人間関係

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人の目が気になる。どうしたら周りの目を気にせず生きられる?(悩み相談・20代女性)

人の目が気になる。ある20代女性の悩み

こんにちは、優紀です。

東京や神奈川など、首都圏を中心に、仏教講座を開催しています。
今日は、講座後に参加者からカフェで受けた「人の目が気になる」という悩み相談について紹介します。

【Tさん(20代女性・看護師)の悩み】

「周りからどう思われているか」
「自分のしたことによって、色々と周りから言われるんじゃないか」
「あの人怒っていないかな、、」
など、細かいことが気になって、心配で仕方ありません。

こういう事を考えず、自分をしっかりもって、周りに流されず生きたいと思うのですが、なかなかできません。どうしたら、周りの目を気にせず生きていけるでしょうか?

Tさんの悩みを聞いて、恥ずかしながら昔の自分を思い出しました。

今はセミナー講師として、皆さんの前で話をする立場ですが、大学の頃なんかは、人見知りで、寡黙で、初対面の人と普通に話をすることができず、まともな会話など気の合った友達としかできないのが私でした。

大学1年の春、はじめての新勧ムードに緊張しながらテニスサークルの集まりに行ったことを今でも忘れません。

周りの新入生はそれぞれに自己紹介をして友達を作っている中、自分はいつも一人でした。先輩や新入生に声をかけられても「はい…」「いや…」などの返答しかできず、とても会話などできない。
飲み会やカラオケにも勿論誘われましたが、とにかく落ち着かず、場にそぐわない自分の心をどうしようもありませんでした。

特に「一人でいるのが好き」というわけではありませんでしたが、その場その場で「どう振る舞えばいいか」がよく分かりませんでした。人の目を気にして、笑顔を見せたり、明るく会話をするものの、結局、人と関わらずに独りでいるほうが楽だと思ってしまったのです。

しかし、独りでいればまた、独りでいることに対しての人の目を気にする、そんな大学生活を送っていました。

なぜ人の目が気になるのか?

現代社会は、人の目を気にする若者が増えているといわれます。
なぜ、人の目が気になるのでしょうか。

人の目が気になる環境的要因

環境的な要因としては、テレビやパソコン、スマートフォンの普及など、メディアの発達などがあるといわれます。

とにかく画面と向き合うことが多く、顔を合わせて自分の意見を述べる、心の通じ合った会話が少なくなっているということでしょう。

確かに私自身も振り返ってみると、小学生のころから夕食時には必ずテレビをつけていましたし、友達の家に行けば画面に向かってゲームをし、高校生、大学生となればスマホやパソコンと向き合う時間の方が多かったです。

人の目が気になる心理的要因

次に、心理的な要因としては、依存心の強さがあるとよくいわれます。

依存心とは、人に頼る気持ちですが、強い人と弱い人とがあります。依存心の強い人は、常に人目を気にしてしまい、人に嫌われたくない、よく見てもらおうという心理から常に離れきれず、周りに振り回されて疲れてしまいます。

依存心が強くなる原因は人によって様々ですが、原因の多くは親との関わりにあるといわれます。小さいころに親からの愛情が薄く、自分の気持ちを受け止めてもらえなかった人は、他人に愛情を求めるようになります。自分のことを大切にしてもらえる他人に依存心が強くなるのです。

核家族化、夫婦共働きの家庭も増え、幼稚園に入るのもやっとな現代、幼少期に親との時間が少なく、子供が十分に愛情を受けとれないことも原因の一つといわれています。

人の目が気になるのは、悪いことなの?

ただ、ここでちょっと考えていただきたいことがあります。

それは「人の目が気になるのは、悪いことなのか」ということです。

実はTさんから相談を受けたとき、内心とても驚いたことがあります。というのは、大変明るく朗らかで、人当たりも良く、周りから好かれている、いわゆるムードメーカーのような方がTさんだったからです。

しかし実は、一見すると人付き合いを良好に保てる、人当たりのいい人のほうが、人目を強く気にする人が多いのです。そのような人は、空気を読み、人の心の機微に敏感なので、周囲には好かれ、色々なところに顔を出し重宝されます。

他人の心の機微に敏感であることは、一朝一夕で身につけられることではありませんし、身につけようと思って身につけられるものではありません。
たくさんの人間関係を乗り越えて、自然に身についている大事な感覚です。

これからどんな職場に就き、どのような人と接しても、必ず大事になってくるものです。

ですから、人にどう見られているかを気にして、他人の心の機微に敏感である、繊細な感覚を持っているということは、大事なことであり、誇るべきことだということを知ってください。私自身、Tさんから悩みを聞いた時、まず率直にその感覚を羨ましいと思いました。

しかし問題は、そのために人間関係に疲れ、職場の付き合いや、休日の交友関係に振り回されている場合も多く、一人ストレスを抱えてしまっていることです。

どうすれば、過剰に人の目が気になる状態から解放されるのか。
Tさんも、皆さんも、それがいちばん知りたい答えでしょう。

どうすれば過剰に人の目が気になる心から解放されるのか?

