人間関係

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親子関係が最悪で苦しいなら|機能不全家族の生き方を改善してラクになろう

まえがき

こんにちは、心理カウンセラーの月見草です。

「親に本音を言えない…」という悩みの相談を受けることがあります。若い人に多い悩みですが、50代60代になっても、親子関係で悩んでいる方がいます。さらには、親が亡くなってさえも「親に本音を言えなかった」「親に認めてもらった経験が少ないから、今が苦しい」と生きづらさをずっと抱えている方もいます。

「三つ子の魂百まで」と言われるように、幼いころに感じた、不安、悲しみ、怒りを解消しきれずに苦しんでいませんか。

まず最初に伝えたい。あなたはちっとも悪くない。
そして、今の苦しみは解決できます。何歳であっても。

【目次】

  1. 家族なのに、安心感が得られない ~機能不全家族~
  2. 機能不全家族に育つと苦しみの人生に染まる理由 ~人生脚本~
  3. 機能不全家族に育つと無意識にあなたを突き動かすもの ~人生脚本の例~
  4. 機能不全家族に育ちながら、生きづらさを手放した5つの実践例
  5. 機能不全家族に育った人が、これから必ず幸せになれる理由

家族なのに、安心感が得られない ~機能不全家族~

参考までに、私の話をしましょう。

母親は「つねに自分のことで頭が一杯」なタイプでした。幼稚園児の頃にはすでに、母親の話を聞くのが私の役割。たまに私の話を聞いてくれるかと思いきや、だんだん母親の話にすり替わってしまいます。悪意はなく、ただ母親の「スキルの問題」だとうすうす感じていたので、「私が我慢する」のが常態化していました。

勇気を出して私の言い分を伝えても、母の態度はそう簡単には変わらないですし、母を変えようとするとケンカになってしまいます。そして最後に譲るのは必ず私です。どうせ負けると分かっているから、もう自己主張する気力もなくなってしまいますよね。心理学の言葉でいう「学習性無気力」でした。

あなたの親が、しっかりタイプの母親であっても、病気がちの母親であっても、わがままな母親であっても、その結果、あなたが自己主張を引っ込めてしまわざるを得ない状況が続き、ずっと親に本音を言えないなら、「学習性無気力」になっても当然です。

また、私の父親は筋金入りの仕事人間で、私が小学生の頃にはすでに上司と部下のようなやりとりでした。父は「どう思う」「どう感じる」といった「気持ち」には全く興味がなさそうで、私が感じることを言ったところで「結局どうするんだ?」と答えを求められるか、「泣き言いうんじゃない」と感情を否定されていました。ひどいときは「そんなことくらいで悩むようじゃ、社会では役に立たない」と説教されるので、ある時から私は相談するのを諦めました。親に本音を言えない日々が何年も続きました。

あなたの親が、とくに何不自由なく生活させてくれても、あなたの感情を聞くことが少なかったのなら、大人になってから「自分はなにを求めているのか」わからないのも当たり前です。本来いちばん本音を言えるはずの親に、本音を言えないのですから。

私が一時期おちいったように、「どうせ言っても無駄だ…」と、自分らしさが知らないうちに少しずつ消えていって、いつの間にか、相手にコントロールをゆだねるようになった状態。あなたの感情にスポットが当たらない日々。こんな状態が続いたら、生きづらい人生になります。

「親に本音を言えない」「子供が親に気をつかう」家族のことを、機能不全家族と言います。家族なのに、安心感が得られない。それって、家族のいちばん大事な機能がおかしくなっていますよね。家庭って本当は安心できる場所。家族として機能している状態は、「安心できる」かどうかです。

「親に本音を言えないなんて、どの家庭だってそうでしょ。」と言う人がいます。もちろんそうです。思春期や反抗期に、親に本音を言わないのは普通です。「親に本音なんて言えるわけないじゃん」と、あっけらかんと言える人は、機能した安心できる家庭に育っている人か、機能不全な家庭しか知らない人、どちらかです。

逆に、あきらかに機能不全家族に育っているのに、「私の家族って機能不全家族ですか」という人を何人も見てきました。

ピリピリしている、ケンカが絶えない、我慢し続ける、無理をしなければならない、自分の思いを言えない、聞く耳をもってもらえない。虐待のようなことはなかったけれど、親に言い返せない。もし言い返したらひどい目にあう。そんな親子関係が常態化しているなら、あなたの家族も機能不全家族かもしれません。

機能不全家族に育つと苦しみの人生に染まる理由 ~人生脚本~

心理学には「人生脚本」という考え方があります。生まれてから死ぬまでの人生は、まるで一本のドラマのように、脚本があるということです。その脚本は「三つ子の魂百まで」と言われるように、次のようにできあがります。

