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ガリレオ・ガリレイ|「常識」を疑い、星空の真実を追い求めた男

こんにちは、齋藤勇磨です。

イタリア・ピサの斜塔。この不思議な建物を見ると、ある科学者の有名な逸話を思い出す方もいるかもしれませんね。

そう、ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)です。

彼は、物理学や天文学の世界で、私たちが今当たり前だと思っていることの多くを発見した、偉大な科学者でした。

でも、彼のすごさは、ただ頭が良いということだけではありません。

多くの人が「これが正しい」と信じきっていたことに、「本当にそうかな?」と疑問を持ち、自分の目で確かめずにはいられなかった探求心の人だったのです。

彼の人生は、新しい発見の連続でしたが、同時に、古い考え方や権威との間に、大きな波風を立てるものでもありました。

常識を疑い、真実を追い求めた彼の情熱は、どこから来たのでしょうか。

「常識」が支配した世界 ~ガリレオ登場前夜~

ガリレオが生きた時代、人々の宇宙に対する考え方は、古代ギリシャの哲学者アリストテレスの影響を強く受けていました。

地球は宇宙の中心で止まっていて、太陽や月、星々がその周りを回っている――これが「天動説」です。

約2000年もの間、これが絶対的な真実だと信じられていました。

また、物理法則についても、「重い物の方が軽い物より速く落ちる」といったアリストテレスの考えが、疑う余地のない常識とされていたのです。

誰もがそれを当たり前だと思い、教科書にもそう書かれている。そんな時代に、ガリレオは「本当にそうだろうか?」と疑問を抱き始めます。

「なぜ?」から始まる発見 ~振り子と落下の実験~

ガリレオの「自分の目で確かめたい」という思いは、若い頃から現れていました。

1583年、まだピサ大学の学生だった頃、彼は、天井から吊るされたランプが揺れているのを見て、ふと気づきます。

「ランプの揺れの幅は大きくなったり小さくなったりするけれど、往復にかかる時間はいつも同じじゃないか?」

彼は自分の脈拍で時間を計り、この「振り子の等時性」と呼ばれる法則を発見しました。

誰も気にしないようなランプの揺れから、法則を見つけ出すなんて、すごい観察眼ですよね。

この発見は、後に正確な時計(振り子時計)を作る基礎となりました。

また、有名なピサの斜塔の実験では、「重い物も軽い物も、空気抵抗がなければ同時に落ちる」ことを示そうとしたと言われています。

「偉い学者が言っているから正しい」ではなく、「実際にやってみよう」という彼の姿勢がよく表れていますね。

多くの人がアリストテレスの言葉を信じる中、ガリレオは自分の実験結果を信じたのです。

宇宙へのまなざし ~望遠鏡が明かした真実~

1609年、ガリレオの探求心は、ついに宇宙へと向けられます。

オランダで発明されたばかりの望遠鏡の噂を聞きつけ、それを自ら改良して夜空に向けたのです。

当時の望遠鏡はまだ性能が悪く、おもちゃのようなものでした。

しかし、ガリレオはそれを科学の道具へと進化させ、驚くべき発見を次々と行います。

  • 月の表面: ツルツルだと考えられていた月の表面に、山や谷(クレーター)があることを発見しました。地球と同じように、天体もデコボコしていたのです。
  • 木星の衛星: 木星の周りを回る4つの星(衛星)を発見しました。すべての天体が地球の周りを回っているわけではない、という証拠です。
  • 金星の満ち欠け: 金星が月のように満ち欠けすることを発見しました。これは、金星が地球ではなく、太陽の周りを回っていることを示していました。

これらの発見は、ガリレオ自身が1610年に出版した『星界の報告』という本で発表され、ヨーロッパ中に衝撃を与えました。

2000年間信じられてきたアリストテレスの宇宙観や天動説が、ガリレオの望遠鏡によって、次々と覆されていったのです。

まさに、天文学における革命でした。

信念を貫くということ ~「それでも地球は動く」

ガリレオの発見は、コペルニクスが唱えた「地動説」(地球が太陽の周りを回る)を強く支持するものでした。

しかし、これは当時のキリスト教会の教えに反する考え方でした。

教会は、地球こそが宇宙の中心であるという考えを、聖書の記述と結びつけていたからです。

ガリレオの主張は、教会の権威に対する挑戦とみなされ、彼は危険な立場に立たされます。

友人たちは心配しましたが、ガリレオは自分の目で見た事実を曲げることはできませんでした。

彼は対話形式の本『天文対話』を出版し、地動説が正しいことを、さらに分かりやすく説明しようと試みます。

しかし、これが決定打となり、1633年、彼はローマの宗教裁判所に呼び出され、有罪判決を受けます。

地動説を放棄することを誓わされ、晩年は自宅での軟禁生活を余儀なくされました。

法廷で彼は、「それでも地球は動く」とつぶやいた、とも言われています。

ガリレオ・ガリレイの物語は、私たちに大切なことを教えてくれます。

「常識」や「権威」を鵜呑みにせず、自分の目で見て、自分の頭で考えることの大切さ、たとえ困難に直面しても、自分が信じる真実を追求し続ける勇気を持つことです。

彼は、『天文対話』の中で、登場人物の一人にこのようなセリフを語らせています。

「どうして君は他人の報告を信じるばかりで自分の眼で観察したり見たりしなかったのですか」

ガリレオは、この書物を通して、「みんなが正しいと言うから」という周囲の意見に流されることなく、自分で確かめる大切さを訴えています。

思い込みを徹底的に嫌い、固定観念にとらわれず、自分の目で確かめる姿勢を貫く。この精神があったからこそ、ガリレオは、科学史に名を残す活躍ができたのです。

ガリレオの生き方は、科学の進歩だけでなく、私たちがどう生きるべきかについても、大きなヒントを与えてくれているように思います。

この記事を書いた人

ライター:齋藤 勇磨

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