人間関係

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傷つけてしまう不安とは―〈期待〉と自己防衛・自己正当化が生む攻撃性をわかりやすく解説

【目次】

  1. 期待はゼロにできない―安心を育てる伝え方
  2. 大切な人との関係を壊す3つの段階
  3. 第一段階;自己防衛(健全か、歪んだ自己防衛か)
  4. 第二段階;自己正当化(正しさの戦場)
  5. 第三段階;エゴイズムへの変転(他者の現実を切る)
  6. 「優しい人」が離れていくとき―信頼が崩れるプロセス
  7. 親密さが生む攻撃性―家族を “ はけ口 ” にしないために
  8. 家庭に潜む支配と〈我利我利〉―自分の悪さを受け入れる力

はじめに

こんにちは、心理カウンセラーの月見草です。

今回はこんなお悩みについてです。

大切な人ほど傷つけてしまうのではないかと不安になります。

相手を大切に思うからこそ、出てくる不安ですね。
「傷つけてしまうのではないか」と思うのは、自分の心をよく見つめているからだと思います。

実際、親しいほど、関係は難しくなる側面があります。
心理学には「親密性の逆説」という言葉もあります。

大切な人ほど、傷つけてしまう
身近な人ほど、本音で話せなくなる

なぜ、もっとも理解し合えるはずの人と、難しくなってしまうのか。

それは、親しい人との関係ほど、深い感情を引き出す場面に遭遇するからです。

深い感情を引き出すと、

・感情が揺さぶられる
・コントロール感を失う
・不快な感情に引っ張られる
・自分と相手の境界が曖昧になる

心の奥底にあるものと、向き合わなければならなくなります。
それは苦しいことです。

どうすれば、大切な人を傷つけてしまう不安と向き合えるのか。
今回はこのテーマを掘り下げてみましょう。

期待はゼロにできない―安心を育てる伝え方

親しくなるほど、期待が大きくなります。
期待が大きいほど、思い通りにならないときに、悲しみや怒りを引き起こします。

じゃあ「期待しないように」したほうがいいですね?

たしかに、期待を裏切られると苦しい。
それなら、期待しなければいい。
そう思うのもごもっともです。

ですが、期待をゼロにするのは、脳の仕組み上、ほぼ不可能です。

人は「関係」を結んだ瞬間に、報酬系の回路(ドーパミンなど)が自動的に動きます。
これは意志の問題ではなく、神経の反射です。

たとえ「期待しない訓練」をしても、期待は消えません。
「感じないフリ」をしているだけです。

感性にフタをすると、後からまとめて痛みが来ることが多いのです。

・どんなことを不快に感じるのか
・どんなことが苦手なのか

これらにフタをせず、向き合って、相手にも伝えなければなりません。
そして、

「それは嫌なんだね、わかったよ」

と、不快な気持ちを受け止めてもらうことで、安心感が育まれます。

もし、そのときに、判断や評価を加えられてしまうと、安全な場所ではなくなってしまいます。

「なんでそんなことで不快に思うの?」
「それくらいガマンしたら?」
「ポジティブに考えよう」
「感謝の気持ちをもてばいい」

これらは、判断や評価です。

こういった扱いを受け続けると、自分の感覚を疑うようになります。

「こんなことを思ってはいけないのだろうか」
「私がまちがっているのだろうか」

自分の感覚を疑い続けた先にあるのは、「自分らしく生きられない」苦しみです。

大切な関係であっても、自分らしく生きられない関係は続きません。
深く傷つき、やがて関係は終わります。

大切な人との関係を壊す3つの段階

近くにいると、相手の欠点や、価値観のちがいが目につくようになります。

オープンに話すことができれば、軌道修正が可能ですが、
深い感情に触れると、人は「自己防衛」に入りやすくなります。

その自己防衛から、自己正当化、エゴイズム(自己中心性)へと発展するとき、どんなに大切な人との関係でも壊れてゆきます。

その三段階を学びましょう。

第一段階;自己防衛(健全か、歪んだ自己防衛か)

「自己防衛」は、傷つきすぎないための安全装置です。

限界を感じたときに距離を取るなど、「今はここまで」「これ以上は引き受けない」という線引きが中心になります。
これは相手を裁く必要も、勝つ必要もなく、自分の神経と生活を守るための行為です。

