卒業シーズンの3月になると思い出すのが、私にとって人生初めての一人旅となったタイを訪れたときのことです。
就職も決まり、大学卒業前に何か大きな思い出を作りたい、何か人とは違う経験がしたいと思い、勇気を出してタイへ一人旅に出かけることにしました。
初めての海外一人旅におすすめのタイ
私が初めての海外一人旅にタイを選んだのは単純な理由でした。
とにかく航空券が安かったのです。
さらに現地の物価が安く、治安も良い、食べ物が美味しい、ということから行き先は即決しました。
実際一人でタイに降り立ち、もちろん緊張もありましたが、目にするものすべてが新鮮で、何もかもにワクワクしていました。
バンコク市内では寺院めぐりをしたり、少し足を延ばして世界遺産のアユタヤ遺跡などを散策。
屋台ではタイ名物のトムヤムクンやパッタイの美味しいお店を見つけたり、ローカルの市場で買い物をしたり、格安のタイ古式マッサージを受けたり……。
初めて乗ったトゥクトゥク(タイの三輪タクシー)も、今思うと、ぼったくり価格でしたが、それも今となってはいい思い出です。
結果的に、初めての一人旅がタイで本当に良かったと思います。
これから海外一人旅に出てみたいという方にも絶対におすすめできる国のひとつです。
一人旅の魅力は、人生を変える「出会い」があること
私はタイで初めて、「ドミトリー」というものに泊まりました。
それまで、宿泊といえばホテルしか知らなかったのですが、どうもバックパッカー達はベッドがいくつも並んだドミトリーという相部屋を利用しているらしい……。
寝る場所もトイレもシャワーも他人と共同なんて、ちょっと不安でしたが、貧乏学生にとって宿代の安さには勝てませんでした。
ほとんどのドミトリーが1泊500~800円で朝食も付いていました。
ドミトリーに泊まると、わずらわしいこともたくさんあります。
人の話し声やいびきがうるさくて眠れなかったり、トイレやシャワーの順番待ちがあったり、盗難の心配もあります。
しかし、それ以上に大きな「出会い」があり、その出会いが私に大きな経験を与えてくれたのです。
特にバンコクの安宿街は、バックパッカーの聖地とも言われ、これから世界一周へ出かける人たちのスタート地点であり、また世界一周を終えた人たちのゴール地点でもありました。
今まで狭い世界しか知らなかった私にとって、ドミトリーで話す旅人たちが世界で見てきたもの、感じてきたもの、そのすべてが新鮮で面白く感じられました。
友達やグループでの旅行では出会えなかった人たち、単なる観光地へ行くだけでは得られなかった「出会い」が一人旅にはあるのだと、そのとき気づきました。
旅先でどんな人に出会うかは、ときに自分の人生を大きく変える「縁」になることもあります。
帰国してすぐに「何かが得られた」という実感はなくても、その出会いを通じて感じたことや考えたことは、自分の心の奥深くに確かな「種」となって根付き、その先の人生にきっと生かされていくのだと私は思います。
むしろ、楽しかった経験より、辛かった旅の思い出や嫌な思いをした経験のほうが、のちのちになって自分に大きな影響を与えてくれることが多いのも不思議です。
また、旅人というのは精神的に自立した人が多く、一旦仲良くなっても「じゃあ、私は次こっちに行くので」とさらっとお別れできるので気楽です。
わずらわしい人間関係がないからこそ、短い時間で深い話ができる。
それも一人旅の魅力かもしれません。
なぜタイは「微笑みの国」と言われるのか?
タイはよく「微笑みの国」と呼ばれますが、なぜそう呼ばれるのか初めは分かりませんでした。
実際、お店の人はむしろぶっきらぼうだし、金額をだまそうとしてくる人だっているし、日本のほうがよっぽど「微笑みの国」じゃないかと思っていました。
ところが、典型的な観光地ではなく、街を歩いて普通のバンコク市民の生活をのぞいてみると、なんとなくその理由が分かるような気がしたのです。
ローカルの食堂で注文に困っていると、はにかみながら助けてくれる人。
マクドナルドの前で一人で写真を撮っていると、ジェスチャーで「撮ってあげるよ!」と親切にしてくれる警察官。
言葉はなくても微笑みだけで通じ合えたと感じることが何度もありました。
日本も確かに微笑みの国ですが、タイには「ビジネススマイル」「営業スマイル」といったものはありません。
「笑わなければ」といった下心のない、純粋な笑顔に私はとても感動したのです。
今まで私は言葉の通じない外国人に対して、「言葉で伝えなければ」とばかり思っていました。
言葉が通じないから、親切にしたくてもできないという日本人は結構多いのではないでしょうか。
しかし、言葉が通じないなら、「やさしい微笑み」で十分心は伝わるのだと気づかされたのです。
さらに、時間に遅れても「マイベンライ(大丈夫)」。
車をぶつけても「マイベンライ(大丈夫)」。
争いごとを好まず、細かいことは気にせず笑ってやりすごすタイ人のおおらかさや器の大きさも、「微笑みの国」と呼ばれる所以なのだと分かりました。
「明るい笑顔、やさしい微笑み」は相手も自分も幸せにする素晴らしい布施なのだと知らされた旅でした。
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