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テムズ川に挑んだ男~不可能を可能にした驚愕のトンネル工事

こんにちは、齋藤勇磨です。

フランスで生まれ、イギリスで活躍した技術者、マーク・ブルーネル(1769-1849)は、現代のトンネル土木技術の基礎を築きました。

ロンドンの西から東へ流れるテムズ川の川底に、困難を乗り越え、トンネルを掘った人として、ロンドン市民に知られています。

どんな人だったのでしょうか。

川で隔てられたロンドン市民の悲哀

トンネルが掘られたのは、テムズ川にかかる名所・ロンドン橋の下流でした。

川幅は約200メートルあり、南北に住む人たちが、川によって隔てられていたのです。

馬車や荷車で対岸へ渡りたい時には、なんと3キロ離れたロンドン橋まで行かねばなりません。

そのため、このあたりでは毎日約4000人もの人が、渡し船で往来していました。

濃霧のロンドンで頻発する事故

19世紀初頭、ロンドンが大都市へと発展していくに従い、テムズ川は貨物船でにぎわっていました。

しかし、ロンドン名物の濃霧が、時に悲劇を生みます。

視界不良の中、渡し船と貨物船の衝突事故が多発していたのです。

夢のトンネル構想、しかし…

「川底にトンネルを掘れば、安全で便利になる!」

人々は期待に胸を膨らませました。

しかし、工事は困難を極めます。

当時の技術では、柔らかい川底にトンネルを掘るのは至難の業。

水漏れや落盤が頻発し、工事は頓挫しました。

挙げ句の果てには、せっかく何年もかけて掘ったトンネルも暴風雨で崩壊してしまう始末…。

ブルーネル、不可能への挑戦

「トンネルを掘るのは不可能だ」

ロンドン市民は諦めかけていました。

その時、一人の男が立ち上がります。

マーク・ブルーネルです。

彼は、貧しい生活の中、日中は工場で働きながら、夜遅くまでトンネル掘削のアイデアを練りました。

しかし、なかなか良い案が浮かばず、苦悩の日々が続きます。

あ!フナクイムシからヒントを得た斬新なアイデア

ある日、造船所を歩いていたブルーネルは、船材にフナクイムシが開けた穴を見つけます。

「小さな生き物でも木に穴を開けられるのに、人間がトンネルを掘れないはずがない!」

彼はひらめきを得て、画期的な掘削方法を思いつきます。

シールド工法、誕生

ブルーネルが発明したのは、現在のトンネル掘削の基礎となる「シールド工法」です。

トンネルと同じ大きさの鉄の筒で地盤を支えながら掘り進むという画期的な技術です。

1818年、ついに特許を取得ました。

20年の歳月を経て、ついに開通

テムズ川の川底トンネル工事は、想像を絶する困難の連続でした。

天井の崩落、水没事故、そして人命の喪失…。

それでもブルーネルは諦めません。現場を指揮し、自ら点検を行う日々。

不屈の精神で挑み続けたブルーネルでした。

20年近い歳月をかけ、1843年、ついにテムズ川のトンネルは開通しました。

彼の偉業は、どんな困難にもくじけず、強い意志で当たることこそ、物事を成し遂げる大切な心掛けであることを、私たちに教えてくれています。

ちなみに、ブルーネルが掘ったトンネルは、現在でも地下鉄の通り道として利用されているそうです。

ロンドンを訪れた際は、ぜひこの歴史的なトンネルを体感してみてくださいね。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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