自己防衛は、人間が生きていくうえで必要な心の機能です。

しかし、自己防衛にも「健全なもの」と「歪んだもの」があります。

健全な自己防衛

1)自分の感情を一次感情として認識できる
 例:「怖い」「傷ついた」「限界だ」

2)防衛が一時的で、状況が変われば解除できる

3)防衛の結果が「距離を取る」「助けを求める」「休む」など
 自己回復につながる行動になる。

歪んだ自己防衛

1)自分の一次感情を感じられない
 合理化・投影・責任転嫁で処理する
 例:「相手が悪い」「誤解させたほうが悪い」

詳しくは後ほど説明します。

2)コミュニケーションが閉鎖的で、防衛が慢性化する

3)防衛の結果が「攻撃」「支配」「被害者ポジション固定」など
 関係破壊を伴う行動になる。

これは自分を守っているつもりで、相手との接点を切り落としています。
何度も繰り返されれば、関係は壊れます。

第二段階;自己正当化(正しさの戦場)

自己防衛がさらに「自己正当化」になると、話し合いができなくなります。

自己正当化は、心の防御が “ 攻撃モード ” に変形したものです。

「自分は悪くない」
「相手が悪いから仕方ない」
「正しいのは私だ」

というストーリーを作り出し、できない理由を強化します。

その結果、相手を変えようとしたり、説明・説得・裁定に向かいやすくなるのです。

自己防衛なら、関係を壊さないことも多いのですが、
自己正当化は、「正しさの証明」が中心となり、戦場と化します。

自己防衛は「ここまで」と線を引きますが、
自己正当化は「ここまで」を消します。

自分の正当化が優先で、相手の気持ちを無かったことにしてしまいます。

「自分が揺らぐくらいなら、現実のほうを歪める」

と相手の心を削っても、痛みを伴わなくなってゆきます。

自分では現実を歪めている自覚を持つことができません。
歪んだものが「現実」だとしか思えないのが、恐ろしいところです。

第三段階;エゴイズムへの変転(他者の現実を切る)