幼少期(幼児期)……大まかな筋道がつくられる
12歳くらいまで……確認作業
18歳くらいまで……仕上げ
20歳     ……ほぼ確定

機能不全家族に育った人は、親子関係を通して、生きづらい人生脚本をつくりあげることがほとんどです。無意識に人生脚本に従って生きているなら、とてもつらい人生になります。

ここで先にしっかりお伝えしなければならないことは、「今後、人生脚本に従って生きるかどうかは、自分で決めることができる」ということです。

「もう脚本がつくられてしまったから、変えられない。どうしようもない。」とは絶対に思ってほしくないのです。実際、いくらでも変えることができますから。

機能不全家族に育って、生きづらい人生脚本をつくりあげ、今でもその人生脚本を握りしめて生きている。苦しくてつらい。それでも大丈夫です。人生脚本は何歳でも気がついたときに書き換えることができます。

自分の人生脚本に気づかないまま生きていると、人は、無意識に脚本どおりの行動をとってしまうようにできています。そのせいであなたは今まで苦しんできました。

今後は、苦しみの人生に染める人生脚本ではなく、自分の手で改編し、自分の好きなドラマにすっかり書き換えてしまえることを知ってほしいのです。

機能不全家族に育つと無意識にあなたを突き動かすもの ~人生脚本の例~

わかりやすい例を挙げましょう。マリリンモンローは幼いころに親から引き離され、親戚や他人の家を10か所以上、転々としました。そうして作り上げた人生脚本は「手に入れた愛は、手放さなければならない」。

本人は、そんな人生脚本を握りしめているとは知らずに生きていたのでしょう。大人になってからは、3回の離婚。離婚の理由は「どうせ手放さなければならない愛なら、痛みが大きくならないうちに、自分から手放してしまおう」という無意識の心理だったと分析されています。機能不全家族に育つと、無意識に生きづらい方向へと突き動かされてしまいます。

人生脚本ができあがるには、幼少期に心の中で固く決意したことがあり、いろんな場面で「やっぱりね」と確認作業をして定着します。

幼いころに「こうしたほうがいい」「こうしないと酷い目にあう」と判断し、行動の方針を決定することを「幼児決断」と言います。一人につき一個とは限りません。たくさんの決断をし、たくさんのマイルールをもっています。特に機能不全家族に育つと、親子関係の中で生き延びるには役に立つけれど、大人になってから生きづらい決断をたくさんします。

たとえば私の幼児決断を挙げてみましょう。

「無償でなにかしてもらうのはよくない」(甘えてはいけない)
「期待されたら常に応える必要がある」(自分の気持ちは考えない)
「自分の問題点は克服しなければいけない」(満足してはいけない)
「比較して上位にいなければ認められない」(気持ちより成果)
「やるからには、褒められなければいけない」(他人の評価が行動基準)

など。

幼児決断は

(1)親に直接言われた
(2)親の態度から察知した
(3)親を反面教師にして「絶対にああはならないぞ」と思った

という3パターンがあります。

あなたはどんな幼児決断をしてきたでしょうか。

最初のきっかけは親子関係ですが、学校や友達との関係の中で強化し、決定しているので、学校や友達を振り返るのが有効なものもあります。たとえばこんなものがあります。

「いざとなれば私がいなくなれば注目してもらえる・やさしくしてもらえる」

普段はいじめられるのに、一日休んだら、休んでいる間に先生が話してくれて少しの間いじめられなくなった。普段はあまり大切にされないのに、私が休んだら「あなたがいないとすごく困った。あなたの大切さがわかった」と言われた。そういう経験から、「都合が悪くなったら消えてしまおう」と無意識に決断します。

それでうまく適応しているうちはそれでもいいのです。でも、あなたが人生の大切な場面で、なぜか体調を崩してしまうのなら、この決断にしたがった人生脚本は書き換えたほうが生きやすくなります。

機能不全家族に育ちながら、生きづらさを手放した5つの実践例

私は、苦しくて生きづらいと感じるたびに、自分の幼児決断に気づき、書き換えてきました。数年かかるものもありましたが、じわりじわりと「自分でコントロールできる感覚」を身につけました。

生きづらさを手放した5つの実践例をご紹介します。

「無償でなにかしてもらうのはよくない」(好意に甘えてはいけない)

(生きづらさ)すぐにお返ししなきゃ、と思っていたから、他人から親切にされるのが嫌だと思ったことさえあります。自分はガマンしてるから、誰かに親切したときに感謝されなかったら、すごく腹が立ちました。失礼な人だなと。
(克服法)だれかに親切にしてもらったら、あえてすぐにお返ししてしまわずに、心の中に温めておこう!と決意しました。尊敬する人リストを作って、お役に立てる日がきたら力を発揮できるように…なんて思っています。そういいながら、尊敬する人からは、また親切にしてもらうことのほうが多いんですけどね。