では、どうすれば過剰に人の目が気になる状態から解放されるのでしょうか。

その答えは「人間の共通の姿を知ること」だと仏教は教えています。

こんなことわざを聞いたことはあるでしょうか。

同病、相憐れむ
(どうびょう、あいあわれむ)

同じ病気を持っている人同士は、お互いにその病の苦しみがよく分かりますから、心の通じるものがあります。相手の立場に立ち、相手をいたわり、接することができます。

すべての人の本当の姿を知ることが、問題解決への道なのです。

私はTさんに、仏教に教えられている、人間の本当の姿を話しました。

人間の共通の「本性」とは

仏教では私たち人間を、煩悩具足の凡夫(ぼんのうぐそくのぼんぶ)と教えられています。

凡夫(ぼんぶ)とは、仏教で人間のことを言います。

煩悩(ぼんのう)とは、私たちを煩わせ悩ませる心で、みな一人一人108の煩悩があると教えられています。

代表的なものには、「欲」や「怒り」、「ねたみ、そねみ、恨み」などがあります。

無ければ無いで欲しい、有れば有ったでもっと欲しいという心、これが「欲」の心です。

「お金が欲しい…」
「パソコンが欲しい…」
「恋人がほしい…」
「子供が欲しい…」

などの欲の心で、私たちは朝から晩まで動き回っています。

その欲が妨げられると出てくるのが「怒り」の心です。

「あの人のせいで叱られた」
「あの人から恥かかされた」
「あいつのせいで損した」

と腹底から怒りの炎が燃え上がります。

さらに、その怒りをぶつけることのできない相手には「ねたみ、そねみ、恨み」の心となって気分よくない。

それら、欲・怒り・ねたみ、そねみ、恨みの心に代表されるものが「煩悩」です。

私たちを煩わせ悩ませる「自分本位の心」です。

具足(ぐそく)とは「それでできている」ということですから、煩悩具足の凡夫とは、人間は煩悩の塊だと言われているのです。

雪だるまは雪でできていますが、人間は煩悩でできているということです。

私たちは朝から晩まで、あれが欲しい、これが欲しいと、健康や財産、地位や名誉、異性を求めて動いています。
そしてそれらが手に入らなければ不満に思い、原因となる相手を見定めては怒り、相手をねたんだりそねんだり、恨んだりします。
そしてやっとこさ手に入ったならば、さらに上を求めて走ります。。

常に「自分のため、自分のため」と物事を考えて判断しているのが私たち。
仏教では、人間は常に自分本位であり、自己中心的なのだと教えられています。

私が思うほど他人は私のことを気にしていない

ですから皆、関心があるのは自分についてであり、

どうすれば自分が満たされるか、
どうすれば自分が幸せになれるのか、

を常に考えており、

そもそも「他人には関心がない」のです。

「私」は他人からどう見られているかを気にしますが、他人は「私」のことを気にしてはいません。

たとえ気になることがあったとしても、すぐに忘れてしまうものです。

それよりも大事なのは「自分自身」であり、他人はあくまでも「周り」なのです。

「主人公」は自分であり、その「周り」がどうなっても物語は進みます。

ありのままの人間を知れば、心がラクになる

そこまで話をすると、ほっとしたようで、Tさんの顔に笑顔が戻ってきました。
はじめは深刻そうで、泣きそうな面持ちのTさんでしたが、心の荷をおろしたように安堵していたことを今でもよく覚えています。

その後、安堵の笑みを湛えたTさんは、封を切ったように、職場での出来事、近所づきあいや友達付き合いのことを、おおよそ2時間ほど休みなく話されました。自分一人で苦しまれ、出す場がなく、心にため込んでこられたのだと思います。満面の笑みで感謝とともに語ってこられるので、私も笑顔で、時間を忘れて聞きいりました。とても楽しい時間でした。

Tさんに話したように、自分本位であるのが私たち人間の本性なのだと仏教では教えられています。しかし、自分本位の私たちには、それが分からず苦しんでいるのです。

ですから大事なことは、ありのままの自分の姿を知るということ。

本当のことを言えば、Tさんが人目を気にするのも煩悩具足と知れば当然のこと。
自分が周りからどう見られているか、気になって仕方がないのです。

しかし、その姿を知るのと知らないのとでは全く違います。

仏教にはその、ありのままの私たちの姿が説かれています。もし、ありのままの人間をじっくり学んでみたい方は、こちらの通信コースを受講してみてはいかがでしょうか。

いきなり受講はちょっと……という方には、下記の無料メールマガジンがおすすめです。

まとめ「人の目が気になる。どうしたら周りの目を気にせず生きていけますか?」

  1. 人の目が気になるのは、悪いことではありません。人の心の機微に敏感で、繊細な感覚を持っているのは、むしろ誇るべきことです。
  2. 過剰に人の目が気になる状態から解放される方法は、「人間の共通の姿を知る」ことです。
  3. 「ありのままの人間」を深く知れば知るほど、人は自分が思っているほど立派でも賢くもないんだと知らされ、肩の力が抜け、心がラクになれます。

この記事を書いた人

仏教講師・ライター:優 紀

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