自己正当化は本来、このための心のはたらきです。

「自分は完全ではないが、それでも価値ある存在で居続ける」

人は失敗や痛みに直面すると、自己概念が崩壊しそうになります。
その崩壊を防ぐために、

・合理化
・歪曲
・責任の外在化

といった操作が一時的に入ります。

合理化とは……

感情的に苦しい言動を、後から「もっともらしい理屈」で正当化すること。

「怖かった」「傷つきたくなかった」「もう限界だった」

こうした一次感情を、そのまま認めるのがつらいとき、次のような形に “ 翻訳 ” します。

「相手が悪いから仕方なかった」
「これは正しい行動だった」
「私は理性的に判断しただけ」

歪曲とは……

自分では “ 真実を見ているつもり ” でも、世界の見え方が変わる現象。

「相手が困っている」「疲れているだけ」かもしれない場面で、歪曲が入ると、

「私は大切にされていない」
「攻撃された」

というストーリーが瞬時に立ち上がります。

歪曲の怖さは、
自分ではちゃんと “ 真実を見ているつもり ” になるところにあります。

責任の外在化とは……

自分の行為の責任まで相手になすりつけること。

・怒るのは自然
・傷つくのも当然

でも、

「だから相手が悪い」
「だから私の行動は免責」

に変換された瞬間、自分の手から責任がすり抜けます。

「自己正当化」が「エゴイズム(自己中心性)」に変わるとき

・合理化
・歪曲
・責任の外在化

ここまでは “ 誰にでもある健全な防御 ” です。

しかしこれが慢性化すると、事態は悪化します。

自分を守るために現実を修正する。

現実を修正すること自体が、自分を保つ手段になる。

相手の感覚や尊厳より、自分の物語の保存が優先される。

この段階に入ったとき、
自己正当化は「エゴイズム(自己中心性)」へと変転します。

エゴイズムとは「自分の快を選ぶこと」のように思われますが、そうとは限りません。
自分の内的物語を守るために、「他者の現実を切り捨てる」ことです。

自己正当化が続く関係では、

本当の感情が見えなくなる
責任の所在が曖昧になる
関係性の修復が不可能になる

という結末に至ります。

「そんなつもりはなかった」
「自分を守っていただけだった」

と思っていても、相手は傷ついている。それが現実です。

「優しい人」が離れていくとき―信頼が崩れるプロセス

優しい人が突然、離れていくことがあります。

いいえ、突然に感じるかもしれませんが、「長い間、我慢を重ねていた」背景があります。

優しい人はあなたに合わせようとして、自分の感情を抑える傾向にあります。

けっこう感情を訴えてきて、話を聞いてますよ。

感情を訴えているように見えても、それが受け取ってもらえない状態が続けば、自分の感情を抑えることになります。

話を聞いているつもりでも、判断や評価を加えていませんか。

「こうすればいい」と判断や評価を加えられると、「受け取ってもらえなかった」と不満は残ります。

その負担が限界に達すると、静かにその場から去ることを選ぶのです。

人が離れていく原因

人が離れていくのは、信頼の欠如によります。

・相手の気持ちを無視する
・自分優先な態度
・約束を守らない

こういうことが続けば、どんなに親しい人でも、やがて離れてゆきます。

改善のためには、原因をまっすぐに見つめなければなりません。

「忙しかったから」
「もっと大事なことがあったから」
「取るに足らないことだと思ったから」

といった言い訳が、自分にとっては正当であっても、相手にとっては関係ありません。

相手が我慢して、不満を蓄積し、やがて崩壊へと向かいます。

自己正当化は、無意識に行われます。
自分自身を客観的に見つめ直すことが重要です。

「しかたなかった」
「相手の問題」

こう思っているうちは、同じことが繰り返されます。

自己反省を習慣化すること。
自分の課題に向き合うことは、苦しいことです。
でもそれができれば、もっと大きな苦しみを防ぐことができます。

苦しみから目を逸らさず、凝視するようにしましょう。

「傷つけてしまうのではないか」と不安に思うのは、自分を見つめている証です。

親密さが生む攻撃性―家族を “ はけ口 ” にしないために

安心しているから、甘えられる。
甘えると、悪い部分も前面に出てくる。
「この人は許してくれるだろう」という期待。

こんなとき、感情の爆発、「攻撃性」が出ることもあります。
「攻撃性」とは、怒りや暴力だけではありません。

以下の行動も、「攻撃性」に含まれます。

• 無視をする
• 忙しいことを理由に話を避ける
• 必要な配慮を欠いた言葉をぶつける

「相手にダメージを与える行動」であれば、それは「攻撃性」です。
自分にとって正当だと思える行為でも、相手はダメージを受けます。

単発で発生するのは、人間なら誰でも起こりうることですが、
それが「固定化」すると、危険です。

こんなデータがあります。

「ストレスのはけ口にしてしまう相手は?」
「家族」を挙げた人が全体の42.7%
(2020年、厚労省ストレス対処行動調査)

大切な人ほど、ストレスのはけ口になってしまいがちです。

「もしかしたら、傷つけているのではないか」と、自分を見つめる視点が重要です。

家庭に潜む支配と〈我利我利〉―自分の悪さを受け入れる力

外で気を使っているんだから、家では自分の思うままに振舞いたい。
思い通りにしたい。

こう思うのは自然なことですが、家族も人間です。

安定している人は、自分の悪い部分を自覚しながら、受け入れています。
これまでの経験で、受け入れる練習ができたのですね。
(自己理解・自己受容)

不安定な人は、自分の悪い部分を自覚できません。

すべて「相手のせい」にしてしまいます。

そういうことが続けば、親しい人であっても、やがて離れてゆきます。

もしくは、自分の悪い部分を自覚しても受け入れられず「行動化」します。

・人を拒絶する
・肝心な話ができない
・問題行動

つまり、相手と距離を置いてしまいます。
「相手と関わりながら、解決する術を知らない」からです。

また、家族といっても、権力、立場の上下関係があります。
自分は対等だと思っていても、なかなか対等にはならないものです。
立場が「上」である人が、気をつけねばなりません。

夫→妻
・体格
・収入
・社会的な地位
・文化的なアンコンシャスバイアス(男尊女卑、亭主関白など)
・年齢
親→子ども
・体格
・養育する・される関係
・できることの差(柔軟な考え方・感情のコントロールを含む)
・文化的なアンコンシャスバイアス(子供は親に従うものだ)
・年齢(=長く生きている分、知っていることの量にも差が出る)

「愛情」ではなく、「支配」になっていませんか。
たとえあなたに悪気がなくとも、相手が傷ついている場合、やがてあなたから離れてゆきます。

親しい関係の人には、人間の本性が出ます。
欲の本性は〈我利我利〉と言われます。
「自分さえよければいい」と、相手の気持ちを考えなくなってしまいます。

「傷つけてしまうのではないか」と不安に思うことと、それを実行してしまうことは別物。

「傷つけてしまうのではないか」と恐ろしく思うのは、自分を見つめている証拠です。

おわりに

自分の欲の本性を知らされるのは、苦しいこと。恐ろしいことです。
ですが、自分を見つめることが、大切な人との関係を保ち、あなたのためになるのです。

自分を見つめたい。
自分の本性とも向き合いたい。

そんな人のために、どうすれば心の幸せになれるのか、教えられているのが仏教です。

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この記事を書いた人

ライター:月見 草

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