好意に甘えてもいいんだ、と思えるようになってから、周りにはなぜか親切な人がたくさん。そうやって私が受けてきた親切を、ほかのところで還元しよう、と行動しています。後輩や仲間が、たよってくれたりもします。

「期待されたら常に応える必要がある」(自分の気持ちは考えない)

(生きづらさ)私を利用して成果を上げようとする人がなぜが集まってきました。利用しやすい人間だったので当然だと思います。気づかないうちに、対等でない人間関係になってしまい、不満か自責になっていました。
(克服法)NOと言う練習をしました。なんか気が乗らないな…と思ったら、ちょっと無理すればできそうだと思っても「やめておきます」と伝えます。

私を利用しようとする人は、短い期間で離れていきます。「利用できないな」と思って去っていくのでしょう。長く付き合っている人は、NOと伝えても大丈夫な関係で、お互いにラクです。そんなちょっとしたことで崩れるような関係ではないので安心です。

「自分の問題点は克服しなければいけない」(満足してはいけない)

(生きづらさ)私の問題点を指摘する人が周囲にたくさんいました。きっと私が「私の問題点を指摘できるこの人は、私以上に、私のことをわかっている」と思っていたので、相手の言葉をうのみにしていました。なんだか私には問題点ばかりあるような気がして……。ある時、もえつきてしまいました。
(克服法)私が日頃から心がけていることに気づいてくれる人の褒め言葉を心に刻むようにしました。意外と褒めてもらってるのに、捨てちゃってたんです。宝物は心に入れる、ゴミはポイと捨てる!

小さな良いところを見つけてくれる人が、こんなにたくさんいるんだな、と感動します。世の中、あたたかいし、優しい人がたくさんいると気づきました。

「比較して上位にいなければ認められない」(気持ちより成果)

(生きづらさ)成績を上げても、よほど高い目標を達成しないと、達成感がありません。そして「次はダメなんじゃないか」「今回はまぐれだったのでは」と、すぐに次の不安が出てきます。
(克服法)「一ミリずつでも着実に行動すればOK」と思うようにしました。

最初は「こんなんでいいの?」「全然成果が出ないけどいいのかな」と思いましたが、行動しているのだから、結果は後から付いてくるという地盤のような自信がついてきます。目いっぱい背伸びして出した成果は、次が不安になるけれど、誰に見せるわけでもなく地道に行動した成果は、純粋にうれしいし、成果がなかなか出なくても、いつか結果になると思うと楽しみです。

「やるからには、褒められなければいけない」(他人の評価が行動基準)

(生きづらさ)実際に誰かから褒められなきゃ、というよりは、世間様から褒められるべき行動をしなきゃ、という感覚でした。やることなすこと、苦しくて「もうやめたい」が口癖でした。(やめればいいのにね!)
(克服法)「私がやりたいからやってるだけ」を口癖にしました。そのほかにも「私がすっきりしたいからやる」「私がきっちりやりたいからやる」など。

もちろん褒められたらうれしいし、やる気はアップします。褒め言葉がなくても、自分基準で行動しているので、家事など小さな行動でもすっきり達成感があります。

機能不全家族に育った人の苦しみは、機能する家族(親に安心して話せる・意見を言える環境)に育った人にはわかるものではありません。親子関係で長年育まれてきたのですから、【親と過ごした年数=生きづらさをすっかり手放すまでにかかる年数】くらいに思って、あせらずゆっくりいきましょう。生きづらさがすっかりなくなるまでの道のりも、どんどん成長していく感じがあって楽しいですよ。

また、あなた次第で加速度的に本当の幸せに近づくこともできます。

機能不全家族に育った人が、これから必ず幸せになれる理由

人生脚本のように、知らなければずっと苦しいまま生きていくことになってしまう、ということがあるのです。逆に、苦しみの原因を知って、正しい方向に進めば、ぐんぐん幸せに近づくこともできます。

  1. 機能不全家族の特徴を知る
  2. 子供の成長にはよくない環境(親子関係)の影響を受けて、苦しい考え方を決断していたことに気づく
  3. 親とは関係のない、自分が生きやすい人生を選択する
  4. 親や社会の影響で決めた目的でなく、人として生まれて得られる本当の幸せを知る

自分の人生は自分のもの。あなたはこれまで生きる目的が「親の考え方に沿う生き方」「親に受け入れられること」「社会で褒められる生き方」になっていたと思いませんか。もうあなたは親の影響で生きづらさを抱え続ける必要はありません。また、時代や社会の影響で自分を苦しめる考え方も手放していいのです。本当の幸せになることを人生の目的にして、自分の人生を歩み、幸せになってほしいと思います。

この記事を書いた人

ライター:月見 草

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