。

例えば、子供の成人式や結婚式の晴れ姿を見るまでは死ねないなどの目標や生きがいがあると、体にとてもよい影響を及ぼすことが分かっているとか。仏教には、生きる目的が教えられていますから、さらによい結果となるのでしょう。

しかもYさんは、友人にも仏教を聞いてもらいたくて、車で一緒に出かけるために、何と60歳を過ぎてから運転免許を取得されたそうです。

他人を喜ばせ、幸せにする活動は、旅行や美食で自分が満足するよりも、各段に喜びや充実感が大きく、健康によいことも科学的に分かっています。まさに、健康長寿の秘訣をすべて知らず知らず実行されていたYさんでした。

人生の目的を持つ人は、寿命や健康寿命が長い傾向がある

「人生の目的を果たすまでは死ねない」。これが、92歳を超えられてもお元気なYさんの、いちばんの秘密でしたが、最近、米国と日本で行われた調査でも、人生で目的意識や生きがいをもつ人は、寿命と健康寿命が長い傾向があることが明らかになったそうです。

その調査によると、人生で高い目的意識をもっている人は、そうでない人に比べ死亡率が17%減少し、心血管の不具合も17%減少することが明らかになりました。
「高齢者にとってメンタルヘルスは重要です。今回の研究では、”人生に目的をもっている”といった心理的要因が、高齢者の脳の健康に大きな影響力をもつことが確かめられました」と研究者は述べています。
『目的の力』(ヴィクター・J ストレッチャー著)という本には、他にも様々な研究で、人生の目的がよい効果をもたらすと書かれています。その内容をピックアップしてみると……

・心臓発作を起こすリスクが27パーセント下がる

・脳卒中のリスクが22パーセント下がる

・人生の目的がある人は、心理的、社交的な面でうまくやれている

・うつになることも少ない

・よりリラックスできている

・生きる目的は、ウイルスやがん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の増加と関係がある

(『目的の力 幸せに死ぬための「生き甲斐」の科学』ヴィクター・J ストレッチャー(著),松本剛史(翻訳))

など。
心が前向きになれば、身体にもよい影響を与えることは疑う余地がありませんね。人生の質(QOL)を高めるベストな方法は、人生の目的を持つことと深く納得させられました。

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